隔たり
恵里菜は、育児をしなかった。泣いても無視。母親は、休職せざるを得なくなった。恵里菜は、そのまま、年だけ中学3年生になった。恵里菜は、学校でも有数の美少女だったのに、大分老けてしまった。
夏休みの前の日、登校すると、友達が誰もいなくなっていた。かつての友達は、ひそひそ噂をして、話しかけようとすると、久しぶり、と笑いながら、離れる。その後に、子ども産んだらしいよ、えっ、やばっ!という声が響く。不得意だった数学は、もはや理解不能。得意だった英語さえ、全然できない。
安紀は、違うクラスだった。クラスメイトの噂にもならない。いつでも会いに行けるのに、足が動かない。帰ると、赤ちゃんが泣いている。足が動かない。恵里菜は、玄関に崩れ落ちて泣いていたが、思い立って、安紀のマンションに走った。
安紀は、ドアを開けると、入って。と言った。「子どもは育っているの?」と聞く。「私、知らない。見てないから。」と言うと、「そう。」と真顔で言う。「それで、どうしたの?」と聞いてくる。恵里菜は、「安紀くん、きれいだね。」と、ぼんやりした顔で言う。「何が?」と聞くと、「安紀くんが。」と言って黙る。「私、こんな顔で、太ったし、子どもを産んでから、おかしくなっちゃった。」と言う。安紀は、「そう?」と澄まして言う。「気にならないの?」と言うと、「うん。」と答える。「じゃあ、前話したこと……。産めるだけ…産むってこと……。」と言うと、「脱いで。」と安紀は面倒くさそうに言った。
恵里菜は、「痛っ、痛っ」と何度も言うので、安紀はやめる。恵里菜は、激しく泣くので、安紀は、「子どもを産むとこうなることもあるって聞くよ。」と、平気で言って、服を着る。




