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エーテルギフト~異能のデメリットに振り回されるオレ達~  作者: 甘井雨玉


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第36話 何がとは言わないが


 柚乃の問題がある程度解決し、オレの〝自身の制約2〟による【他人の願いを叶えたくなる衝動に駆られるようになる】という衝動も今のところ感じなくなった。


 昨日の騒動で下手に外に出歩くわけにもいかないが、[願望成就]で願いを叶えた後ならまた2カ月くらいは衝動に悩まされなくて済むだろうから問題はないな。


「斗亜様のお世話は私がします」

「私だって斗亜ちゃんのお世話をしたいんだけどな」


 目下の問題は、デメリットのせいで体力が9割失われたせいでまだ体力が回復しておらず、まともに動けないオレの世話を2人が取り合ってることだろうか。そんな事で争うなよ。


「以前から私1人で斗亜様のお世話をしていましたから手伝いは不要です。そもそも私には[百人一色]があり、人手を99人増やせるので何の苦労もありません」

「そういう事じゃないんだよね。私が(・)お世話をしたいんだよ」

「生憎と人の世話をする事に慣れていない方に手を出されるのは迷惑ですので、一から十までお世話をした経験がある私1人でやるのが一番です」


 一から十という言葉が比喩じゃないのが嫌だな。

 おはようからおやすみまで全ての事をナズナに任せていた時とか、羞恥死するレベルだぞ。

 風呂とか分身まで出して全身丸洗いだったし。

 オレは精神的には男だから、全裸のナズナが複数人で洗ってくるのはホントに目のやり場に困ったぞ。


「確かに1人でやるのが楽かもしれないけど、ナズナちゃんが風邪とか引いた時は代役とかいた方がいいんじゃないかな?

 私が斗亜ちゃんのお世話をしたいって気持ちが9割だけど、あとの1割は今後の心配もあるんだよ?」


 オレの世話の割合が未来の心配を圧倒的に上回ってるし。

 それでナズナが折れるわけ――


「その意見は一理ありますね」


 あっさり折れたな。いいのかそれで?


「あれ? 随分とあっさり肯定したね」


 オレが思った事を柚乃も思ったようで、目をパチクリとさせて尋ねていた。


「私個人の感情よりも、斗亜様が全てにおいて最優先ですから」


 いや、もうちょっと個人の感情を優先してもいいのよ?

 そんな全てにおいてとか重いから、もうちょっとこう、ほどほどのバランスにはならないの?


「その気持ちは分かるなぁ」

「分かるのか」

「それはそうだよ。私だって斗亜ちゃん優先だし」


 重いのが2人になってる。

 え、オレの状況とんでもないことになってない?

 お世話してくれる人がいるから贅沢言うなと言われればそれはそうなんだが、なんかこう、自分の身が心配になる布陣が出来上がってる気がしなくもないんだよな。


「では一緒に斗亜様のお世話をしていくことにしましょう」

「うん、よろしくね」


 本人の意志が介在されることなく、柚乃がオレの世話に参加することが勝手に決まってしまった。


「っ……」


 それが決まったちょうどその時、オレはある生理現象を感じて身体をわずかに動かした。


「トイレですか?」

「そうなの? 大丈夫、私に任せて」


 たったそれだけの動作だったのになんで分かるの?


 丸一日寝てたんだし尿意がきてしまうのは仕方ないんだろうが、すぐに察してくれるのはありがたい反面、人にそういうのを気付かれてしまうのはさすがに恥ずかしいぞ。


 ただ今回は幸いにもトイレに連れていかれて便座に触らせられるだけで済んだ。

 手が動くって素晴らしい。


 まあ2人がこぞって手伝ってこようとしたので追い出した結果だが。

 さすがに手が動くのに人に後始末されたくないんだよ。


 そんなわけで1人でトイレを済ませたわけだが、トイレを出る際にナズナに担がれた際の一言でオレの思考は一瞬停止することになった。


「では次はお風呂ですね」

「……はい?」

「うん、そうだね。昨日は体力を失って寝ていたから、身体を軽く拭いてあげることしかできなかったし」


 すでにひん剥かれて全身拭かれていたらしい。

 自分の今の恰好が昨日外出した時の恰好からパジャマに変わっているので当たり前と言えば当たり前なのだが。

 ただ、柚乃にまで拭かれていたのは想定外だ。もうそんな事してたのかよ。


「まだ体力は完全に戻ってないし、明日とかでよくないか?」


 体力が戻れば自分で身体を洗えるからな。


「何を恥ずかしがっているのですか? いつも一緒にお風呂に入っているではありませんか」


 自分で洗えるって言ってるのに、「片手だと不便でしょうから私が洗います」って言って洗わせてくれないんだよなぁ……。

 中学生の女の子に子供みたいに身体を洗われるのは普通に恥ずかしいのもあるが、なんかいけないことをしているようで微妙な気分にもなるんだよ。

 一応慣れてきたが、今回は柚乃まで混ざるのだから余計にそういう気分だ。


「昨日はちゃんと身体をきれいにしてあげられなかったから、今日は全身ピカピカにしてあげるからね~」

「斗亜様が気分よく休めるよう、きっちり洗わせていただきます」


 ……抵抗むなしく、オレは洗われた。


 何がとは言わないが、柚乃は結構大きかった。

 オレ達3人が並ぶと、柚乃、ナズナ、オレの順に大、中、小って感じだった。何がとは言わないが。


「それじゃあ今度はご飯かな?」

「ん~」


 もう好きにして。

 身体を丸洗いされて全裸を見たり見られたりしたオレは悟りの境地に――


「ベッドが大きくて良かったね」

「ですがさすがに3人だと手狭ですね」


 さ、悟りーーーー!!


 夕食を食べた後、疲労感がまだ残っていたのでまたひと眠りすることになったのだが、何故か2人も一緒になって横になってきた。

 2段ベッドのある部屋ではなく、キングサイズのベッドがある部屋なのが災いしてしまったか……。


 デメリットの関係で1人で寝れない人や逆に1人でいないといけない人のために、寮には様々なタイプの部屋があるのだが、ナズナの希望で2人で寝られるタイプのベッドのある部屋にしたのがいけなかったのか。


 少女2人に挟まれて眠るとか、今のオレがTS美少女じゃなければ許されないところだった。



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