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第二十六部 弟の受難シリーズ〜口裂け女をおびき寄せる作戦〜

昭和の子どもたちは、今では考えられないような噂話を本気で信じていました。

その中でも「口裂け女」は、夜道を歩くのが怖くなるほどの大きな話題でした。

ところが、私たちは怖がるだけでは終わりませんでした。


「口裂け女」が出るという噂が全国に広まった。


夜道を一人で歩いていると、見知らぬマスク姿の女の人に、

「ねえ、私きれい?」

と聞かれる。


「はい」と答えると、

「これでも?」

と言ってマスクを外し、耳まで裂けた口を見せるという、今思えば何とも恐ろしい都市伝説だった。


もちろん、子どもだった私たちは本気で信じていた。


ところが、怖がるどころか、

「本当に出るのか試してみよう!」

という、とんでもないことを思いついた。


犠牲になったのは、当然‼︎ 弟。


スカートを履かせ、ブラウスを着せて、

「夜道を一人で歩いてきて!」

と命令。


今なら絶対に断るであろう弟も、あの頃は素直だった。

スカート姿で、言われるまま夜道をトボトボ歩き始めた。


私たちは少し離れたところから、息を潜めて後をつけた。


「来るかな……。」

「もうすぐかも……。」


ドキドキしながら見守っていたが、待てど暮らせど口裂け女は現れない。


弟は息を切らせ走って帰ってきた。

「怖かったー」

今思えば、口裂け女よりも、夜道を一人で歩かされた弟のほうが、よほど怖かったかもしれない。

一番怖かったのは口裂け女ではなく、夜道を一人で歩かされた弟だったのかもしれません。

弟には申し訳ないけれど、今となっては笑ってしまう、昭和の子どもらしい思い出です。

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