約束1
恵里菜は、もうこの人は何をしても、「安紀」なんだ、何をしても無駄なんだ、と思うと、悔しくて、「この子、堕ろすから!」と言うと、安紀は、「どうして?」と聞く。恵里菜は、「嘘だったの!子どもなんてほしくない!ただ、安紀くんの気を引きたかっただけ、合わせてただけ!少子高齢化なんてどうでもいいの!」と泣きじゃくりながら言う。安紀は、「僕のことが好きなの?」と聞くと、恵里菜は、もう、どうにでもなれ、と、素直に、「うん。」と言う。そうすると、安紀は、「えっ、じゃあ、どうして堕ろすの?」と聞く。恵里菜は、「好きな人が、全く私を見てない!私は1人で学校やめないとなんない!辛いの!」と言って、あのパッチリした目から涙をこぼす。安紀は、「僕に見届けてほしいの?」と聞く。
恵里菜がもう言葉も冷静に解さず泣いていると、安紀は急に、恵里菜をベットに寝かせて、服を脱がせる。そして、両手で、恵里菜の下腹部を撫でるように触る。「まだ、大きくなってないね。」と言う。恵里菜は、うん、と答えることしかできないが、安紀の手の僅かなぬくもりに安心してしまう。
恵里菜は、そのまま、泣きじゃくりながら家に帰って、「どうして、泣いてるの?」と聞く、母親に、「妊娠しちゃった」と言う。「えっ……。」と深刻な顔をされる。「何、言ってるの?」「妊娠しちゃった」「えっ?本当に?」「検査した。」「嘘でしょ?ねぇ、嘘でしょ?」「ごめんなさい。」「えりちゃん?」「ごめんなさい!」
恵里菜は、その日から学校に来なくなった。安紀は、変わらず放課後は本を読んでいる。




