第4話 ヤコブとヨセフ、神に選ばれた問題児たち
今回はヤコブとヨセフです。
騙す者、騙される者、売られる弟、泣く父、そして最後に大逆転。
旧約聖書、家族関係がだいたい修羅場です。
イサクが育ち、息子が二人生まれた。
双子だった。
兄・エサウ。赤くてもじゃもじゃした子。育って猟師になった。
弟・ヤコブ。すべすべした子。育って家にいた。
エサウは父の好みで、ヤコブは母の好みだった——家族の力学として最悪の構図だ。
ある日、エサウが狩りから帰ってきた。腹ぺこだった。
ヤコブが豆のスープを煮ていた。
「その赤い物を食べさせてくれ、腹がへってる」
ヤコブは言った。「今日の長子の権利を売れ」
長子の権利——財産の二倍の相続権と一族の長としての地位。
エサウは言った。「死にそうなのに、長子の権利なんかいるか」
ヤコブは「今すぐ誓え」と言った。
エサウは誓い、スープと交換した。
長子の権利をスープ一杯と交換した。
これは聖書において「軽薄さ」の象徴として記録される。
だがヤコブもヤコブだ。腹ぺこの兄から権利をまんまと買い取った。
後に、父イサクが老いて目が見えなくなった時——
ヤコブは母リベカと組んで、エサウに成りすまし、父の「長子への祝福」を騙し取った。
羊の毛皮を腕に巻いて、毛深いエサウに見せかけた。
イサクは触って「声はヤコブだが、手はエサウだ」と言いながらも祝福してしまった。
詐欺。
エサウが帰ってきて事実を知った時、父も息子も泣いた。
ヤコブは兄の怒りを恐れて逃げた。
逃げる途中、ベテルで神に出会った。
夢の中で、天に届く梯子があり、神の使いたちが上り下りしていた。神が言った。
「わたしはあなたの先祖アブラハムの神、イサクの神だ。この地をあなたとあなたの子孫に与える」
目覚めてヤコブは言った。
「なんと恐ろしい場所だ。これは神の家、これは天の門だ!」
罰してもいいはずなのに、逃亡中の詐欺師に神が現れて祝福する。
これもまた旧約の逆説だ。
その後ヤコブは叔父のラバンのもとで働き、七年かけて愛する女ラケルと結婚しようとした。
だが結婚の朝——ベールを取ったら姉のレアだった。
ラバンに騙されていた。
「なんで姉を押し付けるんだ!」
「この地では妹を姉より先に嫁がせる習わしはない。一週間過ごしたら、ラケルも嫁がせよう。ただし、もう七年働け」
——騙した男が今度は騙された。
人を騙してきたヤコブが騙され、さらに七年タダ働きさせられる。
因果応報、旧約スタイル。
長い年月の後、ヤコブは兄エサウと和解しようと故郷に戻ることにした。
だが前夜——川のほとりで謎の「人」がヤコブに組みついてきた。
夜明けまで格闘した。
その人はヤコブに勝てなかった。ヤコブのももの関節を打つと、関節がはずれた。
「夜が明けるから、放してくれ」
ヤコブは言った。「祝福してくださらなければ放しません」
その人は言った。「あなたの名はもはやヤコブではなくイスラエルだ。あなたは神と人とに戦って勝ったから」
神と格闘して勝ったヤコブ。
「イスラエル」は「神と格闘する者」という意味だ。
ユダヤ民族の別名「イスラエル」の由来がここにある。
深夜に謎の人物と格闘する夢のようなエピソードだが、神学的には重い。「神に戦いを挑む」という姿勢——それがイスラエルの民のアイデンティティだ。
ちなみにヤコブはこの後、ももを引きずって歩くようになった。
以来、ユダヤ人は腰の関節のそばの筋を食べない風習がある。
ヤコブ=イスラエルには十二人の息子がいた。
中でも「老後に生まれた」ヨセフが特別かわいかった。
色とりどりの長い袖の服(あの「七色の上着」)を与えた。
十一人の兄たちのヨセフに対する感情:
嫉妬、怒り、殺意。
ヨセフはさらに兄たちの反感を買う夢を見て、それを嬉しそうに語った。
「夢を見たんだけど。僕らが畑で束を作ってたら、僕の束が立ち上がり、兄さんたちの束が僕の束を取り囲んで拝んだんだ!」
兄たちの反応:「お前が俺たちを支配するとでも?」
さらに夢を見た。
「太陽と月と十一の星が僕を拝んだ!」
