第三十五部 赤ちゃんを泣かせた手作り人形
赤ちゃんが生まれると、何かプレゼントしたくなるものです。
子どもだった私も、「喜んでもらいたい!」という一心で、人生初のぬいぐるみ作りに挑戦しました。
高校生の頃、姉が赤ちゃんを連れて里帰りをしてきた。
あやすとニコニコ笑う、とても可愛い女の子だった。
その笑顔が嬉しくて、私は思った。
「そうだ! 私がぬいぐるみを作ってあげよう!」
ところが当時の私は、ぬいぐるみの作り方など知るはずもない。
本を見るわけでもなく、写真を参考にするわけでもなく、すべて頭の中の想像だけ。
「頭は丸くして……」
「体は細長く縫って……」
布を縫っては綿を詰め、手足をつなぎ、毛糸で髪をつける。
最後に目と口をつけて完成。
私は、自信満々で赤ちゃんの前へ行き、
「はい!」
と、ぬいぐるみを差し出した。
その瞬間――
「ギャーーッ!」
赤ちゃんは今まで聞いたこともないような大声で泣き出した。
姉は私の力作を一目見るなり、
「怖っ!!」
たった一言。
どうやら私が作ったのは、ぬいぐるみではなく、赤ちゃんを泣かせる怪しい人形だったらしい。
人生初の手作りぬいぐるみは、可愛いとは、とても言えない出来栄えだった。
今なら型紙も作り方も簡単に調べられますが、あの頃は自分の想像だけが頼りでした。
善意100%で作ったのに、まさか赤ちゃんの大泣きを引き出してしまうとは……。
今では笑って話せる、ほろ苦くも楽しい思い出です。




