episode35
今日は、響さんは丸1日検査らしくて会えない。今日は土曜日で、大学もバイトもない。
何しよっかな〜。
「そうだ!」
響さんの退院祝いに何かあげようかな、なんて。
もうすぐ冬だからマフラーとか、手袋とか。マグカップもいいな〜。
私はベッドに寝転がり、スマホで調査を始めた。
「彼氏、プレゼントっと」
調べてみると、たくさん候補が挙がった。
アクセサリーはちょっと高い。
ネクタイは?おしゃれセンスないからナシ。
メガネかぁ〜。夜いつもつけてるやつがあるもんな〜。
「......あ!!」
めっちゃ有力候補発見!
手作りマフラー
「布を買って、裁縫セットでできる簡単マフラー。これしかない......」
ちょっとハードル高そうだし、裁縫なんて無縁だけど、やってみる価値はある。
コートを返す時に———
『響さん!退院おめでとうございますっ!』
『これは、マフラーかぁ!どうかな?』
『似合ってます!』
「えへへへ〜!!よし!!!買いに行くぞ!」
早速、財布を持って街に出かけた。
♢
「どの色がいいんだ......?」
近くの手芸店に来たはいいものの、どの生地を選べばいいのかサッパリ分からない。
「布帛.....?編地.....?」
何言ってるかちんぷんかんぷん。
「すみません」
「はい!」
赤い縁のメガネをつけた愉快そうなおばあさんに話しかけてみた。
「手作りマフラーを作ってみたくて、どんな生地がおすすめとかありますか?」
「手作りマフラーはこれよこれ!」
「カシミヤ・ウール?」
「これねぇ!肌触りがとっても良くて軽いのよ!それに軽い割には保温性もあるの!ほらほら!触ってみてちょうだい!」
おばあさんに言われて、そのカシミヤなんとかを触ってみた。
「おぉ〜!あったかい!」
「でしょう〜!ところで、手作りって自分用かしら?」
「いや〜!それが…….彼氏っ!」
「あら〜素敵じゃな〜い!それならとびっきりの作ってあげないとね!」
「そうなんです!!ご教示お願いします!」
おばあさんは張り切ってくれて、一緒に布探しをしてくれた。
「これで完璧なはず」
手芸店を転々とし、なんとか必要な材料は手に入れた。裁縫セットはもともと家にあったもので出来そうだから、買わなかった。
おばあさんに教えてもらった方法&説明書を見ながら縫い始めた。
響さんには黒と茶を基調としたチェック柄が似合うと思う。早く退院して、着けてる姿見たいなー。もちのろん、私が付けてあげる。
「ここを縫って?えどゆこと?いった!!」
♢
ついに、響さんの退院日になった。
「ここの病院までお願いします」
「かしこまりました」
家からタクシーに乗って、病院に向かった。響さんには、内緒、で突撃しようと思ってる。入り口で待ってて、出てきた瞬間に驚かしてマフラーを渡す。
よしっ!イメトレは家でちょーちょーちょー!!やったから大丈夫!
「あ、その辺で止めてください!」
「分かりました〜」
病院の近くに着いた頃から、ドッキドキが止まらない。早く会いたいけど、なんか緊張する。
「料金こちらです」
「これでお願いします!」
「ちょうどお預かりします。扉開きま〜す」
「ありがとうございますっ!!」
超高速でタクシーを降りた。まだ、響さんらしき人はいないな。病院の前にある郵便局の自販機の横に隠れて、出てくるのを待とう。
楽しみだな〜。どんな反応するかな?驚くかな?嬉しがってくれるかな?
「......あっ!」
入院してた人とは思えないほどおしゃれな格好で、響さんが出てきた。
「いつも通りにいけ!浦田凛!!響さ〜ん!」
「響!」
「......え?」
あの人って、カフェにいた———
『響とお知り合いですか?』
って、言ってきた人だ。




