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第四十五部 可愛いひよこが、二羽ともいなくなった

子どもの頃、ひよこを飼うのが夢だった。

黄色くてフワフワの小さなひよこを、毎日眺めていたあの頃。

まさか、我が家のベランダが、猫との戦いの場になるとは思いもしなかった。


子どもの頃、どうしてもひよこが飼いたくなった。

母に頼み込んで、近くの養鶏場へ連れて行ってもらい、可愛いひよこを二羽選び、もらってきた。

父は板と金網を使って、立派なひよこの小屋を作ってくれた。

その小屋を二階のベランダに置き、毎日エサをやっては、ひよこが成長していく姿を見るのが楽しみだった。

黄色くてフワフワだったひよこは、日に日に大きくなっていった。

ところが、ある日。

「ピーピーッ!」

今まで聞いたことのない、悲鳴のような鳴き声が聞こえた。

私は慌ててベランダへ駆け上がった。

すると、そこには…

ひよこをくわえた猫がいた。

私と目が合った次の瞬間、猫はひよこをくわえたまま屋根の上をトントントンと軽やかに走り去っていった。

呆然として小屋を見ると、金網には大きな穴が開いていた。

父は慌てて穴を塞ぎ、残ったひよこを小屋の中に戻してくれた。

これでもう大丈夫。

私はそう思った。

ところが、次の日。

「ピーピーッ!」

また、ひよこの鳴き声がする。

私は慌ててベランダへ駆け上がった。

すると。

昨日と同じ猫が、またひよこをくわえている。

そして私と目が合うと、

「アホだなぁ〜」

とでも言いたげな顔をして、また屋根の上をトントントンと軽やかに走り去っていった。


一度破った金網は、猫にとっては簡単だったのだろう。

父が一生懸命作ってくれた立派な小屋も、猫には敵わなかったらしい。

可愛かった二羽のひよこは、あっという間にいなくなってしまった。

子どもだった私は、何もできず、ただその場に立ち尽くして泣くしかなかった。


今思えば、あの猫に悪気があったわけではない。

ただ、生きるためにひよこを捕まえただけなのだろう。

それでも、あの時の私にとっては、大切に育てていた可愛いひよこだった。

黄色くてフワフワだった二羽の姿は、今でも忘れられない。


それにしても、父が一生懸命作ってくれたひよこ小屋まで破ってしまうとは…

今思えば、猫の方が一枚上手だった。

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