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美人だけど最恐堅物な風紀委員長が、俺の前でだけエッチなデレデレ極甘女子を演じ始めて今日も感情がない件  作者: ファッション捜査課のスカリー


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第25話 デートと雑貨とアクシデント——

次の目的地は映画館の近くにある大きな雑貨屋だった——


ガラス張りの外観に白い照明。店に一歩入った瞬間空気の匂いまで変わる。

モダンで洗練された内装は余計な装飾を削ぎ落としているのに、置かれているもの一つ一つが映えるように計算されているようで、天井から落ちる光が棚の角をやわらかく縁取っていた。


俺は凛と肩を並べて歩き、通路の端から端までをゆっくり流してゆく。

隣で彼女は楽しそうに店内を見回しながら、気になったものがあるたびに立ち止まっては指先でラベルを確かめたり、素材を見比べたりする。

さっきまでの食事の時の落ち着かなさが嘘みたいに、自然と雰囲気が良くなっていくのを感じて俺は内心ほっとしていた。


そして20分くらい経った頃——


ある棚の手前に差し掛かった瞬間、凛の声色がふっと変わった。目が輝いて足が速くなる。


「わぁぁ!これ素敵♡」


凛が手に取ったのは青いレジン製の髪留めだった。

透明感のあるグラデーションが綺麗で角度を変えるたびに色が深く見えたり淡く見えたりする。彼女の艷やかな黒髪に映えそうな色味で、センスという点でも凛はやっぱり高いのだろう。


「綺麗だねそれ、凛は髪留めとか探してたの?」

「うんっ!髪留めは学校でも校則違反にならないし、授業中とか勉強中とかに髪が邪魔な時に使えれば便利かなって思って」


——なるほど。


髪が長いってそれだけで手間が増えるわけで、俺は短髪で済ませてるからそういう苦労を想像する機会がそもそも少ない。


「女の子って大変そうだな……」


ぽろっと漏れた言葉に凛は小さく笑ってみせた。そんな彼女に俺は続ける。


「それ、凛に似合いそうだよね」

「ほんとぉ?そう思う?」

「うん。凛って髪綺麗だし、落ち着いたその色ならバッチリじゃないかな?」


言った瞬間、凛の動きが止まった。返事が来ない。


——あれ?俺、何か変なこと言ったか?褒めたつもりだけど、余計な地雷を踏んだとか?


「……………………………」

「…………凛?」


焦って覗き込むと、凛はうつむいて、耳まで真っ赤で視線が泳いでいる。


「……………………えへへっ……///」


肩透かしを食らった気分だった。


いつもの調子で返してくると思ったら、本気で照れているみたいで……少し焦ってしまった。


凛はもぞもぞとしながら髪留めをそっと元に戻すと、俺の気を逸らすかのように少し横の棚へ移動した。

次にそこで手に取ったのは、小さなイヤホンが入る革のポーチ型キーホルダー。


「これも可愛いねっ……イヤホンってなんだかんだ必需品だし……」

「あっコレいいね!俺、こういうの探してたんだよね」


実は俺もたまたまイヤホンケースを探していた事もあり、話題としても逃げ道としても助かる。そう考えて俺は自然にその話題に乗っかった。


凛はそのままこちらを振り返りニコッと笑顔を向けてくる。


「ねぇあっくん……これ、お揃いにしない?」

「お、お揃い……?」

「うん!ふたりで色違い買ってさ♪」


その一言に内心驚いてしまう。


お揃い……それは検証の域を越えてないか?もし学校で誰かに気づかれたら、凛の立場に余計な火種が飛ぶんじゃないか?


そういう現実的な心配が先立ってしまう。


「えっ、いいの?お揃いで持っても……?」


躊躇する俺に、凛はまったく気にしていない様子で勢いのまま押してくる。


「せっかくの記念なんだし、いいじゃんいいじゃん♪だからお揃いにしよっ!」


まあ、ここで引いて空気を壊すのも違うだろうし、俺は少しだけ考えてから頷いた。


「凛がそう言うなら……そうしよっか」

「うんっ!……んふ〜♡あっくんとお揃いだぁ〜///」


その顔が本当に嬉しそうで、うっかり勘違いしそうになる。


——違う、これは検証の演技だ。意中の人とのデートならそういう反応が基本なんだ。


そう自分に言い聞かせながら、俺たちふたりはキーホルダーの中から好みの色を選んでゆき……熟考の末、俺は黒、凛は白という対照的で妙にしっくりくる組み合わせに落ち着いた——


ホクホクしながらそれを持って二人でレジに並び、会計を済ませる。


ふと時計を見ると、凛が見たいと言っていた映画の時間まではあと40分くらいとなっていて、そろそろ出発しようと思った矢先——

ようやく緊張がほどけてきたせいか、俺は急に催してしまい凛に声を掛けた。


「凛、俺ちょっとお手洗い行ってくるね」

「あっ、うん!じゃあ私はお店出た所で待ってる!」

「おっけ!すぐ行くよ!」


そう言って俺は凛と一度別れて、店内奥のトイレへ向かった。

彼女をあまり待たせたくないと思い、手早く用を済ませて外に出ると、その時ふとある事が頭をよぎった。


「そういえば凛、あの髪留め買ってなかったよな……?」


この前のカフェ代や今日の食事代など、俺は凛に先を越されてしまってばかり。

やはり一方的に受け取るのはどうしても気が引ける。

そう思った俺の足は自然とあの棚へ向かっていた。


凛が興味を持っていた髪留めの棚。

そこに置いてある青いレジンのグラデーションのそれを手に取り、手早くもう一度レジへ向かった。


会計を終えて袋を受け取ると、胸の奥のひっかかりが少しだけ軽くなる。


「よしっ、これで凛にお返しが出来る……」


そう思って店を出ると、そこで視界に入ったのは俺を待っている凛——そして彼女の前に立っている見知らぬ男が二人。

チャラそうな風貌で距離が異様に近く、空気が嫌な方向に歪んでいるのが一目で分かった。


(ねぇねぇ、君学生?めちゃくちゃ可愛いね?)

(だよなぁ!俺達今ちょっと暇してて……よかったら奢ってあげるから一緒にお茶でも行こうぜ?)


俺の視線の先で凛は一歩引きながらきっぱり拒んでいる。


「ちょっと!そういうのやめてください!あっちいって!」


(そう言わないでさぁ!だってその格好とか絶対狙ってるっしょ?ナンパとかさぁ!)


「ちょっと触らないでっ!」


——え゛っ……なんか凛がナンパされてるっ!?どっ、どうしよう……。


今日の凛は普段の制服の鎧がなくて目立つ。

まあ、あの可愛さであの服装……そしておっぱいまで協調されていれば、そういう輩が現れるのも頷けてしまう。


でも、今はそんな事よりこの状況をどうにかしなければ。

助けなきゃ、とは思うものの喧嘩は得意じゃない。だけど、そんなこと言ってる場合じゃない……!!


俺は夢中で駆け出していた。


「凛っ!!」

「あ、あっくん!!」


凛がこちらを振り向いた瞬間、俺の手は無意識に彼女の手を取っていた。

迷っている暇はない。俺はそのまま彼女を引いて走り出す。


「ほらっ走って!行くよっ!」

「あっ!!待って!!あっくん!!」


逃げるのは恥だとかそんな余裕はない。

あのチャラい二人組みをその場に置いて、とにかく駆けた。

雑貨屋の出口を抜け街の雑踏へ飛び込むと、凛を先導してそれを縫うように走り続ける。


彼女の手をぎゅっと引きながら、彼女の手を離さないように——


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