旅立ち、シルトキアを目指して
4話 旅立ち、シルトキアを目指して
今日は出発の日だ、宿屋のおばちゃんに挨拶をして待ち合わせ場所の村の門の前に行くとすでに皆そろっていた。
「すいません、お待たせしました」
「遅いぞソウ、なんだ寝坊でもしたか?」
「コウ、貴方じゃないんだからないわよ」
「それにまだ時間前ですしね」
「コウは私が起こしに行かなかったらまだ寝てたと思うけどねぇ~」
「それは言うなよ・・・」
「それじゃいくわよ」リデントさんの一言で俺の始めての旅が始まった。
しばらく、何事もなく順調に進んで行き山に差し掛かったところでコウさんが叫んだ。
「敵だ!構えろ!」
「っ!?」
現れたのは亀のようなモンスターだ、動きは遅いので注意すれば問題ない。
「おら!」
コウさんが叫びながら両手剣を振り下ろすが、硬い甲羅に弾かれた。
「やっぱ硬いな・・・」
「物理はほとんど効果ないわよ!」
「わかってる!ソウ!!」
「了解です!」
最初に買った短剣〈アイアンナイフ〉を抜き、亀のようなモンスター〈ストーンタートル〉の甲羅に乗る、そして全力で短剣を突き立て振り落とされないようにしがみ付き〈凍結〉を使った。
モンスターと言っても亀には違いない、そして亀は変温動物だ、体を芯から冷やしてやれば簡単に凍え死ぬ。
「ブオォォォォォォ!!」
ストーンタートルはたまらず引っ込めていた首を出す、そこにすかさずリデントさんが矢を撃ちダメージを与えると、コウさんがすかさず両手剣を構えて首めがけ振り下ろす。
「っら!」
コウさんの力の乗った一撃はストーンタートルの首を斬り飛ばした。
「おっしゃ!」
「お疲れ様、ソウ頑張ったね」
「ありがとうございます、リデントさん」
「なぁ、ソウ・・・」
突然コウさんに呼ばれた
「なんですか?コウさん?」
「いやさ、それやめない?」
「はい?」
「いや、だから敬語をやめてくれと、どうもそれ聞くと背中がかゆくてしょうがない」
「いや、でもこれ癖ですし・・・」
前に先輩からも言われたことが有ったが結局諦められた。
「そういうなよ、これから長い間仲間として過ごすんだから」
「ん~、わかりました、これからはできるだけ敬語無くしていきます」
「おぉ!いいぞいいぞ、それじゃさっそくやってみようか」
コウさん先輩より面倒だなぁ~と思いながら、まぁ自分で言ってしまったのでやってみようと思う
「それじゃ、コウよろしく」
「おう!」
「私もフィルでいいよ~!」
「私も呼び捨てでかまわないわ」
「僕も呼び捨てでいいです」
そう言って来る皆に俺は苦笑しながらわかったっと返した。
皆を呼び捨てにすることになってしばらくたった。今は山の中腹あたりを歩いている。
「暗くなってきたし、ここら辺で野宿しましょ」
「さんせー!」
「それじゃ、フィルよろしく」
「任せといてよ!」
どうやら、夕食はフィルが作るようだ、俺はコウさんと火をおこしている。
「フィルって料理得意なの?」
「ん?おう!あいつの飯はうまいぞ!」
「へ~意外ですね」
「ソウは料理はできるのか?まぁ、ケンができなさそうだったからお前が作ってたんだろ?」
「いえ、先輩は料理結構できますよ」
「え、マジで!みえねぇ・・・」
そう、先輩はああ見えて結構料理がうまい、その腕前はガーレ村の宿屋のおばちゃんが絶賛するほどだ、先輩は普段面倒だといいあまり作らないが、たまにおばちゃんがギルドに名指しで依頼を持ってきて、先輩が金ほしさに依頼を受けたときの宿の飯は最高だった。
「みんな~できたよ~」
フィルがそう呼んできたので食べにいった。
ちなみにフィルが作ったシチューは普通においしかった。
夜、交代で見張りをすることになり、俺はコウと一緒に朝方にすることになった。
「なぁ、ソウ」
「なに?」
「お前は何で冒険者になったんだ?」
そう聞いてくるコウに俺は正直に答えた。
「先輩に連れられてですよ、何の説明もなしに受付に連れて行かれてほぼ強制でしたね、あれは」
