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エーテルギフト~異能のデメリットに振り回されるオレ達~  作者: 甘井雨玉
1章

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第42話 きっぱり拒否


 ――ブオンッブオンッ!


 うるさいな。バイクか?


 そう思って音のする方を見ると、何台ものバイクが公園に走って侵入してきた。


 夜の公園だからってバイクで侵入してくるとか、ファンキー通り越していかれてるとしか思えない所業だぞ。

 思わず呆気にとられていると、次から次へとバイクが公園に入ってきた。


 そのバイク達はオレ達の周囲に次々と停止していき、まるで逃がさないようにしているようだった。


「おい、そこのフードを被ってるやつら。てめえらは大人しく俺達に着いてきてもらおうか」


 その言葉とこの状況で全て察した。

 さっきまでのパチモンとは違い、今度はガチで黒瀬学園長が警告していた類の奴らのようだ。


 頼み事の噂を聞いてきたとしても少なくともこんな態度になることはないし、わざわざこんな大勢で囲ってくることはないだろう。

 どうみてもこちらが何者か分かってて連行しようとしているとしか思えない行動だ。


 バイクから降りてこちらにゆっくりとリーダーらしきヤバそうな男が近づいてくる。

 あっちも配信者の男のように強面だが、明らかに雰囲気が違う。


 配信者の男は顔だけで体格はそれほど良くはないといった感じだが、あの男はガタイが良くケンカ慣れしてそうな感じで、暴力を厭わない雰囲気がありありと出ていた。


「えっ、ちょ、何この状況?!」

「これ取れ高じゃないか!?」

「言ってる場合じゃないし、下手に映したら何されるか分かったもんじゃないから止めとけ!」


 配信者の男達はいきなりこんな状況になったせいか、割とビビっていた。

 まあこんな人数に囲まれればそうだろうな。


「近づかないでいただけますか?」

「私達に何か用かな?」


 無遠慮に近づいてくるヤバそうな男はナズナと柚乃に言われてピタリと止まると、不機嫌そうに唾を吐き捨てた。


「あ゛!? なに指図してやがる。さっきも言ったが、てめえらは俺に大人しく着いてこればいいんだよ!」

「お断りします」

「着いていくつもりはないよ」


 2人がきっぱりと断ると、街灯があっても薄暗いにもかかわらずハッキリと分かるほど怒りが顔に出ていた。


「おい、やれ」

「「「うっす!」」」


 話し合う気なんか一切なくてすぐに実力行使に出るとか、雰囲気通りヤバいやつだったか。

 その仲間もリーダーの指示に戸惑わないあたり、こういう人さらいに似たことは慣れているんだろうな。


「これは多勢に無勢だな。77番、人手を連れてきて」

「なるほど。かしこまりました」


 ナズナの[百人一色]で数をこっそり増やすために、一回この場を離れてもらうことにしたわけだ。

 向こうがどれだけこっちの事を知っているか分からない以上、できるだけ能力や正体がバレないようにした方がいいからな。

 こいつらはこっちの正体を詳しく知らず、フードを被ってる集団を指定の場所に連れてくるように言われただけの、使い走りの可能性があるし。

 その意図はすぐにナズナに伝わったようで、すぐに頷いたな。


「では姫、しばらく任せますよ」

「うん、大丈夫だよ」


 ナズナは[忠誠証明]で強化された身体能力で、分身を足場に男達の囲いを突破。

 そのまま公園の外へと駆けていった。


「おい、あいつを追え!」

「「「分かりました!」」」


 ちなみにオレ達が名前で呼ばず、番号やあだ名で呼ぶのも身バレ対策だ。

 元々108番、77番と呼ばれていたし、柚乃は〝吸血姫〟と呼ばれていたからそこからとって姫になった。

 本人は姫と呼ばれるのは恥ずかしそうにしていたが、他にいい呼び方もなかったのでこのまま押しきった。


「ナズナちゃんの分身(他の子)もいるし、なんなら1人で倒しちゃおうかな」


 そんな柚乃だが、割と余裕そうだな。

 相手がどんなエーテルギフトを持っているか分からないから、[百人一色]で戦力を増やすように言ったのに、なんでそんな死亡フラグみたいなセリフを言うんだか。


「ちょっとだけ本気出しちゃうね……」


 柚乃がそう言って手首を掻き切ると、そこからあり得ない量の血が周囲にまき散らされた。


「うわっ、なんだこれは!?」


 しかしその血は何故か地面には落ちず、空中で停止しているのだから驚くのも無理はない。

 もちろんオレも驚いている。そんな事できたの?


「ただの血に怯んでるんじゃねえ! とっとと突っ込みやがれ!」

「「「お、おうっ!」」」


 リーダーの男にせっつかれ、無理やり血の壁に突っ込むと――


「なっ、なんだこりゃ!?」

「動けねえぞ!」


 そのまま一歩も前に進むことはおろか、その場から動くことができなくなっていた。

 血の壁に何人もの男が突っ込んだせいで、今度はその壁が文字通りの肉壁になっていた。


「そんな事も出来たんだな」

「うん、そうだよ。他にも色々とできるんだけど、見せる機会なんてなかったからねぇ」


 まあこんなの部屋の中でできることじゃないし、こんな機会でもなければ見ることはなかったわな。

 できることがありすぎると、それを全部伝えるのは相当手間だろうし、聞かれなければ言うこともないか。


 しかしこれだとマジで柚乃1人でどうとでもなったかもな。



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