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エーテルギフト~異能のデメリットに振り回されるオレ達~  作者: 甘井雨玉
1章

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第47話 害虫は潰すに限る……が


 ≪黒瀬学園長SIDE≫


「うーん、なんで私はこんなにも信用されないのかな?」

「それは学園長がどう見ても胡散臭いからでは?」


 私は去っていった斗亜君達を見送りながらそうつぶやくと、後ろにいた氷室君が何を言っているのかといった様子でそう返してきた。


「辛辣過ぎない?」

「事実ですので。まさかただ子供だからという理由だけで手助けしてもらえるなんて思わないでしょう。

 ましてや彼女達はあのような研究所にいましたから、大人どころか人を信用するのは難しいでしょうし、斗亜さんのような能力を持っていたら疑わないわけありませんね」

「確かにそうかもしれないね」


 斗亜君の願いを叶えることのできるエーテルギフトは、誰だって喉から手を出すほどほしい力だ。

 それを自由に使えるのであればと思わなくもないだろう。


 そんな都合がいいものなんてこの世にあるはずがないというのに。

 意外とそれに気づかず、願いを叶えるという力ばかりに目が向いてしまう人間は多い。


「ところで、これらはどうしますか?」

「そうだね。子供を襲うろくでなしだけど、これを見るに情状酌量の余地はあるかな」


 全員に付いている首の模様は明らかに契約・隷属系の能力に縛られている証で、無理やり言うことを聞かせられていた可能性が高い。

 ただの刺青ならエーテルギフトの力を感じたりしないから間違いない。


「読心ができる学園の子に依頼して、黒幕を探りますか?」

「そうだね。氷室君の能力で上書きできれば手っ取り早いんだけど、無理だよね?」

「そうですね。私の[契約遵守]で契約を結んだとしても、すでに結ばれている契約や命令が無効になるわけではありませんから」


 上書きできれば学園の子にわざわざ頼んだりしなくていいのに残念だ。

 こういう類の仕事を学園の子に頼むと、大抵の子はアルバイトよりも割が良いから助かるって言うから、教育者としては複雑な気分。


 でも能力を使ってどんな事に役立てられるかや、どういった仕事に向いているかを学ばせられるから悪くはないのかな。


「さて、出来ない事は仕方ないとして、私もできることはしておくかな」

「何をするんですか? 学園長のエーテルギフトは[魔法・重力]ですから、敵を殲滅するには向いてますが、調査には向いてませんよね?」

「そうだね。だけど別にエーテルギフトを使わなくても、今までのコネクションとかで調べることはできるよ。

 それに今回は動いてる人間が多い分、規模も大きいから、それができる人間は限られてくるしね」


 私の大切な学園の子供達に手を出したのだから、相応の報いを受けさせないといけないし、何より放置してまた子供達が被害に遭うことだけはないようにしないといけない。


「害虫は潰すに限るよ」


 ◆


 ≪とある出資者SIDE≫


「失敗したか……」


 しかもよりにもよって黒瀬が関わることになったとなると、私に辿り着くのは時間の問題か。


「おい、この街を出るぞ」

「よろしいのですか?」

「動かした暗部が全員戻ってこない時点で、街の破落戸だと誤魔化すのは無理だ。

 数日以内に間違いなく私の元までたどり着くだろう」

「暗部の人間は読心されても繋がりがバレぬよう、直接接触したりせず、指示をする際も何人もの人間を挟んでますし、そうそうたどり着かないのでは?」

「甘いな。黒瀬のせいでこの街に私以外の出資者がいなかったくらいだぞ?

 あいつは執念深く調べてきて、必ず大元にたどり着く。

 それを恐れてこの街から逃げ出す者は多く、その結果私しかいなかったくらいだ」


 願いを叶えるギフター(108番)を手に入れるメリットと、成功するにしろ失敗するにしろこの街からいられなくなるリスクを選んだ結果だ。仕方ない。


「その私もこの街を出ることになるのだがな。成功してたとしても黒瀬に追いかけられぬように出ていくつもりだったんだ。準備はできているだろ?」

「もちろんです」


 なに焦ることはない。

 この街の中にあの研究所を支援していた人間がいなくなる上に、黒瀬のやつもいるのだから、他の連中に横取りされる心配はない。


 108番の情報だけでも十分価値はあるし、それを伝えるだけでも恩を売れるのだから。


「そういえば、あの研究所には関わっていないが、身内の不治の病を治すために奔走している一家がいたな」


 恩を売るでふと、あの大富豪のことを思い出した。

 かなりの資産家で、その資産は研究所を支援していたやつらが十数人束になった程度では敵わないほどだ。


「いや、ダメか。あの研究所が潰れてだいぶ経つし、すでにその情報を渡している者もいるかもしれん。

 それにあの大富豪は研究所に関わっていないことを鑑みると、そういう事が嫌いな偽善者の可能性がある」


 下手に情報を渡せば、恩どころか敵として認識されかねん。


「まあいい。情報を秘匿するにせよ活用するにせよ、まずはこの街を出てからだな」


 私のその考えは正しく、読み通り数日後に私の屋敷だった場所に学園生が何人も襲撃したという情報が入ってきた。

 やはり黒瀬は侮れんな。



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