エピローグ
ある朝のホームルーム。
「今日は転入生を紹介する」
いつも朝の挨拶の後は連絡事項があるのだが今日は違った。まあ知っていたが。
「どうも初めまして。色々あって正気に戻ったのでこの学園に通う事ができるようになった、水原柚乃です。
みなさんよろしくお願いします」
「はぁ!?」
教壇の近くに立ち、黒板で自分の名前を書いて挨拶した柚乃に対し、驚愕の声を上げる人物がいた。
当然優木である。
「ちょっ、黒髪になってたからすぐに気づかなかったけど、よくよく見たら〝吸血姫〟じゃん! なんであんたがここにいるし!?」
「転入してきたからだけど?」
「いや、あんた16じゃん」
「3年くらい全く勉強してないのに、いきなり高校の授業はついていけないかな」
「あ、そうなん……って、そうじゃなくて! 先日いきなり〝吸血姫〟が捕獲対象外になったと思ったら、この学園の、しかもこのクラスに転入してくるなんてどういう了見なの?!」
「斗亜ちゃんと同じクラスで勉強したかったからだよ?」
「えっ!?」
グルンっと前の方の席にいた優木がこちらを凄い形相で見てきた。
「あ、あんた、まさか……!」
あー、夏休みの時に優木が出くわした存在だとバレたな。
まあそうなると分かっていたから、黒瀬学園長が〝吸血姫〟のついでに、願いを聞いて回る都市伝説の人間は放置するように異能犯罪対策課に連絡がいってるので、問題はないのだが。
――パンパン
「はいはい。お前たちが旧知の仲なのは分かったが、交友を深めるのは休み時間にするように」
先生が手を叩いて注目を集めた。
「それと水原のことだが、基本笹崎斗亜とセットだ。ついでに山本ナズナも」
「私はついでですか」
ナズナが若干不満そうにしてるが、必ずオレのそばにいないと困るのは柚乃の方だから仕方ないだろ。
「知ってるやつもいるが水原は血を定期的に飲まないと正気を失いだすらしいから、その対応に笹崎が当たる。
そのため常に一緒に行動することになるだろうが、お前たちは気にしないように」
先生のその発言に全員がオレの方を向いてきた。
柚乃が血を飲まなければいけなくて、その対処にオレが当たるということは、オレが血をそれだけ提供できるギフターなのだと察したのだろう。
そして柚乃の輸血パックジュース役に学園公認でされたことも察したようで、なんとも言えない表情を浮かべていた。
別に対して負担になってないから気にしなくていいんだがな。
ただ一応言っておかないといけない。
「オレが血を提供するのは柚乃だけだからな?」
「いや、血を欲しがる奴なんて〝吸血姫〟くらいのもんじゃん」
即座に優木につっこまれてしまった。
そりゃそうなんだろうが、血を欲しがる奴が0とは限らない以上、釘を刺しておくに限るからな。
「大丈夫だよ斗亜ちゃん。不埒な輩からは私が守るから」
「柚乃、私を忘れてもらっては困ります。斗亜様の身は私達が全力でお守りしますので」
2人からの圧がすごい。
「な、なんか斗亜が守られてるっていうより、囲われてるって感じがするのは気のせい……?」
オレもそう思う。
でも気にしたら負けだろ。
どうあがいても離れてくれないのだから。
ただ別にそれで困る事など、オレの羞恥心がマッハで死ぬくらいのことが起きる程度だ。問題ない。
……問題しかなくないか?
オレのエーテルギフト、[願望成就]のデメリットである〝自身の制約2〟、【他人の願いを叶えたくなる衝動に駆られるようになる】さえなければ、2人の願いを時折叶えて衝動を抑えるなんてことしないで済むというのに。
その願いがオレの世話で、風呂もトイレも任せないといけないとか正気じゃねえよ。
もっと別の願いにならない? ならないか。そうか……。
この世界に転生して色々あった。
いきなり研究所で前世の記憶を取り戻したかと思えば、エーテルギフトなんて異能を手に入れていた。
それがよりにもよって人の願いを叶えるなんて性に合わない能力で、無理に願いを叶えれば自らの身体の一部を失うことになる始末。
このまま人の願いを無理やり叶えさせられ、代償によって短命で終わることになるかと思いきや、こうして学園に通えているのだから人生とは分からないものだ。
もっとも、せっかく転生できたのだから第二の人生でのんびり学生生活を満喫したいのに、デメリットに振り回されるせいでそれができないのが悲しいところ。
「斗亜様は私の全てですので」
「斗亜ちゃんのためならなんだってできるよ!」
ただまあ、ちょっと、いや割と過激ではあるが、オレを慕ってくれる2人がそばにいてくれるのだから、これはこれで幸せなのかねぇ?
