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万遊の写狩  作者: 正導日明
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俺のターン

「はい、次……万矢」

「あ、はい」


俺は名前を呼ばれ、部屋に入る。

そこには大きな水晶体があり、これが判定を下す機械だとすぐにわかった。


「はい、それじゃ、そこに手を置いてください」

「わかりました。 あ、先生方」

「うん、どうした?」


先生たちは俺の声に反応し、俺を見つめる。

そこで俺は先生2人に仕掛ける。


「『理想的な幻影視(フェイクビジョン)』」

「ふぇ……」

「はぅ……」


2人の先生の眼が虚ろになる。。

よし、成功だ。


「あ、あれ? 何でここにいるんだ?」

「え、さ、さぁ……何で、でしょう?」


数秒すると意識がはっきりとしだす。


「先生方、今は適正検査中ですよ」

「へっ? 適正……検査……あ、そうか⁈ そうだったな!」

「あ、そうでしたね! 検査中でしたね!」

「そうだそうだ! すまないすまない! 何で今になってそんな事を忘れていたんだ?」

「先程、銀時がSランクと判明した事が相当驚きだったんでしょうね。 木村先生も私も驚きすぎて疲れているんですよきっと」

「そうかもしれませんね……いやはやいやはや……おっと、すまないな万矢。 早速だが、そこに手を置きなさい」

「はい……わかりました」


俺は言われた通り、水晶体に手を置く。

先程の真帆呂の青白い光とは違い、水晶体からは緑色の光が溢れ出す。


「な、なんだと⁈」


木村先生が驚きの声を上げる。


「し、Cランクだ!!」

「え、まさかS……え、C……ランク?」

「見てください! Cランクですよ! Cランク! しかも弐支氣(にしき)!! え、あれ? 今私Cランクって言いました?」

「え、えぇ……言いましたが、Cランクですよね? しかも弐支氣。 そんなに驚く事でも……ありませんよ……ねぇ?」

「……はい……あ、ほんとだぁ……Cランクです……ね……あっれぇ……? 先程の銀時以上の輝きだったんで、まさか続けてSランクが出たと思っていたんだが、Cランクと表示されている」

「しっかりしてくださいよ~木村先生。 かと言う私も人の事は言えませんね……きっと私達疲れているんですよ」

「昨日は酒を飲んでないんだが……そうか……疲れているんだな私は……」


2人の噛み合わない会話を聞き、どうやら成功したみたいだ。

俺は木村先生が見ている画面を見ると『S』と表示され、その横に『伍』と記されていた。

だが、二人の先生には『C』と見えているのだ。

俺が二人に使った力、『理想的な幻影視(フェイクビジョン)』のおかげである。

相手が見える物を見間違えさせる事ができる一種の催眠みたいなもんだ。

ただし、自分よりも強い相手には効かない事もあるので、使うには注意が必要になる。

俺は部屋を出る。


「よし……これでいい」


俺の思い通りに事が進み、笑みが零れる。

これで俺はCクラスの弐支氣として活動ができる。

まぁ、実際はSランクの伍支氣であるが、このままSランクと公表されてしまえば、真帆呂の様に協会に連れていかれ、あらゆる拘束が俺を待っている。


「真帆呂には悪いが、俺にはやらなければいけない事がある」


帰り道、ある事を思い出していた。

俺は5歳の時、両親が姿を消した。

だが、両親がいなくなった後、俺は覚醒した。

それからというものの、ある変な夢を見始める。

激しい戦闘が繰り広げられている場所。

そこには見慣れない男性……そして、その者の横を見ると、見慣れた二人の顔……父と母が立っていた。

後ろを振り向くと大きな黒い靄がかかっている。

3人はその大きな黒い靄を前に、戦おうとしいている。

だが、3人を見ると、表情は明るい。

そして、その後ろには見慣れない人が沢山いた。

そうした夢を俺は10年間の間、何度も見た。

だが、3年前、ある事に気付く。


「俺が父さんと母さん……2人と同じ場所にいるなんてな」


そう……俺の顔や体が成長する事により、見慣れない男性が俺だと気付いたのだ。

そして、確信に変わる……俺がこの先、両親と出くわすであろう未来を俺はずっと見ていたのだと。

これは恐らく予知夢……この先に起きるであろう現実。

周囲は馬鹿らしいと思うかもしれない。

思えばいいさ。

けど、そうだったとしても、俺が過ごしてきた10年は無駄にはならない。


「こうして、力を付けられた……まだまだ俺は強くなる」


その日が来るまで、俺は備えるのみだ。


目を留めていただき、ありがとうございました。

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「順応のAdaptor」・「Fly Daddy Again」という作品も掲載しております。

よろしければお読みください。

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