父親も「お父さんとお母さんと兄弟全員がお前に頭を下げるということか」と叱った。
空気が読めない。
ある日、兄たちは野で羊を飼っていた。父に様子を見てこいと言われたヨセフが近づいてきた。
兄たちは言った「あの夢見るやつが来た。殺して穴に投げ込もう」
長兄ルベンが止めた。「殺してはいけない。穴に投げ込むだけにしろ」(後で助けようと思っていた)
彼らはヨセフの上着を剥いで穴に投げ込んだ。
そこにミデアン人(イシュマエル人)の商人の隊が通りかかった。
兄の一人ユダが言った。「殺しても何の得にもならない。売ってしまおう」
弟を売った。
銀二十枚でエジプト商人に売り飛ばした。
ルベンが穴を見たらヨセフはいなかった。「子供がいない! どうしよう!」
他の兄弟はヤギを殺してヨセフの上着に血をつけ、父に持っていった。
「これを見つけました」
イスラエルは叫んだ。「ヨセフは野獣に食い殺された!」
そして長いこと泣いた。
——どいつもこいつもひどい。
エジプトに売られたヨセフは、ファラオの侍従長ポティファルに仕えた。「神がともにいた」のでヨセフは何をやっても成功した。ポティファルも気に入って家の全権を任せた。
だがポティファルの妻がヨセフに目をつけた。
「私と寝てくれ」
ヨセフは断り続けた。「主人に申し訳ない。神に罪を犯せない」
ある日、家に二人きりになった時、ポティファルの妻がヨセフの服を掴んだ。ヨセフは服を置いて逃げた。
妻は叫んだ。「ヘブライ人が私を辱めようとした!」
濡れ衣。
ヨセフは獄に入れられた。
だが「神がともにいた」ので、獄中でも頭角を現し、看守長に信頼された。
獄にファラオの献酌官長(ワイン担当)と料理長が入れられた。二人が夢を見て困っていた。ヨセフは夢を解き明かした。
「献酌官長の夢は三日後に復職の意味。料理長の夢は三日後に首を吊られる意味」
正確に的中した。
ヨセフは献酌官長に頼んだ。「復職したらファラオに私のことを話してくれ。私は理由なく投獄されている」
だが献酌官長は忘れた。
二年間忘れた。
二年後、ファラオが夢を見た。太った牛七頭が川から上がり、やせた牛七頭に食べられた。穂も同様。
ファラオは不安で、魔術師や賢者を全員呼んだが誰も解けなかった。
その時、献酌官長がようやく思い出した。「ヘブライ人の若者が夢解きをしてくれた。牢にいます」
ヨセフは呼ばれた。
「太った七頭は豊かな七年。やせた七頭は七年の飢饉。エジプトは七年間豊かになり、その後七年間飢饉になる」
ファラオは言った。「これほど神の霊ある人が他にいようか」
ヨセフの年齢、三十歳。
ヨセフはその日のうちにエジプトの宰相(総理大臣)になった。
奴隷から投獄されて宰相。
七年間に食料を蓄え、飢饉に備えた。飢饉が来ると全世界から食料を求めてエジプトに人が来た。
カナンでも食料がなくなり——ヤコブは息子たちをエジプトに遣わした。
エジプトの宰相の前にひれ伏した十人の兄たち。
宰相は彼らを見た。だが知らない顔をした。
通訳を介して「どこから来た」「スパイではないか」と厳しく尋問した。
「いいえ、私たちは誠実な者です。十二人兄弟で、末弟は父のもとに、もう一人は……いなくなりました」
ヨセフは部屋を離れ、泣いた。
だが顔を洗って戻り、知らぬ顔を続けた。
彼は兄たちを三日間牢に入れ、一人を人質に残し、「末弟を連れてこい」と言って他は帰らせた。
——こうして長い再会劇が始まる。
末弟ベニヤミンを連れてきた時、ヨセフは涙をこらえながら宴会を開いた。
最終的に兄たちを試し終えたとき、ヨセフはついに言った。
「わたしがヨセフです!」
兄たちは驚きのあまり答えられなかった。
「わたしはあなたたちがエジプトに売ったヨセフです。でも悲しまないでください。神がいのちを救うためにあなたたちより先に私を遣わしたのです」
兄たちの悪を「神の計画」として受け入れる——
ヨセフの言葉は旧約聖書の中でも特に感動的な場面の一つだ。
ヤコブ一族はエジプトに移住した。
ヤコブはヨセフに再会し、涙した。「もう死んでもいい。おまえが生きているのを見た」




