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第19話 伝道の書、預言者たち、ライオンの穴

今回は伝道の書、預言者たち、そしてダニエルです。

人生は空だと言いながら神を恐れよと締め、預言者は聞かれない言葉を叫び、ダニエルはライオンの穴に入ります。

旧約後半、濃度が高いです。


第十一章 ~ 伝道の書 ~ 人生について考えすぎた男 ~


伝道の書は、おそらくソロモンが書いたとされる本だ(学者の間では諸説ある)。


冒頭からすごい。


「空の空、空の空、一切は空、むなしい」


これが出だしだ。旧約聖書の中で一番テンションが低い出だしかもしれない。


作者は人生を深く考えた。


「知恵が増せば悲しみも増す」


「わたしは太陽の下で行われるすべての労苦を見た。それもまた空だ」


「人が食べ飲みして、自分の労苦に満足を見出すより良いことは何もない」


哲学的なようでいて、結論がズコーッと来る。


「美味しいものを食べて、それでいいじゃないか」


最後の方にはこう書いてある。


「神を恐れ、その命令を守れ。これが人間のすべてだ」


「空だ、空だ」と言い続けて最後に「神を大事にしろ」で締める。


ソロモンが書いたとするなら、知恵を与えられ、国を治め、女性に囲まれ、すべてを持った男が、晩年に書いた本だ。


「全部持ったけど、それで何だ」


という問いへの答えが「神を恐れること」だ。


これは旧約聖書全体の答えでもある。


第十二章 ~ 預言者たち ~ 聞かれない言葉を叫び続けた人々 ~


王国の時代、神は預言者を何人も遣わした。


預言者とは、神の言葉を民に伝える役割の人間だ。


彼らの仕事は基本的に「民が聞きたくないことを言う」ことだった。


代表的な人物を紹介しよう。


◆ イザヤ


ユダ王国に仕えた預言者。


彼が活動した時代は北イスラエルが滅亡した時代と重なる。


「あなたたちはバアルを拝み、神を忘れた」と叫び続けた。


しかし同時に、希望の言葉も語り続けた。


「神のしもべが来る。苦しみを負う者が来る。その傷によってわたしたちは癒される」


この言葉は後に、キリスト教徒によって「キリストの予言」として読まれることになる。


だが旧約の文脈だけで読んでも、絶望の中に希望を語り続けた人物として輝いている。


◆ エレミヤ


「涙の預言者」と呼ばれる人物だ。


エルサレムが滅亡する直前の時代を生きた。


「バビロンに降伏しなさい。逆らっても無駄だ」と言い続けた。


これは当時の人間から見たら「裏切り者」の言葉だ。


投獄された。井戸に投げ込まれた(泥の中に沈んだところを救出された)。


それでも言い続けた。


「愛する者の傷を、どうして癒せようか」と泣きながら。


「なぜ神よ、あなたはわたしを騙したのか。あなたに従ったのに、苦しむのはわたしだ」と神に本音をぶつけながら。


それでも言い続けた。


エレミヤの書いた「哀歌」という詩集がある。


エルサレムが滅亡した後に書かれた詩だ。


「神は正しい。わたしが反抗したからだ。聞いてください、苦しみを」


泣きながら神を信じ続ける詩だ。


旧約の中で最も人間的な文書のひとつだ。


◆ エゼキエル


バビロンに連れ去られた後で活動した預言者だ。


彼は幻を多く見た。


有名なのは「枯れた骨の谷」だ。


無数の骸骨が谷に散らばっている幻を見た。


神が言った。「これらの骨に預言せよ」


エゼキエルが預言すると、骨に骨がつながり、筋がついて肉がつき、皮で覆われた。


さらに預言すると、息が入って生き返り、大軍が立ち上がった。


「これらの骨は、絶望した者たちだ。わたしが墓から連れ出す」


国が滅び、連れ去られ、「もう終わりだ」と思っている民への言葉だ。


骸骨が生き返るほど、神は諦めない。


第十三章 ~ ダニエル ~ ライオンの穴の男 ~


バビロンに連れ去られた若者の中に、ダニエルという男がいた。


バビロン王ネブカドネザルは、優秀なヘブライ人の若者を選んで宮廷に仕えさせようとした。


教育係が言った。「王の食べ物と酒を食べて訓練を受けなさい」


ダニエルは言った。「王の食べ物で身を汚したくない。野菜と水だけにしてほしい」


「そんなことをしたら顔色が悪くなる。私が困る」


「十日間だけ試してください。野菜と水で試して、他の者と比べてください」


十日後、野菜と水だけ食べた若者たちの方が、王の食事を食べた者より顔色も良く太っていた。


こうしてダニエルたちは野菜だけ食べることを許された。


神はダニエルに知恵を与えた。夢を解く力も与えた。


王が夢を見た。内容を誰も解けなかった。


ダニエルは解いた。


王は言った。「あなたの神は本当に神の神だ」


ダニエルは出世した。


時代が変わり、バビロンはペルシャに征服された。


ダニエルは新しい王にも仕えた。


高い地位についた。


ところがダニエルを嫉妬した者たちが、王に進言した。


「今後三十日間、王以外に祈りを捧げた者はライオンの穴に投げ込むという法律を作ってください」


王はサインした。


ダニエルは知っていた。


それでも一日三回、窓を開けてエルサレムの方向に向かって祈った。


見張っていた者たちが王に言った。「ダニエルが毎日三回神に祈っています」


王は困惑した。ダニエルを助けたかった。日が沈むまで考え続けた。


しかし法律は変えられない。


ダニエルはライオンの穴に投げ込まれた。


王は言った。「お前が仕える神がお前を救ってくれるだろう」


夜通し眠れなかった。食事も取らなかった。音楽も断った。


夜明けに穴に走った。


「ダニエル! お前が仕える神は、お前を救えたか!」


穴の奥から声がした。


「王よ、永遠に生きてください。神が使いを遣わし、ライオンの口を閉じてくださいました。神の前でわたしは潔白だとわかったからです。王よ、わたしはあなたにも何も悪いことをしていません」


ダニエルは引き上げられた。傷ひとつなかった。


「神を信じたから」と聖書は記す。


ダニエルを陥れた者たちが代わりに穴に投げ込まれた。


底に着く前にライオンが食いかかった。


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