↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日給10万の闇バイトに応募したら異世界のダンジョン攻略配信者として閉じ込められた  作者: 夏草枯々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/28

10.キングリザードマン

 鳥の名前は白き大食鳥。

 俺は超大剣を引き摺って距離を詰める。


「ん?」


 白い鳥が両翼を高く掲げていた。水色のオーラが羽の先に集まっていく。

 何かくる、と身構える俺に向けて白い鳥は翼を振り下ろした。

 翼が起こした風が波のように渦を巻きながら来る。

 俺は横に転がって躱す。

 表面の砂利が剥がされ、河原に黒線が引かれていた。


「魔法か?」


 やはりファンタジーといえば魔法は定番だろう。

 一層で使ってくるモンスターはいなかったが……


「ほっ」


 ハンマー投げのように超大剣を振り回し翼を切り裂く。

 羽が舞い上がり、見るも無惨なスカスカの翼に変わる。



「これでっトドメだ!」


 きっかり5回目の攻撃。大きく振りかぶって上から斬撃を叩き込んだ。

 白き大食鳥のHPバーがなくなりドロップ品と銀貨に変わる。


「よしっ! 超大剣、採用!」


 初めての感触としてはかなり良い。


 それから冒険者ギルドに戻りクエスト完了の報告をした。

 10枚の銅貨と経験値。レベルが上がる。これで6レベ。

 今入ったばかりのスキルポイントで超大剣のバトルスキルの一番初めにある、


『ぶん回し』


 を取得。

 そこからさらにスキルの派生が3つあるらしい。ここからは1つのスキル取得に3つポイントを使うらしいが。


 〈それも微妙〉


 〈超大剣使いでもあんまり使わない〉


 スキルの説明を読む。

 割と素直に強そうな範囲攻撃だと俺は思う。


「周囲に超大剣を素早く振り回す……弱くないと思うけどな」


 〈よく味方殺すんで、それ〉


「は?」


 味方を殺す?

