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第14話 サムソン後編と、ルツという小さな希望

サムソンの物語は、デリラによって最悪の結末へ向かいます。

ただ、その後にルツの静かな物語が置かれます。

乱暴な時代の中に、細い希望の線が残ります。

第十四章 ~ サムソン ~ 最強のバカとデリラ ~(後半)


しかしサムソンの根本的な問題は解決していなかった。


それは「口が弱い」ことと「女性に弱い」ことだ。


ガザの遊女のところへ行ったことが知られ、「夜明けに殺してやる」という声が上がった。


サムソンは夜中に起き上がり、ガザの城門を蝶番ごと二本の柱ごと引き抜き、ヘブロンの山頂に運び上げた。


都市の門を持ち去った。


その後、デリラという女性のもとに通い始めた。


ペリシテ人の指導者たちはデリラに話を持ちかけた。


「彼の力の秘密を探ってくれ。どうすれば縛れるか。一人あたり銀千百枚払う」


デリラはサムソンに聞いた。


「ねえ、あなたの力はどこから来るの。どうすれば縛れる?」


サムソンは答えた。


「乾いていない生の弦七本で縛れば弱くなる」


デリラは生の弦七本を入手し、縛った後に叫んだ。


「サムソン! ペリシテ人が来た!」


サムソンは弦を切った。蜘蛛の糸のように。


「嘘ついた! 本当のことを言って!」


「干した縄で縛れば弱くなる」


試した。また切った。


「また嘘!!」


「頭の七つの束を織機に織り込めば弱くなる」


また試した。また無効だった。


「三回も馬鹿にして! 本当に愛しているの!?」


そこから毎日毎日しつこく聞き続けた。


聖書はこう記している。「ついに死ぬほど苦しくなった」


サムソンはついに話した。


「生まれてから頭を剃ったことがない。神に選ばれた者だから。剃れば力がなくなる」


デリラはペリシテ人を呼んだ。


サムソンが膝の上で眠り込むと、そっと頭を剃った。


「サムソン! ペリシテ人が来た!」


「今度も振り払ってやる!」


力が出なかった。神がサムソンから離れていた。


サムソンはそのことに気づかなかった。


ペリシテ人はサムソンを捕まえ、目をえぐり出し、ガザに連れて行き、牢獄で石臼を引かせた。


最強の男が盲目になり、鎖をつけられ、牢の中で石臼を引いている。


だが時間が経つにつれ、剃られた頭髪が伸び始めた。


ペリシテ人は大きな祭りを開いた。ダゴンという神への感謝祭だ。


「我々の神がサムソンを渡してくださった!」


神殿は満員だった。屋根の上だけで男女三千人がいた。


「サムソンを連れてこい! 見世物にしよう!」


サムソンは引き出された。神殿の柱の間に立たされた。


サムソンは傍らの少年に言った。


「柱に触らせてくれ。もたれかかりたい」


そして神に祈った。


「神よ、思い出してください。この一度だけ力を与えてください。目の一方のために、ペリシテ人に復讐させてください」


神殿を支える二本の柱に両手をかけた。


「ペリシテ人と共に死ぬ!」


押した。


神殿が崩れ落ちた。


「サムソンが死ぬ時に殺した者は、生きている間に殺した者より多かった」


怪力があっても口が制御できなかった男。


女のしつこい問いかけに三回騙されて、四回目にも答えてしまった男。


旧約聖書は「欠点を持つ英雄」を正直に描く。神に選ばれた人物でも、完璧ではない。


それが人間だ、と旧約は言っているようだ。


幕間 ~ 小さくて美しい話 ~


士師記の後に、一つの短い物語がある。


ルツ記だ。


士師の時代、カナンに飢饉があった。


エリメレクという男が妻ナオミと二人の息子を連れてモアブに移住した。


息子たちはモアブの女と結婚した。一人の名がルツだ。


ところが夫と二人の息子が相次いで死んだ。


ナオミは残された二人の嫁に言った。


「それぞれ実家に帰りなさい。あなたたちには新しい人生がある」


一人は泣いて別れを告げて帰った。


しかしルツは離れなかった。


ナオミは言った。「見なさい、姉妹は自分の民のところへ帰った。あなたも帰りなさい」


ルツは答えた。


「あなたを見捨て、あなたから離れて帰ることを強いないでください。あなたが行くところにわたしも行き、あなたが宿るところにわたしも宿ります。あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です。あなたが死ぬところでわたしも死に、そこに葬られます。死によって別れるほかは、あなたとわたしが別れるようなことをすれば、神がわたしを幾重にも罰してくださるように」


これが旧約聖書の中で最も美しい言葉のひとつだと言われている。


モアブ人のルツが、イスラエルの民の神を自分の神として受け入れた言葉だ。


二人はベツレヘムに帰った。


カナンには「落ち穂拾い」という慣習があった。畑の端と落ちた穂は貧しい者のために残しておく、という律法だ。


ルツは姑のために落ち穂を拾いに行った。


その畑の持ち主はボアズという裕福な人物だった。


「あの女は誰か」


「ナオミと一緒にモアブから帰ってきた女です。朝から今まで働いています」


ボアズはルツに言った。


「他の畑には行かなくていい。わたしの畑にいなさい。渇いたら水を飲みなさい」


「なぜそんなに親切にしてくださるのですか。わたしは外国人なのに」


「あなたが姑にしたことを全部聞いた。夫が死んだ後も、実家にも帰らず、知らない民のところに来た。神が報いてくださる」


こうしてルツとボアズは出会い、やがて結婚した。


ルツは息子を産んだ。


ナオミはその子を抱いた。


近所の女たちが言った。


「ナオミに息子が生まれた!」


そしてその子の名をオベデとつけた。


オベデはエッサイの父になった。


エッサイはダビデの父になった。


士師記の混乱の時代に、たった一人のモアブ人の女の忠誠が、一本の細い線でイスラエルの歴史を繋いでいた。


エピローグ ~ 中巻を終えて ~


上巻では、神が世界を作り、人間が失敗し、ヘブライ人がエジプトで奴隷になった。


中巻では、奴隷から解放され、荒野を四十年さまよい、約束の地に入った。


しかし入った後も、同じことを繰り返した。


豊かになると忘れる。苦しくなると思い出す。


士師が来ると助かる。士師が死ぬとまた忘れる。


この繰り返しの末に、民の中に一つの声が育っていく。


「王が欲しい。我々にも王を」


周りの国はみんな王を持っている。強い軍隊を持っている。なぜ我々には王がいないのか。


その声はやがて神のもとに届く。


神の答えと、最初の王の誕生が、下巻を開く。


ダビデという男が待っている。ゴリアテという巨人が待っている。ソロモンの知恵が待っている。炎の預言者エリヤが待っている。ヨブという男の理不尽な苦しみが待っている。


そして何より、崩れていく王国と、諦めない神の声が待っている。


下巻へ。


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