表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美人だけど最恐堅物な風紀委員長が、俺の前でだけエッチなデレデレ極甘女子を演じ始めて今日も感情がない件  作者: ファッション捜査課のスカリー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/40

第11話 急に鳴りだしたスマホ——

その日、俺は月城さん……いや、凛と少しギクシャクしたまま帰宅した。


『ちょっと悲しいわよ……』


その一言が頭の奥に残ったまま消えず、彼女にどう接すればいいのか、少しわからなくなってしまっている自分がいる。

前みたいに距離を取らず、同じ委員としてじゃなく、友人として接するべきなんだろうか?でも、それを彼女は望んでいるんだろうか?


俺の知る限り、彼女は誰にも心を開いていない……そんなふうに見えるのに、俺だけが踏み込んでいいのか?


考えを整理したくて、俺は食事を終えると風呂に向かい、湯船の熱に包まれながら今日の疲れと悩みを湯に溶かそうとした——


風呂から出て部屋へ戻った俺は、なんとなくスマホを手に取った。


「ん?メッセージ?……ゲームのお誘いか?それなら最高のタイミング……」


画面が点灯すると目に入った一件の通知。それを何気なくタップした瞬間、目に飛び込んできたのは——


【凛:飛鳥くん。今日の夜、時間ある?】


「えっ!?りっ……凛!?」


開いた途端、驚きで俺の声が室内に反響した。

普段は風紀委員全体のトークルームでしかやり取りしていないのに、今回は初めての個別メッセージ。驚かないわけがない。


送信時間を見ると約10分前。胸の奥がそわついたまま、とりあえず指先を走らせる。


【飛鳥:時間はあるけど、どうしたの?】


送信して数十秒後——スマホがブルっと震え、通知が光る。


【凛:もし飛鳥くんが時間あるなら、ちょっと通話出来るかしら?】


——レスはやっ!?しかも、つっ……通話?なんで?どっ、どうしよう……


いきなりの提案にどう返すか考えていた矢先、またスマホが震える。


【凛:やはり忙しいかしら?ちょっと催眠検証の事で直接話したいと思ってるのだけれど?】


まさかの追いメッセージ。既読を付けた以上、返さないわけにはいかない。

離れていても伝わってくる凛の圧に、俺はあっさり屈してしまった。


【飛鳥:催眠の?わかった、通話大丈夫だよ】

【凛:助かるわ。今お風呂上がったばかりだから数分後に連絡入れるわね】

【飛鳥:OK。待ってるね】


端的なやり取りが終わった途端、緊張だけが遅れて押し寄せてくる。

そして気づけば、俺はベッドの上で正座してスマホを握っていた。

まるで始めて彼女とラブホに来て、彼女のシャワーを待っているかのような……そんな感覚。ラブホ行ったことないけど。


——————————ヴヴヴヴヴッ


「うぉ!?おおっ!?」


若干ピンクな思考をスマホの激しい震えにかき消され、俺は情けない声を漏らしていた。

画面には着信の文字。もちろんその先には月城凛の名前が煌々と灯っている。

俺は一度息を整えると、震える手で通話ボタンを押し、恐る恐るスマホを耳に当てた。


「もしもし……並樹です……」

「もしもし、飛鳥くん?私だけど、聞こえるかしら?」

「もっ、もちろん聞こえてるよ」

「よかった、出てくれて。急に連絡してごめんなさい」


スマホ越しの凛の声は、少しだけ肩の力が抜けているように聞こえた。

普段のきりっとした響きよりも丸く、いつもと違ってどこか優しい……そんな気がして俺の胸の奥が変に落ち着かなくなる。


「いや、暇してたし大丈夫だよ」

「暇……?そうなの?」

「まっ……まあね」


動揺を悟らせないように俺はわざと軽い調子を作って、話の舵を切る。


「それで、凛……今日はどうしたの?催眠の件って?」

「ああ、そのことなんだけど……ちょっと、その前に一つだけ話したいことがあるの」

「話したいこと……?催眠の件以外で?」

「ええ……」


凛の声がほんの少し曇ったように聞こえた俺は、無意識に頭の中を回す。

何だろう?嫌な方向じゃないといいけど……。


「あのね、今日の朝の事なんだけど……まだ謝ってなかったから、ちゃんと謝りたくて……変にイライラして飛鳥くんに当たってしまってごめんなさい。許してほしいの」

「ちょっと凛!?謝らないでいいって!そんなに気にしないで!俺が悪かったんだし……」


今まで聞いたことのない凛の声色と急な謝罪に、俺は焦って声のトーンを少し上げマイクに話しかけていた。


「じゃあ……許してくれるかしら?今日、あのあと飛鳥くんがよそよそしい気がして……ずっと私、気になっていたのよ」


まさか凛も気にしていたなんて……俺が勝手に悩んで、勝手に距離を取っていたというのに。それをちゃんと言葉にできる凛はやっぱり大人だな……。

そんな考えが浮かんで自分が情けなくなる。


「許すもなにも、俺が悪いんだからさ……こっちこそ本当にごめん、自覚が足りなくてさ。怒って当然だよ、凛は間違ってない」

「うふふっ……飛鳥くん、優しいのね」

「そっ……そうかな……?」


凛の声が少し明るくなり、彼女らしくない可愛い笑いが混じって、俺は頬が熱くなるのを感じた。


「それじゃ、この件はここで一旦やめるわ……それでね、今日連絡した理由なんだけど……」

「うん」

「実は、今から飛鳥くんに検証に付き合ってほしくて電話したのよ」

「検証に!?今から!?……今から会うってこと?」


急な一言に俺の思考が跳ねた。

心臓が一段強く鳴って口が勝手に先走るも、すぐに冷静な凛の声が飛んでくる。


「いや、流石にそうじゃないわよ」

「えっ?じゃあ……どういう事?」


「それは……これから検証したいのは、催眠の遠隔発動についてなの」

「遠隔発動?」

「そう……要するに、通話越しでもその効果が発揮されるのかってことよ」


凛は淡々と説明を続ける。

声は落ち着いていて、いつもの風紀委員長・月城凛がそこいる。


「だから、もし飛鳥くんの時間が許すなら、今から私がスマホ越しに飛鳥くんを催眠状態にするキーワードを言って、どうなるのかを検証していきたいのだけど……手伝ってくれないかしら?」


「ああ、そういうこと!……それなら全然手伝うよ!」

「ありがとう飛鳥くん。助かるわ」


口ではそう答えた。けれど、頭の中は別の疑問でいっぱいだった。


——どうする?かかったふりをするべきか?


遠隔で催眠にかけられたとしても、術者側にそんなにメリットがないような……?

いや、待てよ。もし遠隔で催眠にかけられたら。もしそれが通話一つで成立するなら?

通話越しに催眠状態にして指示だけを与え、誰かに催眠にかかっている人を【貸し出す】なんて事ができるのでは!?


まるでよくある薄い本みたいに、他人の手に渡って面白半分で消費される。

頭の中でそんな想像が一瞬だけ形になり、俺は背筋が冷えた。


そんなの絶対にダメだ、という焦りが駆け巡る中、スマホ越しで凛が一度息を吸う。


「それじゃあ、準備はいいかしら?」

「もちろん、いつでもいいよ」


「それじゃあ飛鳥くん……()()()()()()()()()()()()()()()?」


俺はその一言を受けて、もう一人の【自分】の仮面をかぶる。


そして、このあと待ち受ける驚きの凛の一面を見ることになるとは、その時の俺は夢にも思わなかった——


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