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第四十部 初めての登山と、二度目の悲劇

初めての登山は、とても楽しかった。

まさか二度目の登山で、こんな悲劇が待っているとは……。


中学生の頃、姉の友達が、

「久住山に登りに行かない?」

と誘ってくれた。

登山なんてしたことがなかった私は、もちろん大喜び。

すると姉の友達が、登山に必要なものをいろいろ用意してくれた。

登山靴にリュック、ヤッケまで。

初めて履く登山靴は赤色で、可愛かった。

だけど、重かった。

「こんな靴を履いて山に登るのか…」

と思ったけれど、初めての登山にワクワクしていた私は、そんなことは気にしなかった。


朝早く家を出て、列車に乗り、バスに乗り換えて、登山口へ向かった。

いよいよ登山開始。

最初はなだらかな山道だった。

初めて見る景色に心が弾み、私は軽やかに山道を登っていった。

「山登りって、楽しい!」

そんな気分だった。

ところが、山頂が近づくにつれて、道の様子が変わってきた。

大きな岩や石がゴツゴツと現れ、斜面もどんどん急になっていく。

さっきまでの余裕は、少しずつ消えていった。

それでも前を見ると、尖った山頂が見える。

「あそこが山頂だ!」

あと少し。

あと少し。

そう思いながら登っていくと、ついに山頂にたどり着いた。

そこには、

「久住山」

と書かれた山頂標識があった。

初めての登山で、私は久住山の山頂に立ったのだ。

記念に写真も撮ってもらった。

山頂は、意外に狭かった。

そして、寒かった。

それでも、そこまで登ってきた達成感で、寒さなんてどうでもよかった。

すると姉の友達が、持ってきていたものを私にくれた。

ハチミツに漬けたレモンの薄切りだった。

一枚食べてみると、甘酸っぱくて、とても美味しかった。

山の上で食べるレモンは、普段食べるレモンとは別物に思えた。

「山登りって、いいなぁ」

今思えば、かなり嬉しかったんだと思う。

帰り道は、登ってきた道とは違っていた。

広い草原のような場所を歩き、朝とは違う登山口へ下りてきた。

初めての久住山登山は、無事終了。


私は家に帰ると、今度は友達を誘いたくなった。

そして姉の友達に、

「また連れて行って!」

とお願いした。

こうして私は、友達数人と姉の友達と一緒に、二度目の久住山へ向かうことになった。

ところが…

二度目の久住山は、前回とはまったく違っていた。

登り始めて、それほど時間も経っていなかったと思う。

突然、ものすごい腹痛に襲われた。

しかも、吐き気までしてきた。

みんなは元気いっぱい。

ワイワイ話しながら、どんどん先へ登っていく。

私はというと、

「きつい」

それでも、みんなについて行こうとした。

たぶん私は、二度目だから大丈夫だと思っていたのだろう。

その後の記憶が、まったくない。

どこまで登ったのか。

どうやって帰ったのか。

山頂まで行ったのか。

それとも途中で引き返したのか。

何も覚えていない。


私の二度目の久住山登山の記憶は、腹痛と吐き気に襲われたところで、ぷつりと途切れている。

ただ、一つだけ確かなことがある。

きっと心の中でこう思ったに違いない。

「もう、二度と山には登らん!」

久住山との思い出は、たった二回で終わった。

初めての山登りで食べた、ハチミツ漬けのレモン。

あれは本当に美味しかったなぁ。

だからこそ、二度目の久住山があんな結末になるとは……。

人生、何事も二度目がうまくいくとは限らない。

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