第二十五部 弟の受難シリーズ 〜ゴキブリの襲来〜
昭和の子どもたちは、怖いもの見たさも好奇心も人一倍でした。
そして、なぜか我が家では、その好奇心の犠牲になるのは決まって弟。
今思えば、本当にひどい姉たちでした。
ある夜、窓の外を見ると、街灯の明かりの中を無数の虫が飛び回っていた。
「虫がいっぱい飛んでる!」
私が叫ぶと、姉も弟も窓に集まってきた。
まるで映画『鳥』のように、黒い虫が空を舞っている。
「何の虫やろ?」
姉と私は気になって仕方がない。
そこで、弟をガラス戸から外へ押し出し、すぐに戸に鍵をかけた。
「見てきて!」
弟は恐る恐る外へ出たが、次の瞬間、暗闇の中で
ギャー‼︎
弟が悲鳴をあげる。
「ゴキブリーっ!! ゴキブリの大群!!」
と叫びながら、ガラス戸をドンドンと必死に叩く。
私たちは慌てて戸を少しだけ開け、弟だけを素早く中へ引きずり込んだ。
外には大量のゴキブリが飛び回っていたらしい。
ところが、しばらくすると、さっきまで空を埋め尽くしていたゴキブリは、まるで何事もなかったかのように一匹もいなくなった。
「どこかの家がバルサンでも焚いたっちゃない。」
と姉は言った。
本当かどうかは分からない。
でも私は、今でもあれは「どこかの家のバルサン騒動」だったと思っている
今なら間違いなく弟に怒られそうですが、当時は本人も文句を言いながら付き合ってくれていました。
思い返せば、弟は我が家の「実験台」だったのかもしれません。




