第6話 十の災い、過越、そして海が割れる
ここから出エジプトの山場です。
ファラオは頑固で、災いはどんどん重くなり、ついには海まで割れます。
神の救出劇、演出がいちいち大規模です。
モーセはエジプトに戻った。
兄アロンと共にファラオの前に立った。
「神の民を三日間、荒野に行かせて礼拝させよ」
ファラオは言った。
「その神とは誰だ。言うことを聞く覚えはない。イスラエルは行かせない。」
ここから十の災いが始まる。
第一の災い:ナイルが血になる
モーセが杖でナイルを打つと、川が血に変わった。魚が死に、異臭がした。エジプト人は水が飲めなくなった。
ファラオの魔術師も同じことができた(つまり血の川を増やした)ので、ファラオは動じなかった。
「ああそう」と宮殿に戻った。
第二の災い:蛙の大発生
ナイルから無数の蛙が上がり、家に入り込み、寝室、ベッド、パン焼き器、こね鉢にまで入り込んだ。
魔術師も蛙を出せた(でも引っ込めることはできなかった)。
ファラオは「蛙を取り除いてくれ。民を行かせる」と言った。
モーセが祈ると、蛙は家から出て死んだ。
ファラオは楽になると——約束を忘れた。
以降これが繰り返される。苦しい時は約束し、楽になると忘れる。
第三の災い:ぶよ(虻)の発生
地の塵が虻になり、人と獣にたかった。魔術師には再現できなかった。「これは神の指です」と認めた。
ファラオは動じなかった。
第四の災い:虻の大群
今度は「ゴセン(ヘブライ人の住む地)には虻がいかない」という区別がついた。神がヘブライ人の地を守り始めた。
ファラオは「荒野には行かせないが、この地で礼拝しろ」と言った。
モーセは「それはダメです、三日間の旅をさせてください」と言った。
ファラオは「そう遠くには行くな。行ってきていい。祈ってくれ」
モーセが祈ると虻は去った。
ファラオはまた約束を忘れた。
第五の災い:家畜の疫病
エジプトの馬、ろば、らくだ、牛、羊の家畜が死んだ。だがヘブライ人の家畜は一頭も死ななかった。
ファラオは確認した。確かにヘブライ人のは死んでいない。
それでも動じなかった。
第六の災い:腫れ物
竈から取ったすすをモーセがファラオの前で空に投げると、人と獣に腫れ物ができた。
魔術師も腫れ物ができて立てなくなった。
ファラオは頑固だった。
第七の災い:雹
エジプト史上最大の雹が降り、外にいた人と獣を打ち、木を折った。
ただし、ヘブライ人のいるゴセンには降らなかった。
ファラオはついに言った。「今度こそ罪を犯した。神は正しい。わたしとわたしの民は悪い。祈ってくれ」
モーセは祈った。雹は止まった。
ファラオは——また約束を忘れた。
モーセも最初から予告していた。「あなたはまだ神を恐れていないとわかっています。やめた途端に撤回するでしょう」
さすがに見抜いている。
第八の災い:いなご
「もしまだ拒むなら、明日いなごを来させる」
ファラオの家臣が言った。「もう解放してください! エジプトが滅びます!」
ファラオは「男だけで行け。女子供は残せ」と妥協案を出した。
「それはダメです。全員で行きます」
「ダメだ!」
いなごの群れが来た。エジプト全土の植物を食い尽くした。
ファラオは急いで呼んで言った。「神と、あなたに罪を犯した。今一度、この死だけは取り除いてくれ」
祈ると、風がいなごを紅海に吹き込んだ。
ファラオはまた約束を忘れた。
第九の災い:暗闇
三日間、エジプト全土が真っ暗になった。誰も動けなかった。
ただしヘブライ人の家には光があった。
ファラオが呼んで言った。「行っていい。子供も連れていい。だが羊の群れは残せ」
「生け贄の動物が必要なので、羊も全部持っていきます」
ファラオは叫んだ。「出て行け! 二度とわたしの顔を見るな! 見たら死ぬぞ!」
モーセは言った。
「おっしゃる通りです。二度と顔を見ません。」
——こうして十の災いの前置きが終わった。
最後の最大の災いが来ることをモーセは告げていた。
第十の災い:長子の死。
神はモーセに告げた。
「今夜、エジプト全土の長子を打つ。人の長子から家畜の長子まで。ファラオの長子も、牢の中の囚人の長子も。エジプト全土に泣き叫ぶ声が上がるだろう」
だがヘブライ人を守る方法があった。
それが過越の祭りの起源だ。
「子羊を殺して、その血を家の入口の柱と鴨居に塗れ。夜、肉を食べよ。焼いて食べよ。腰に帯をし、足にサンダルをはき、手に杖を持って、急いで食べよ。これが神への過越の祭りだ」
「血が塗られている家は見て通り過ぎる(過越)。血がない家には打つ者が入る」
夜中に神は打った。
ファラオの長子も死んだ。牢の中の人の長子も。家畜の長子も。
エジプト全土で泣き叫ぶ声が上がった。
ファラオは夜中に起き上がり、モーセとアロンを呼んだ。
「立て! わたしの民の中から出て行け。神に仕えに行け。羊も牛も連れて行け。わたしも祝福してくれ。」
エジプト人も「早く出て行け! 全員死んでしまう!」と急かした。
ヘブライ人は急いで出た。パン種を入れる時間もなかった——種なしパン(マッツォー)を焼いた。
これが「過越の祭り」のもう一つの要素だ。種なしパンを食べる習慣はここから来る。
出エジプト。
四百三十年間エジプトにいたヘブライ人が、一夜にして解放された。
男だけで六十万人、女子供を含めると数百万人規模の民族大移動。
神はモーセたちを導いた。
昼は雲の柱で。
夜は火の柱で。
ファラオはすぐに後悔した。
「なぜ民を行かせた。労働力がなくなった!」
戦車六百台で追いかけた。
ヘブライ人たちは前に海(紅海)、後ろにエジプト軍という状況になった。
「エジプトに墓がなかったから、死ぬために荒野に連れ出したのか!」
民はモーセに怒鳴った。
「エジプトにいる間、『ほっておいてくれ』と言ったではないか。奴隷として仕えた方がよかった!」
モーセは言った。
「恐れてはならない。落ち着いて、神の救いを見よ。今日見るエジプト人を、二度と見ることはない。神が戦ってくださる。黙っていなさい」
神はモーセに言った。「なぜわたしに叫ぶのか。杖を上げ、海の上に手を伸ばせ」
モーセが手を伸ばすと——
海が割れた。
水が両側に壁のようになり、ヘブライ人は乾いた地を歩いて渡った。
エジプト軍も追いかけた。
渡り終えた後、神はモーセに言った。「海の上に手を伸ばせ」
海は元に戻った。
エジプト軍は飲み込まれた。
一人も残らなかった。
モーセと民は歌った。これが聖書最古の詩の一つ——「モーセの歌」だ。
「神はわたしの力、わたしのほめ歌。神はわたしの救いとなられた。これがわたしの神——わたしは神をたたえる!」
勝利の歌。




