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エーテルギフト~異能のデメリットに振り回されるオレ達~  作者: 甘井雨玉


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第3話 デメリットの種類


[願望成就]を手に入れて一カ月は経っただろうか。


 それまでの間に様々な人間と会う事になったが、どの人物も[願望成就]の発動条件は満たさない人物しかいなかった。そりゃそうだ。


 *******************************

 自身へのデメリット

 契約1:能力使用前に願いを相手から聞かないといけない


 他人へのデメリット

 禁約1:願いを叶えてもらった相手への恩義を生涯抱き続けなければならない

 契約2:他者を害する願いであってはならない

 *******************************


 少なくともこの3つを満たせば発動条件は達成できそうなのだが、まず無理だろ。

 特に〝他人の禁約1〟とか、よっぽどな人間でない限り条件をクリアできない。


 もちろん最初のうちは願いを叶えてもらえれば恩義を感じるかもしれないが、時間が経つにつれてそんなの忘れてしまうだろうから、条件を満たせないし。

 特にここの職員なんて人を実験体として見ていたのだから、生涯恩を抱き続けるどころか、数日でそんな恩を忘れてもおかしくない。


「私の願いを叶えてくれるなら、君をここから出して自由にしてあげようじゃないか」

「間に合ってます」


 偉そうな奴がここから出してやる代わりに願いを叶えろとかほざいていたこともあったが、そんな奴は恩義など感じないし、そもそも【制約1:見返りを求められない】せいでそういった取引をするのは無理なんだよ。


 〝禁約〟、〝契約〟、〝制約〟と3種類あるが、それぞれ種類が違う。


 ※デメリットの種類

 ・禁約………禁制を守る義務が生じる(約束のようなもので、破った場合代償を払うことになる)

(例:【靴を履くときは必ず右足から履く】というデメリット持ちが左足から靴を履いてしまった場合、代償として巻き爪になる)


 ・契約………力を使うための条件が設定されている(力を使おうとする前に何かしらの行動を行うか、その条件を満たす環境下にあること。もしくは力を使った後に条件が達成される状態でないと力は発動しない)

(例:【水たまりが自身の半径5m以内にあること】というデメリット持ちは、水たまりがないと力を使えない)


 ・制約………自身の行動に制限がつく(強制力があり、本人の意思に関わらず従ってしまう)

(例:【左手で握手できない】というデメリット持ちは左手で握手しようとしたら、相手の手に触れそうになった瞬間、磁石みたいに弾かれることになる)



 〝契約〟は他の2つと違い、エーテルギフトの力を行使する際に関わるだけなので、力を使わない限りは問題ない。

 問題は〝禁約〟、〝制約〟だ。

 この2つは普段の行動を意識的にか強制的、どちらにせよ行動を縛られてしまう。


 〝制約〟であれば強制的に行動を縛られるだけなので意識する必要はないが、〝禁約〟だとうっかり禁止された行動をしてしまう可能性があるのが怖いところだ。

 ただ、禁止されてるだけなので罰である代償を覚悟にその禁制を破ることも当然できる。


 そしてここの職員は間違いなくそれを強いるだろうな。


「時間の問題、か」


 願いを叶えられるエーテルギフトと言えど、使えないなら無いも同じ。

 だったら〝禁約〟を破らせて無理やり使わせてみようという結論にいずれ達してもおかしくはないだろう。


 ◆


『それでは299番の願いを叶えてもらおうか』


 いや、早くない?


 予想通りというか、思ったよりも早い段階で無理やり力を使うよう命令されてしまった。

 まだ力を得てから二カ月も経っていないというのに、見切りをつけるのが早すぎないか?


 希少な能力なんだからもっと大切に、えっ、どうせこのまま置いといても使えないのは目に見えてるから、無理に使用した場合の結果を見る方が得策?

 この1回で使えなくなる可能性もあるのに?

 それならそれで仕方がないと諦めるって嘘だろ? 


 いや、もうちょっとこう、デメリットが何かを探るとかすれば……読心系や解析系の異能者ですら分からない上に、[願望成就]のデメリットについて考えは口に出来ても具体的な内容はまともに話せないのにどうしろと、って?

 それを言われたら何も言えない。


 *******************************

 他人へのデメリット

 制約1:他人に[願望成就]のデメリットを伝えられなくなる

 制約2:エーテルギフトで[願望成就]への干渉ができない

 *******************************


 この〝制約〟のせいで、こんなにも早く強行されることになってしまうとは。

 ホントろくな異能じゃねえな。


『何をしている。早くしろ』

「嫌だが?」

『なんだと?』


 人の願いなんざただでさえ叶えたくないというのに、代償を負うと分かっててなんで[願望成就]を使わないといけないんだよ。


『108番、分かっているのか? 今の貴様は希少なエーテルギフトを持っているが、使わないのであればただの子供――いや、既にエーテルギフトを持ってるせいで実験にも使えないお荷物だ』


 ただの子供でいいだろ。そこまで悪辣な表現しなくてよくないか?


『役に立たないのであれば、少しでも研究資金が回収できるよう、貴様を子(・)供(・)が(・)好(・)き(・)な(・)大(・)人(・)に預けることになるぞ』


 意味深な表現止めてくれねえかな。

 こちとら前世男で、今も意識的には男であり、精神的BLはお断りだ。

 仮に相手が男でなかったとしても大人のおもちゃになるのはゴメンである。


 願いを叶えるかおもちゃになるかって究極の二択すぎないか?


 人の願いを叶えるとか虫唾が走るところだが、【制約2:他人の願いを叶えたくなる衝動に駆られるようになる】せいで、おもちゃになるよりはマシか……? と思い始めているのが何とも言えない。


 目を瞑り、どちらがマシか天秤にかける。


「……どんな代償が起きても知らねえからな」

『それでいい』


 さすがに大人のおもちゃにはなれなかったよ。


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