第四十三 ディスコで浮いていた私
昭和の若者文化といえば、やっぱりディスコ。
音楽に合わせて踊り、綺麗に着飾った若者たちが集まる、華やかな場所だった。
…と言いたいところだけれど、私の場合はちょっと違った。
なぜか私は、いつも場違いな格好でディスコへ繰り出していた。
そんな私の、ディスコブームの思い出です。
私が若い頃は、ディスコブームだった。
福岡の街にもディスコが何軒かあり、ブームに乗った私たちは、仕事が終わるとディスコへ繰り出していた。
ところが、ディスコの入り口で、なぜか私だけ身分証の提示を求められる。
多分、Tシャツにジーンズという格好だったからだと思う。
その日も仕事帰りで、通勤していたそのままの服装だった。
今思えば、そもそもそんな格好での出勤が許されていたのかどうかも、ちょっと怪しい。
でも当時の私は、そんなことは気にしていなかった。
ディスコへ行っても、別に踊るわけでもない。
お酒を飲むわけでもない。
ただ、みんなで騒いで帰る。
今思えば、何をしにディスコへ行っていたのだろう。
そんなある日。
仕事が終わり、従業員出入り口から出ようとすると、兄がそこで待っていた。
私を見るなり、第一声が、
「そんな格好の人は、1人も出て来なかったぞ!」
そして続けて、
「みんな綺麗なお姉さんばっかりやったぞ!」
そうなのだ。
福岡・天神の大きな商業施設のビルだったので、仕事帰りの人たちは、みんな綺麗な服を着て、お化粧もバッチリ。
みんなおしゃれな服に身を包み、ロングブーツなんかも履いていた。
その中で私は――
すっぴん。
Tシャツ。
ジーンズ。
そして、スニーカー。
おしゃれにも、お化粧にも、まったく縁がなかった。
そりゃあ兄も、私を探すのに苦労しなかっただろう。
というより……
「綺麗なお姉さんばっかり」の中に、スニーカーの私。
探す必要なんて、なかったかもしれない。
私の青春時代は、吉田拓郎や南こうせつが大好きだった。
だから、Tシャツにジーンズ、スニーカーという格好も、私にとっては当たり前。
あれは完全に「拓郎ファッション」だったのかな。
ディスコブームに乗ってディスコへ行っていたのに、ファッションは最後までフォークだった。
今思えば、あの頃の私は、ディスコへ何をしに行っていたのだろう。
踊らない。
お酒も飲まない。
ただみんなで騒いで帰る。
しかも、周りは綺麗に着飾ったお姉さんたちなのに、私は仕事帰りのTシャツとジーンズに、すっぴん。
今なら、もう少しおしゃれして行ったかもしれない。




