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ミモザを君に  作者: 水槽の中の脳(腐り気味)
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十三日目・後編

「続けてくれ。」


ヴェリアは男を見る。


数秒。


沈黙。


男の目は静かだ。


何も探っているようには見えない。


だが、もう分かっていた。


気付いた。


確信が胸に落ちる。


ヴェリアは視線を外した。


石壁を見る。


「……山は嫌いだ。」


短く言う。


男は小さく頷いた。


「分かる。」


それ以上は聞かない。


会話はそこで終わった。


しばらく沈黙が続く。


やがて男が立ち上がる。


椅子が石床を擦る。


「今日はここまでだ。」


ヴェリアは男を見る。


「短いな。」


「十分だ。」


男は椅子を戻す。


扉へ向かう。


足音が地下牢に響く。


規則的な音。


扉の前で止まる。


振り返る。


ヴェリアを見る。


何も言わない。


ただ一瞬だけ視線を置いた。


そして扉を開ける。


廊下の灯りが差し込む。


男は外へ出る。


扉が閉まる。


鍵が回る。


足音が遠ざかる。


やがて消えた。


静けさ。


ヴェリアはしばらく動かなかった。


石壁を見ている。


さっきの言葉が頭の中で繰り返される。


山側を押さえられると面倒だ。


小さく息を吐く。


「……馬鹿か。」


呟く。


地下牢は静かだ。


水滴の音。


鎖がわずかに鳴る。


ヴェリアは目を閉じた。


胸の奥に重いものが落ちている。


油断した。


その言葉が、ゆっくり沈んでいった。

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