EP.046
『御者が自白した内容も含めて、フラテリーニ侯爵家を捕まえる証拠は集まっている。ただ…状況証拠が多いこと、証拠の内容的に一部の件でしか捕まえられなさそうな部分が多い。それを、どうしようか悩んでたところだったんだ』
『実際に何かしらの現場を抑えられればいいんだけどな。中々あいつらも表に出てこない。…まぁ、とりあえず今の内容だけで上げて、後は自白させるっていうのも一つの手だろうな』
二人は、証拠であろう何かの書類を見ながら話し合う。
私はというと、先程の話の衝撃がまだ胸に突っかかっていた。
(何も悪くないお父様とお母様が、殺された…)
しかも、下手をすると捕まえることができない。
そのまま彼らが父と母の代わりに成り上がることはないだろう。ただ、この事実が表に出ない可能性がある。
ここまで聞いて、私はどうするべきなのか。
私にも…何かできることはないのか。
私も、自分で過去のケリをつけたい。しっかりと、犯人を償わせたい。
『…私を、囮にするのはだめですか』
『は!?』
『急に何言ってるんだ?…だめに決まってるだろ』
二人の視線が一斉にこちらに向くのがわかった。
固く目を瞑り、一気に言い告げる。
危ないことを言っているのはわかっている。
でも、証拠がないのなら現場を抑えるしかない。
私が囮になることで、何が起きるのかはわからない。でも、これで父と母の無念が晴れるなら。
『現場を抑えられればいいんですよね?私のことを彼らが敵視しているのなら…うまく使えば、何かしらの事件を、抑えられますよね?』
『だったとしても囮なんて、そんなことさせるわけ無いだろ!』
『でも!私も、父と母の敵を取りたいです。このまま終わるくらいなら、できることを全部やりきって…私達の家を取り返したいです。私は、大丈夫です。お願いします』
声が震えている。二人の厳しい視線は感じるものの、二人の顔を見ることはできない。
ただ、私も譲れなかった。
『何かあったらどうするんだ。…この間のこと、忘れたのか?』
『忘れてないです。でも…守ってくださるんですよね?私は、レオン様のこともお兄様のことも、もちろんアルバートや他の皆様のことも信じています。だから…大丈夫です、お願いします』




