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エーテルギフト~異能のデメリットに振り回されるオレ達~  作者: 甘井雨玉
1章

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第43話 強力なエーテルギフトを持つ者は希少


 一方的だった。

 相手もエーテルギフトを使うだろうと思っていたのだが、大した能力を使う者はいなくて、全員が何らかの武器を持って襲ってくるだけだったので、柚乃が血をかけてその場で停止させるだけで、戦いにもなっていなかった。


「お待たせしました」


 その上、戻ってきたナズナが大量の分身を引き連れて、オレ達の周囲を取り囲んでいた男達を逆に囲んでフルボッコにしていた。容赦ないな。


 そうして待つこと数分。あっさりと決着はついてしまった。

 襲ってきた男達は全員、柚乃が血を使って手と足を固めて動けなくしていた。


「エーテルギフトをなんで使わなかったんだ?」

「はあ゛!? ふざけんな! てめえらみたいに強力なエーテルギフトを持ってるやつなんてそうそういるわけねえだろうが!」


 そうなんだろうか?

 確かに黒瀬学園長は〝ワービースト〟と戦える人材は希少と言っていたが、〝ワービースト〟とは戦えなくてもそこそこのエーテルギフトくらいは持ってないんだろうか?


 俺が配信者の男達にちらりと視線を向けると、全員がそろって頷いていた。


「僕――じゃなくて俺の場合だと[触れている鉛筆を自在に操れる]能力だ。ぶっちゃけペン回しの凄い版って感じなんだよ。大したことない能力だろ?」

「それ、こん棒並みにでかい鉛筆なら攻撃力高そうだが」

「無理だ。鉛筆のサイズにも縛りがあって、片手で持てる範囲の物だけなんだよ……」


 それは何とも微妙な能力だ。

 身体の表面を自在に鉛筆が走り回るってだけじゃ、そこまで大したことできそうにないな。

 しかし走り回る、か……。


「足の裏か背中に大量の鉛筆をくっつけて、ローラーみたいに回して移動するくらいか」

「えっ、今なんて?」

「ん?」

「いや、だから今なんて言いました?」

「鉛筆をいくつも身体にくっつけてローラーみたいに回せば移動できないかって言ったんだが?」

「「「おおっ……!」」」


 何故そんな感嘆してるんだ?


「こんなしょっぱい能力でなんという企画力……!」

「うまくいくかはさておき、配信のネタになりそうだな!」

「早く帰って試してみようぜ!」


 さっきまで大勢の男達に囲まれて襲われるのを間近で見て怯えてたのに、もう元気になったな。適当なこと言っただけなんだけどな……。


「あ、帰るのはいいが、さっき撮ってた動画は削除してからにしろよ」

「……えっ? 『インタビューしてたら破落戸に襲われた』って動画出しちゃダメっすか?」

「俺――んんっ。私達が映っているからダメです」


 うっかり口調が戻っていたのを慌てて戻し、決してネットに上げるなと念押しをしておくことにした。


「……モザイク入れるし、声も加工するって言っても?」

「ダメ。嫌がるなら実力行使」


 俺がそう言うと、ナズナの分身たちが配信者の男達を取り囲んでいた。


「「「ひっ!? わ、分かりました!」」」


 バイクの男達を次々と殲滅した謎の人間達に囲まれたら、さすがに言うことを聞くか。


「まあ配信のネタはもらったしいいか」

「ゴミみたいな能力でも工夫次第で動画映えしそうなのができそうだな」

「デメリットの方でもうまいこと動画映えすることできないかな?」

「うまくいかなくてもネタになるから、どっちにしろそれはそれでおいしいだろ」


 動画を目の前で消させ公園から帰してやったが、文句は特になさそうだったのであっちはいいな。


 さて、問題はこっちだ。


「何故私達を襲ったんですか?」

「あっ?! 金だよ金。わりいか!」


 悪いわ。


「私達を連れて行ったところでお金にはならないと思いますが?」


 今生のオレは美少女で、ナズナも柚乃もかなり目鼻立ちが整っているので、そんなオレ達に身体で稼げとかいうのならぶち殺し案件である。

 ただ、巷で広まっている噂では容姿までは分からず、そんな相手を連れて行こうとまでは思わないだろうからそれはないだろう。つまり――


「てめえらを連れて行けば、5000万だったんだよクソが!」


 他に指示した相手がいると。……結構報酬高いな。


 最初の時点で分身合わせて6人だったことを考えると、人を6人さらえば5000万は相当だな。

 誘拐だから犯罪だが、オレ達に「ただ一緒に遊んでいただけ」、「自分の意志で着いていった」と言わせれば済むとでも思ったのかもしれない。


「どうする、こいつら?」

「108番様の御心のままに」

「108番ちゃんが決めていいよ」


 丸投げされてしまった。


 さすがに身元を明かせない以上下手に警察には頼れないし、だからといって野放しにするわけにもいかないから、気は進まないが黒瀬学園長に頼るか?

 夜に徘徊どころかオレのエーテルギフトの能力すら知っててこっちの事情は分かってるし、頼れる相手となると黒瀬学園長しかいないんだが……。

 あまり頼りたい相手ではないんだよな。

 なんかこう、胡散臭くて変に借りを作りたくないし。


 だが今回ばかりはそんなわけにもいかないか。


 オレは諦めて黒瀬学園長に連絡しようと――


「油断したな」

「へっ?」



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