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エーテルギフト~異能のデメリットに振り回されるオレ達~  作者: 甘井雨玉
1章

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第46話 後始末


 今度はどこかの広い倉庫の中。

 移動地点に決めていたからか明かりが灯っており、周囲がよく見えた。


「逃がすわけないでしょ?」


 紅い目と金髪の少女、柚乃が近くに立っているのもハッキリと。


「「「っ!?」」」

「ば、馬鹿な!? どうやって俺がここに転移してくると分かったんだ?!」

「私の[吸血鬼化]の能力の1つに、コウモリになれるのと影に潜む能力があるの。それでこっそり斗亜ちゃんに近づいて潜んでいただけ」


 なるほど。それで転移の際に一緒に移動することになったのか。


「そもそもナズナちゃんが斗亜ちゃんの安全を無視するわけないでしょ。

 私が守っていたから安心して攻撃していただけだよ」


 まあナズナならそうだよな。

 頭にきて思わず暴れ出した可能性もちょっと考えたけど、そんな訳なかったか。


「また転移されると面倒だから、あなたから死んでね」

「まっ、待て、ぐはっ!?」


 2人共、殺意高すぎない?


[吸血鬼化]の効果か、ナズナに勝るとも劣らない身体能力で誘拐犯達を殴り倒し始めた。

 ものの数秒で決着はついた。


 とっさの転移で一緒に連れてこれた仲間が4人しかいなかったせいもあり、柚乃相手にはいてもいなくても変わらなかったようだ。


「よかった斗亜ちゃんが無事で!」


 オレをギュウっと抱きしめて、もう離さないと言わんばかりだった。


「あ、ごめん。ちょっと力を使いすぎたから血を飲んでもいい?」

「ああ、いいぞ」


 [吸血鬼化]の能力は多彩で身体能力すらナズナの[忠誠証明]に匹敵するレベルだが、力を行使した後はこうして血を飲まないといけないのが欠点だな。

 今飲まなくても問題ないだろうが、我慢しすぎると血に飢え始めるから定期的に解消させてやった方がいいのは間違いない。


「ぷはっ! よし、元気いっぱい!」


 オレは栄養ドリンクか?


「ところで斗亜ちゃん。ここどこだろ?」

「さあな。ただ転移を使える男の話じゃ1キロほどの距離しか飛べないらしいから、さっきの屋上からさほど離れていないと思うが」

「そうなんだ。それじゃあナズナちゃんとすぐに合流できそうだね」


 転移能力は確かにすごいが、距離が短かったのが幸いだった。

 オレは倉庫を出て柚乃に抱えられると、柚乃はコウモリの翼を背中に生やすと、空を飛んでナズナのいる場所へと向かう。


 血の補充さえできれば空すら飛べるとか、色々と羨ましい能力だよな。


「ごめん、ナズナちゃん。待たせちゃったかな?」

「いえ、こちらも後始末に動いていたので問題ありません」


 後始末って死体の処理じゃないよね? ガチで殺してないよね?


 屋上に転がる誘拐犯達を見ると、気は失っているけど一応息はしているようなので死んではいないようだ。

 しかし後始末に動いたと言ったが、誘拐犯達には何もしていないように見えるが一体何をしてたんだ?


 その答えはすぐに現(・)れ(・)た(・)。


「ははっ。随分と派手にやったね」

「黒瀬学園長。どうしてここに?」


 空から降りてきたのは黒瀬学園長だった。


「ナズナ君から呼ばれてね。斗亜君を狙う人間がいて、大勢の人間に襲われたからどうにかしてくれないか、と」


 確かにこれの後始末は必要だわな。

 できれば黒幕まで始末したいが、オレ達では無理だろう。


 だが黒瀬学園長ならなんとかなるかもしれないと思って呼んだのか。

 先程の戦闘が始まって大して時間が経ってないから、あらかじめ連絡していたんだろう。

 もしもオレを見つけられなかった時の保険もあったのかもしれない。


「それにしてもよく呼んですぐに来てくれたな」

「それだけ君の能力が厄介な人間の手に渡ると困るってことだよ」

「こっちとしては手助けしてくれるのは助かるが、見返りを求められそうで嫌だな」


 あまり借りとか作りたくないんだが。


「気にしなくていいよ。君達はまだ子供なんだから、そこは素直に大人に頼ってくれればいいさ。

 それで見返りを求めるなんて大人げないだろ?」

「……なんか企んでるのか?」


 そう言われたからって「わぁ、ありがとう」なんて言えるほど、人を信用していないぞ。


「もしも何か企んでいたとしても、今回の件でこの借りを返せだなんて言わないし、言ってきても無視すればいいだろ」

「まぁ……、確かにそうだが」


 いまいち信用できないのはこの胡散臭さからだろうか。


 とはいえ、そんな事言ったところで今の問題は解決しないし、黒幕を排除するにもオレ達ではできそうにないから黒瀬学園長に頼むしかないんだが。


「はぁ。それじゃあ頼んだ」

「うん、任されたよ。あ、それと、そっちの子に関しては見て見ぬふりをしてあげるから安心してね」

「……そういうとこだぞ」


 信用できないところは。


 柚乃が〝吸血姫〟だと分かっての発言だが、このタイミングでそれを言われるとさらに借りを作ったような気分になるな。


「借りだと思うなら大人になった時、〝ワービースト〟の退治や困っている子供がいたら手助けしてくれるだけでいいさ」

「はいはい。じゃあ後は頼んだ」


 オレ達は後始末を黒瀬学園長に頼むと、寮へと戻ることにした。


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