「後悔はしてないのか?」
そうコウが聞いてくる、俺は少し考えながら答えた。
「正直に言って後悔はしてますよ、いろんなことに・・・」
「・・・」
「でも、俺はあの時先輩に連れられて、そしてあの時にクランに入れって言われてよかったと思う」
「なんで?」
「そりゃ、このウィンディーネや加工屋のオヤジに宿屋のおばちゃん、皆に会えたんだから」
そうだ、もしあの時扉を開けなかったら、この世界に来ることはなかったし、もしギルドに入らなかったら加工屋のオヤジに、そしてあのまま先輩とパーティーを組んだままだったら皆とは会えなかっただろうから。
「・・・そうか、ならよかったよ、こんな危険な仕事だからよ、辞めていく奴らも多いんだ」
そういい少し悲しそうな目で俺を見て
「お前はそうならないでくれよ・・・」
そういった。
「・・・わかったよ、それに先輩を越えるまで辞めるつもりはないよ」
「そうか、んじゃ、張り切って見張りの続きしますか!」
そう、朝日が昇ってきた空に向かって言っていた。
皆が起き、飯を食ったら歩き始めた、道中数回モンスターと戦闘になったが、特に危なげなく倒し、夜になる頃には山を越えたところにある村についた。その日は何もせずに宿に泊まって寝た。
翌朝、宿のテーブルで朝飯を食べながらちょっとした会議をした。
「それじゃ、明後日までここで休みましょうか」
「了解リーダー、んじゃ俺は買出しに行ってくる」
「えぇ、お願い、後の皆はゆっくり休んで頂戴、道具とか、個人の使うものが切れている人は忘れず補充をしておくようにね」
「了解です、それじゃ、自分は毒が切れ掛かっているので買ってきます」
「あ、私も行くよ~」
「行ってらっしゃい、エルはどうするの?」
「僕は流石に疲れたので部屋でゆっくりさせてもらいます」
「わかったわ、それじゃエル留守を頼んだわよ」
そう言って俺達は3人で買い物にいった。
「ねぇねぇ、ソウ」
「どうしたフィル?」
突然フィルが話しかけてきた。
「ソウとケンっていつ知り合ったの?」
「えーと、初めてあったのは2年前かな」
「あら、思っていたより付き合いは長くないのね」
「そうですね、趣味が同じだったので、よく話しをしているうちに仲良くなったので」
「へぇーそうだったの」
そんな会話をしながら買い物をしていると
「だ、誰か助けてくれ!!」
男の人がそう叫びながら村に入ってきた。リデントは男に近づきながら聞いた。
「どうしたのですか?」
「む、娘が山賊に連れて行かれたんだ!!」
人攫い、この世界ではよくある事だが、とうてい許せるものでは無い事だ。
「わかりました、私達が助けに行きます」
「ほ、本当か?あ、ありがとうございます!」
「えぇ、できる限りの事はします。ソウ、コウを探して宿に連れてきて!フィルは私と宿に戻って準備をします!」
「了解です!」
そう返事をしてコウを探しに行く。確かコウは食料の調達をしにいっているはずだ。
「コウ!」
「ん?どうしたソウ?」
「説明は後でする!それより早く宿に戻るぞ!」
「お、おう」
───宿屋───
宿屋に着くと既に準備を終えたリデントとフィルがいた。
「待っていたわよ、急いで準備をしてきて!」
「わかったけどよ、どうした?」
「話はあと!早くいくよ!」
装備を急いで整えて山賊のアジトに向かう、その途中でコウに説明をする。
ちなみにエルは村に残っている。
「なるほどね、そのオッサンの頼みをリデントが聞いたって訳か・・・」
「簡単に言えばそうだね」
「そうか、なら早くその山賊をぶっ飛ばそうぜ!」
「コウ、もう直ぐで着くから少し静かにして」
10分ほど進むと洞窟が見えてきた。
「あれね・・・」
「どうする?突っ込むか?」
「・・・そうね、見張りもいないしそうしましょう」
───洞窟内部───
「おかしいわね・・・」
「あぁ、人が1人もいないな・・・」
コウを先頭に洞窟に入るが洞窟内には攫われた人どころか、山賊すらいなかった。
「・・・おい、これ見てみろリーダー」
