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美人だけど最恐堅物な風紀委員長が、俺の前でだけエッチなデレデレ極甘女子を演じ始めて今日も感情がない件  作者: ファッション捜査課のスカリー


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第22話 来たるべきデート当日——

朝を告げるスマホのアラームが俺の耳を貫いて、反射で腕が伸びた。

画面を叩くように止めると耳の奥に残った振動だけがしつこく脈打っている。


現在、土曜日の朝7時。

今日は俺が凛と催眠デートをする日だ——


「ふぅぅぅ……んっ……」


背伸びをして無理やり身体を起こす。

布団の温もりが名残惜しいのに、胸の内側だけはもう起きているみたいに落ち着かない。緊張のせいで眠りが浅かったのか、体から疲れが抜けきっていないようだ。


人生2回目の女の子とのデート。たとえそれが検証だったとしても、緊張しないほうがおかしい。


待ち合わせは11時——


まだ時間はあるはずなのに頭のどこかがマズイと騒いでいて、俺は自然とリビングへ向かっていた。

少し焦り混じりに朝食を胃に収めていると、起きてきた母さんが何かを察したのだろう……質問が矢継ぎ早に飛んでくる。


が、俺はそれを全てはぐらかして風呂へダッシュ。

体中をくまなく洗い、一度浴槽に浸かって毛穴という毛穴から汚れを絞り出すみたいに温めたのち、また全身を洗う。


「俺……臭くないよな?大丈夫だよな?」


たとえ検証のためのデートだとしても、エチケットは大事だ。

俺が雑なせいで凛が不快になるとか、そんなくだらない理由で空気を崩すのは絶対に避けたい。


——せめて凛には嫌な気持ちで俺のそばにいてほしくない。


それだけは妙に本気で思ってしまう自分がいる。


風呂から上がった俺は髪を乾かし、歯磨きを入念にしてマウスウォッシュで口を濯ぐ。

口の中が不自然なくらいすっきりしていて、ようやく準備してるという実感が湧いた。


「よし……これで大丈夫だろ……」


ふと視界に入った時計を見ると、既に時刻は8時半を回っていた。


——まずい、このままじゃ遅れちゃう!


まだ二時間以上あるのに間に合わない、そんな気がしてしまう。

時間がこんなに早く立つのはゲームしている時くらいなのに……今日に限ってその感覚が現実に侵食してきているようだ。


俺は駆け足で自分の部屋に戻り、服を合わせ始め……そこで致命的なあることに気づいてしまった。


「ヤバ……俺そういやデート用の洋服なんて持ってねぇ……」


ほのか先輩との夏休みのデートの時のまったく同じことで慌てたのに、俺は本当に救いようがないほど学ばない。

しかし、今さら反省したところで服は増えないわけで……。

ハンガーラックをひっくり返す勢いで服をベッドの上に並べると、せめて無難になるように頭を回して消去法で服を選び……そうして決まったのは、全身黒の地味なファッションだった。