 どんな状況だよ、と俺は眉間にしわを寄せコメントを見る。


 〈このゲーム味方の同士討ちあります〉


 〈ずっとソロだからw〉


「ええ……」


 困惑した声に合わせて腹の虫が騒ぐ。


「そういえば昼飯を忘れてたな」


 ゲーム内の時計を見る。あと終業まで4時間か。

 持ってきた鞄から菓子パンを取り出して齧る。これならスタッフにぼったくられる心配も無い。

 菓子パンをエナドリで流し込む。

 初日に見た露店で装備一式を新調し、再び1層の攻略を始めた。


「リベンジだ」


 道中の雑魚敵はまとめて『ぶん回し』で蹴散らしていく。

 そのおかげか前回よりも早くボス部屋の扉にたどり着いた。


『廃城の主、キングリザードマン』


 扉を開くと同時に現れるボスの名前とHPバー。


「くっ」


 開幕からキングリザードマンは拳銃を抜いた。

 体が反射的に怯みそうになる。

 歯を食いしばり転けるようにして地面に倒れ込んだ。

 背後から壁に弾丸の当たる音がした。


「危ねぇ……」


 立ち上がり、距離を詰めた。

 超大剣を持ち上げる。


 ──いやっ、待て。


 ボスの方が先に剣を動かした。なんとなく攻撃がくる予感がしたのだ。

 咄嗟に飛んで距離を取り躱す。


「おらっ!」


 着地と同時に剣の先で鱗に覆われた丸い腹を切る。

 102のダメージ。多少の防御力があって尚100ダメージ越え、悪くない。目に見えてHPも減った。


「キィイイ!!」


 巨大な体躯を活かした突進。床が僅かに揺れている。


「やばい」


 回避をしたもののボスは俺を追うように突っ込んできた。

 衝撃に体が大きく揺れる。体のあちこちを床で打ちながら転がった。


「いてぇ……」


 それでもまだ生きている。

 初期配布の紙切れのような防御力から確かに多少はマシになっているようだ。


 〈あぶな〉


 〈セーフ〉


 視界の端で忙しなく動くコメント欄を見つつ回復薬を飲む。


「パンッ」


 すかさず拳銃で狙ってきたボスも相当いやらしい。

 なんとか撃たれる前に反応して体逸らし避けた。


「もう回復した後だからよお!」


 口元を拭い「遅かったな」と煽って笑う。

 なんとか体勢は立て直せた。


 ボスが立て続けに剣を振る。

 横薙ぎを躱し、すぐに縦の攻撃が続く。


 いける。

 踏み込むと同時にボスが再び攻撃モーションに入った。


「なっ!?」


 互いに深く斬り合う。血飛沫が上がり、ボスが唸る。

 俺は全身を駆けた痛みに痺れ床に手をついた。


「振るのが遅いな」


 超大剣の攻撃モーションは大剣より少しだけ遅いらしい。

 大剣だと差し込めた攻撃の後隙も超大剣では上手くいかない場面があるようだ。

 床を蹴って後ろに飛ぶ。斬られた肩を抑え、回復薬を飲む。


「それでも……」


 HPバーは確かに減っている。


 〈ファイトー!〉


 大きく息を吐き出して前に歩く。

 そうだ。俺はやるしかない。

 視界の端に映る28の数字。そこにいる人たちは皆、俺の勝つ姿を見に来ているのだから。


 ──裏切れないな。


 超大剣の先で床を傷つけ火花を散らしながら駆けた。

 ボスが大きく剣を振り上げ、落とす。


 前に飛び込むようにして横を抜けた。

 一歩下がり、両手で持ち上げ超大剣の先を真っ直ぐ天井へ向ける。


「キィイ!」


 ボスは振り向きながら円を描くように剣を振った。

 そこに俺はいない。一歩だけ先に下がったから。


「バァァァァァカ!!」


 超大剣の刃が直撃した王冠が僅かな抵抗の後、砕け散った。キラキラと最後の輝きを放ち床の埃と混じった。そのまま刃はボスの額にも深く傷をつける。


「……もったいねぇ」


 残しておけば王冠のドロップがあったかもしれない。

 ボスは若干よろめいて後ろに下がり、額の傷口に手を伸ばした。


「キィイイ」


 鋭いトカゲの目をより鋭くして睨んでいた。

 余裕げに笑って返す。


 〈マジであるか?〉


 〈やば、アツ〉


「見とけ。今回で1層攻略を終わらせるぞ」


 コメントに向けて指を差す。

 ボスは再び闘志を取り戻したらしく突進してきた。



「ああ、くっそ」


 あれからかなりの時間動き回っていた。

 回復が出来ない。装備欄のところが空っぽになっている。もう確か、無い。回復は使い切った。

 肩で息をしながら超大剣を構え直す。


 廃城の主、キングリザードマン。

 HPバーは残りわずかだ。

 ボスが立ち止まる。


「だー! ずるいって」


 拳銃を構えていた。

 ハッハッと荒い息をしながら横っ飛びで躱す。


「うらあ!」


 咄嗟に走り出し、斜めに切り上げる。

 剣の先がボスの腕を裂いた。


「え」


 ボスのHPバーが無くなった。


『称号:一人革命』


 画面上部に通知が来る。


「ギギギィ……ィ」


 キングリザードマンは最後の力を振り絞るようにして部屋の奥に這いずっていく。


「ギ…………」


 上げていた顔が力無く落ち、経験値と1つの皮袋に変わった。


「きたっ、え? マジか」


 手が震えていた。


 〈来たーー!!〉


 〈うおおおお!!!〉


 騒がしいコメントにまだ状況が飲み込めていない俺はひとまず床に落ちた皮袋を取った。


『廃城の宝物庫の鍵』


「うわっ、絶対すごい。名前からわかるもん」


 床にしゃがみ手で顔を擦った。ニマニマと口の端が勝手に上がっていく。

 レベルは8になっていた。


 〈6レベのソロクリアは初めてみた〉


 〈多分、ほぼ最速〉


 〈ファンタジーオブシン史上初めてなんじゃない?〉


「やばい。やばいよな。俺」


 ふーっと息を吐き出し、胸に手を当てる。

 鼓動が強く手のひらを打って返した。

 キングリザードマンが最後に向かおうとしていた部屋の奥に向かうと扉があった。南京錠がされており、宝物庫の鍵を消費することが書かれていた。


「開けるな?」


 鍵を開き、俺はまだ震えている手で宝物庫の扉を押す。

面白い、続きが気になると思っていただけたら


☆ ☆ ☆ ☆ ☆での評価を押して応援してもらえると嬉しいです!


皆さまのブクマやアクション、感想が続きを書くモチベになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。