第五十七部 バイト先の愉快な仲間たち
ただ「楽しい!」だけで繋がっていたあの頃。
揃いも揃ってアクセル全開だった仲間たちと過ごした、ちょっとおバカで最高だった青春の断片を覗いてみませんか?
バイトをしていた頃のこと。
一緒に働いていた人たちは、みんな明るくて楽しい人ばかりだった。
ただ……
今思い返してみると、ちょっと変な人も多かった。
ある日のバイト帰り。
みんなでワイワイ歩いていると、突然、ひとりが小さな小瓶を取り出した。
「これ、睡眠薬だよ」
みんな興味津々。
「どうしたの?」
「本物?」
小さな粒の入った薬瓶を、代わる代わる手に取って眺めていた。
すると誰かが、
「これ、全部飲んだら死ねるの?」
と言った。
その瞬間――
薬を持っていた人が、いきなり小瓶を川へポーン!
「あーーーっ!」
みんな一斉に叫んだ。
いやいや……
何の薬かも分からんのに。
また別の日。
突然、
「隣の店長に、『髪が!』って言ってきて」
と言われた。
言われるがまま隣のお店へ行き、店長さんの前で、
「髪が……」
と言った。
すると、
パシッ!
軽く頭を叩かれた。
何が何だか分からないまま戻ると、みんなが大笑い。
「アデランスよ!」
そういうことだったのか……。
どうやら、隣の店長さんは髪の毛のことで、何かいじられていたらしい。
そして、また別の日。
みんなで、
「仕事が終わったら、海へ行って花火しよう!」
という話になった。
仕事が終わると、そのままみんなで海へ。
花火をして、さんざん遊んで、そのまま雑魚寝。
ところが夜中――
「目が痛い!」
突然、ひとりが叫び出した。
見てみると、目が真っ赤に腫れている。
どうやら遊びに夢中になって、コンタクトレンズを外すのを忘れていたらしい。
「大丈夫?」
みんなで心配しながら、代わる代わる目を冷やしてあげた。
結局、その夜はほとんど眠れなかった。
福岡の油山といえば、当時はデートスポットとして有名だった場所。
私たちは「見に行こう!」という話になり、夜に車で出かけた。
すると、山道の片側だけに、少し間隔を空けた車がずらりと並んでいた。
その光景を見た私たちは、急に恥ずかしくなり、慌ててUターンして帰った。
みんなでよく屋台にも行った。
屋台でおでんを食べていると、ドイツ人のお客さんがやってきた。
なんと、ビールを温めてもらっていた。
私がビックリして見ていると、そのドイツ人のお客さんが、
「ドイツでは、冷たいビールは飲まないんだよ」
と教えてくれた。
屋台は色々な人がいて楽しかった。
バイトの出張で、仲間3人で大阪に行った時のこと。
大阪のデパートの社員さんたちが、挨拶のたびに「まいど」と言うので、私たちは顔を見合わせて笑った。
大阪は雪が降っていて、ものすごく寒かった。
しかも私たちは、防寒着もなく、薄いセーターと薄い上着。
そんな格好で、1週間、地下鉄で通った。
山笠を、みんなでまだ暗いうちから見に行ったこともある。
山笠は、沿道から勢いよく水をかける。
私たちの中のひとりが、山笠が走るロープをくぐって中へ入った瞬間――
頭から水を浴びて、ずぶ濡れになった。
まだ暗かったので、最初は周りの様子もよく分からなかった。
ところが、だんだん明るくなってくるにつれて、中洲の仕事帰りと思われる人たちなど、たくさんのギャラリーがいることに気がついた。
山笠は、朝早くからものすごい熱気に包まれていた。
今思えば、何をするにも全力だった。
小瓶を川へ投げたり、店長の髪をネタにしたり、海で遊びすぎて朝まで看病したり。
本当に、変な人たちだった。
でも……
そんな仲間たちと過ごした時間は、今でも最高の思い出として残っている。
今思えば、よくもまあ、こんなことをしていたなぁ。
でも、あの頃はみんな若くて、何をするにも全力でした。
今では笑って話せる、懐かしいバイト仲間との思い出です。