「これで良いのか?!いやっ、ていうかもう時間無いしこれで行くしかない!」


時計を見ると、もう9時に差し掛かっている。

最後の仕上げに使った覚えもないヘアワックスを指先に取って適当に髪に馴染ませ、どうにかそれっぽく見えるように形を作ってみるも、鏡の中の俺は普段通りのまま。


オシャレなんて全くわからない俺がどうにか出来るわけもなく、諦め半分にショルダーバッグを乱暴に掴んで玄関へ向かった。


待ち合わせ場所まで約30分。これなら何があっても間に合うはず。


玄関のドアを弾くように開けると、俺は街の雑踏の中へ一歩踏み出す。

今日は催眠検証デート。失敗は絶対に許されないのだ——



————————



凛SIDE——


朝を告げるスマホのアラームが耳を撫で、反射で腕が伸びた。

画面を撫でるようにそれを止めると、既に心が舞い上がっているのがわかる。


現在、土曜日の朝6時。

今日は待ちに待った飛鳥くんとデートをする日だ——


「はうぅぅぅ……ふぅぅぅ……」


身体を起こして背伸びをすると、はやる気持ちが先走りそうになる。

人生始めてのデート。緊張しないほうがおかしい。


待ち合わせは11時——


もう時間がない、女の子の準備には時間がかかるのだ。

ベッドから飛び起きると、その足でリビングへ向かい1枚の食パンと淹れたてのカフェラテを胃に放り込んでから私はお風呂へ向かった。


シャワーで全身を流し、この日の為に買っておいたちょっとお高いボディソープとシャンプーで体中をくまなく洗って整えてゆく。


「私……臭くないよね?大丈夫だよね……?」


匂いは男子とのデートでめちゃくちゃ大事だと友達が言っていた。だから絶対に妥協はできない。

せめて飛鳥くんの前では誰よりいい匂いの女の子でありたい。橘先輩よりも……。


お風呂から上がった私は、脱衣所で髪にトリートメントを塗り込んでから髪を乾かし、歯磨きを入念にしてからママが浸かっているいい香りのマウスウォッシュで口を濯ぐ。


「よし……次はっと……」


そう呟きながらふとスマホを手に取ると、既に時刻は7時半を回っていた。


——ヤバい!このままじゃ遅れちゃうかもっ!?


時間が経つのが早すぎる。女の子の準備はこれからが本番なのに……。


私はタオル一枚でバタバタと自分の部屋に戻り、急いで下着を取り出そうタンスに手を掛けた。

その時、あることに気づいて手が止まる。


「そっか……今日、サラシ要らないんだ」


今日はありのままの自分でいいんだ。それだけで気分がすごく楽になる。


「じゃあせっかくだし、あっくんを誘惑できるこれにしよっ♪」


普段とは違う引き出しから手に取ったのは、赤と白の大胆なレースのブラジャーとセットのショーツ。バストを盛る機能付き。(これ大事)

それを手早く身に着けてゆく。


「あっくんおっぱいが好きって言ってたし、万が一があるかもしれないから……万が一、その……ホテルとか、漫画喫茶とか行くかもしれないから……」


頭の中は既に真っピンク。むしろ万が一が起きてほしいくらい。

想像しただけでヨダレが出そうになるのを抑え、今度は姿見の前で洋服に袖を通し始める。


まだ残暑は収まらず外は暑いまま。だからこそ薄着であっくんを誘惑したい。

その一心でこの日の為に私は服を買い揃えてあった。服屋のお姉さんがオススメしてくれた、男の子がドキドキする服一式を。



その服を全て着込んだら、やっとメイクの時間だ。

いつもは立場上あまりメイクも出来ないけど、今日は思いっきり出来る。


じっくり丁寧に、時間をかけてメイクを施した後、自慢の黒髪に櫛を入れてツヤツヤに仕上げていく。いつでもあっくんに髪を撫でられても良いように。


「これでよし……これならあっくんも、私の事……」


時計を見ると、もう8時半に差し掛かっていた。

焦る気持ちに蓋をして、最後の仕上げに胸の谷間に香水を一吹きしてそれを鞄にそっと忍ばせると、ついでに他の必須アイテムの最終確認を始める。


ハンカチ、スマホ、ブレスケアそして……ゴム。

もしかしてがあるかもしれないから。念には念を。


「準備OK……完璧!」


待ち合わせ場所まで約30分。これなら確実にあっくんより早く到着出来る。

私は玄関に向かうと、いつもは履かないヒール付きの靴に足を通して小さく呟く。


「頑張れっ……月城凛っ……!」


自分自身を鼓舞してから一度笑顔を作ると、重たいドアを開け外に飛び出す。

今日はやっと取り付けたあっくんと始めてのデート。


絶対に私のことを意識させてみせるんだから——


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