表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
40/50

第35話 潜入

夜明け前、陸は巡、悠人と共に、三輪総合警備保障の施設近くまで来ていた。

「本当に、行くんだね」

巡が、緊張した面持ちで陸を見上げる。

「ああ。玲を、あのままにはできない」

陸は、天叢雲を腰に差し、深く息を吸った。

「悠人、頼めるか」

「任せろ。……いや、任せてください、若様」

「その呼び方、やめろ」

悠人は、いたずらっぽく笑うと、ノートパソコンを開いた。

「施設の警備システム、昨日から解析してた。完全にとは言わないけど、裏口から侵入するルートは見つけてある」

「助かる」

「感謝は、後でゆっくり聞く。まずは、無事に帰ってきてからな」

その言葉に、陸は小さく頷いた。


施設の裏口、警備の薄い区画を選んで、三人は静かに侵入した。

「巡、周囲の気配、分かるか」

「うん……あっちの方、何か、強い力を感じる」

巡が指し示した先、地下へと続く通路があった。陸は、そちらへと足を進める。

道中、何度か黒服とすれ違いかけたが、悠人の事前の解析のおかげで、大きな戦闘は避けられていた。

「もうすぐだ」

地下の一室、重い金属扉の前に、陸たちは辿り着いた。

扉の向こう、微かに、玲の気配を感じる。同時に――これまで感じたことのない、禍々しい何かの気配も。

「玲!」

陸は、扉を蹴破るようにして、中へと踏み込んだ。


部屋の中央、玲は、拘束具のようなものに繋がれ、意識を朦朧とさせていた。傍らには、讓治が、静かに佇んでいる。

「……来たか」

讓治は、驚いた様子もなく、陸を見つめた。

「玲を放せ!」

「放す? ……お前は、何を勘違いしている」

讓治は、静かに首を振った。

「これは、我が息子のための、必要な処置だ」

「必要な処置だと……!?」

陸は、拳を握りしめ、一歩前に出た。

「検体No.7との連動、だろう。玲の意志を、無視して」

その言葉に、讓治の表情が、わずかに動いた。

「……お前が、なぜそれを知っている」

「関係ない。今すぐ、それをやめろ」

陸は、天叢雲の柄に手をかけた。同時に、体の内側で、オロチの頭たちが、一斉に警戒を強めるのを感じた。

「くだらん」

讓治は、冷たく笑った。

「お前ごときに、何が分かる。この子は、私の――」

「あんたの、何なんだ」

陸の声に、怒りが滲む。

「玲は、道具じゃない。あんたの、完成させるべき作品でもない」

讓治の目が、初めて、明確な怒気を帯びた。

「黙れ」

その一言と共に、部屋の空気が、一変した。

讓治の傍らに置かれていた、一本の注射器――禍々しい紫の光を放つそれに、讓治は、静かに手を伸ばした。

「お前が、そこまで言うなら」

「まさか……」

陸の脳裏に、悪い予感がよぎった。

「私自身が、真の力を示してやろう」

讓治は、そう言い放つと、迷いなく、その針を自らの腕に突き立てた。

(第36話へ続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