コウが指差した方には首を斬られた山賊らしき死体があった。
「・・・これは酷いわね」
「あぁ、完全に複数でやっているな」
「どうする、リデント」
「フィル、何か聞こえる?」
リデントはフィルにそう聞いた、忘れがちだがフィルは猫族の獣人だ、聴覚や視力は俺たち人間よりも数倍上だ。
「・・・奥から少し声がするよ、これは急いだほうがいいかもしれない!」
「行くわよ!」
フィルの言葉で走り出す、途中には山賊の死体が転がっているが、気にしている場合じゃない、奥が見えてきた。
「く、来るな!こいつがどうなってもいいのか!?」
洞窟の一番奥にある、一番大きい部屋からそんな声が聞こえてきた。急いで中に入ると山賊の頭と思しき男の頭に剣が振り下ろされる瞬間だった。
「ふん、貴様のような奴に生きる価値などない」
そう言っている男を見て、俺は言葉を失った、なぜならそいつは俺と同じ学校にいた奴だからだ。
「御剣・・・隼人・・・」
御剣 隼人俺がいた学校では知らない奴はいないっと思う男だ、スポーツ万能、成績優秀、正義感が強くて、何より男の俺から見てもイケメンと思うほど顔がいい。先輩はこんな奴が一番信用ならんっと言っていた。
「君大丈夫だった?」
「あ、ありがとうございます!」
どうやら攫われた女の子は無事みたいだ。
「ハヤトこっちは終わったわ」
「ありがとう、レク」
「えぇ、それよりも、そっちのあんた達は何者?」
レクと呼ばれた女の子が剣をこちらに向けながら聞いてくる。
「まぁまぁ、レクいきなり喧嘩腰は駄目だろう、たぶんギルドの冒険者の人だと思うよ」
「そうよ、私は冒険者のクラン、ウィンディーネのリーダー、リデント・フィアナよ、貴方達は一体何者よ?」
リデントがそう聞いた、隣ではコウとフィルが武器を抜き警戒する。
「失礼、申し送れました俺は御剣隼人といいます。一応召喚された勇者ってことになってます」
「勇者だと!?」
「そうですよ、王様に頼まれて魔王を倒すために今は修行中ですけど」
「ハヤト、もう行きましょ、皆が待ってるわ」
「そうだな、すいません、この子をお願いしてもいいですか?」
「えぇ、責任を持って親の所まで送るわ」
「ありがとうございます、それじゃ失礼します」
そう言うと御剣は外に向かって行ってしまった。
「ふぅ・・・アイツなかなか出来るぞ」
「そうね、コウと互角ぐらいありそうだったわね」
「いや、正面からやったら負けると思う、経験は俺が上だと思うが・・・」
「コウ、リデントそれより早く戻ろう」
俺達は平気だが、女の子がさっきから山賊の死体に怯えている。
「そうね、早く戻りましょうか」
村に戻ると村人総出で感謝された。あの山賊には前からいろいろされていたようだ。
「ありがとうございます!何とお礼を言ったらいいか!」
「いえ、お礼は大丈夫です、私達は何もしていません、ついたらミツルギと言う勇者が先に助けていたんですよ」
「おぉ!あのお方がですか!」
「知っているのですか?」
「えぇ、昨日の昼にこの村をたたれたのですが、まさかあのお方が助けてくれるとわ」
どうやら御剣はこの村に滞在していたようだ。
「それでも、あなた方はこうやって娘を連れてきてくださったのですから、お礼を言わせてください、そうだ!今日は家でご飯を食べませんか?ご馳走しますので!」
「いえ、本当に私達は本当に何もしてませんから」
「いえいえ、そう言わずにご馳走になってください!このままでは私の気が晴れません!」
「そう言う事ならご馳走になります」
村を発って3週間たった、あの時、御剣は勇者と召喚された勇者と言っていた、御剣が勇者なら俺は、いや、俺と先輩は何なのだろう、俺達は召喚された訳ではないがこの世界にいる、何故あの扉がこの世界に繋がっていたのか、何故俺達の前に現れたのかわからない、だがこの世界にいる、例え勇者じゃなくても、元の世界に帰れなくても俺はこの世界で生きていく、新しい仲間がいるこの世界で・・・