2章から隔日になります。
あとがきなんて読まねえぜ、って方のために告知しとかないといけないことを先に記載しました(笑)
え、50話程度でもう失速ですか?って思ったあなた。仕方ないんです……。
お仕事と無理なく両立させるためには隔日が確実に投稿できるペースですので。
今まで毎日投稿できていたのは、前もって書き貯めを作っていたからですね。
さて、そんな作者のどうでもいい執筆速度はさておき、本作はいかがでしたでしょうか?
今までの作者の作品とは違い、ちょい暗めの話でしたかね?
それで驚かれている方もいましたが、それでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。
斗亜)「ちょい暗いで済む話じゃねえんだよ」
作者)『当事者からしたらそれはそう』
斗亜)「指1本失ったかと思ったら即行で腕ごっそり持ってくとか人の心は無いのかよ」
作者)『〇の錬金術師なんて兄弟で片腕片足と全身持ってかれてるのに何言ってんだ?』
斗亜)「それと比べられたら何も言えん」
作者)『ほら、マシだろ?』
斗亜)「だがそれとこれとは別なんだよ。TS転生は百歩譲って認めるとして、超能力的話になんでデメリットなんていらない要素を追加した?」
作者)『作者はさ、努力して得た力ならともかく、降ってわいた力にはそれ相応のリスクを背負ってほしいと思ってるんだ』
斗亜)「オレ自身に一切恩恵のない能力でデメリットばかりあるんだが!?」
作者)『願いを叶えるという規格外の能力だから仕方ないね』
斗亜)「せめてオレ自身が1つくらい願いを叶えられるなら受け入れられるんだがな」
作者)『それはちょっと違うんだよな~』
斗亜)「ちょっと違うってなに!?」
作者)『別にいいじゃん。転生したんだしそれでチャラでしょ』
斗亜)「それではいそうですね、とはならないんだよ」
作者)『なんという我儘』
斗亜)「え、これオレが悪いのか? 我儘だったかオレ?」
作者)『もう一度人生をやり直せるチャンスを得たんだから、多少のデメリットに文句を言うとか我儘では?』
斗亜)「多少どころじゃないし、いきなり研究所だったせいで、下手すれば無残に人生即終了となりかねなかったんだが?」
作者)『今生きてる上に百合ハーレム築いてるくせに何言ってんだ?』
斗亜)「オレが望んで築いたわけじゃないし、まだそのタグが付かない程度には健全だろうが!」
作者)『は? タグは「まだ百合ハーレムと呼ぶには弱いかも」って悩んでいるからなのは置いておくとして、一緒に風呂入って丸洗いされてる状況が健全……?』
斗亜)「い、今はオレは女なんだから、女同士で洗い合うくらいは健全だろ」
作者)『心が男だと作中のどっかで言ってたやつがなんか言ってる』
斗亜)「作中のどこでそれを書いたかうろ覚えの作者に言われたくねえ!?」
作者)『読み直せば見つけられるからそんなこと言われてもノーダメージ――がはっ!?』
斗亜)「効いてんじゃねえか」
作者)『作者のメンタル最弱ぞ? 批判の感想来たら執筆速度がさらに遅くなるくらいにはメンタル弱弱なんだぞ?』
斗亜)「胸張っていうなよ。そんな調子で隔日で投稿できるのか?」
作者)『まあ今のとこ平気平気。昔投稿してた時は「じゃあてめえも1つくらいなんか小説書いて投稿してみろよ。ぺっ!」って言い返したくなる奴がいた時に比べれば全然だね』
斗亜)「この思考のやつがメンタル最弱とかよく言えたな」
作者)『そう言っておけば投稿遅くなっても許してもらえるかな~って』
斗亜)「打算が酷いな。だが読者が許してもオレが許さん。早よ書け」
作者)『まさか自分が考えたキャラにそんな事言われる日が来るとは思わなかった』
斗亜)「あと2章ではもっと日常ものっぽく平和な感じでよろ」
作者)『注文まで付けてきやがった。……ふっ』
斗亜)「おい、なんで今ほくそ笑んだ?」
作者)『2章がお前の望む通りだといいな』
斗亜)「おい、急に優しい口調になるな! 一体2章で何を書く気なんだ!?」
作者)『教えるわけないじゃん。せいぜい苦しめばいい』
斗亜)「不穏なこと言って締めくくるの止めろ!?」
実際苦しむかどうかは話の流れ次第ですから今のところはなんとも言えませんね。
あ、明日2章のプロローグ投稿して、そこから隔日になるんでよろしくお願いします。
気に入っていただけたらブクマと評価をお願いします。
ついでに甘井の小説に興味がありましたら他の作品もよろしくお願いします。




