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エーテルギフト~異能のデメリットに振り回されるオレ達~  作者: 甘井雨玉
1章

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第26話 新翠学園


 研究所からこの街に来て数カ月が経った。

 今のところ襲われることもなければ、変な監視の気配もないので、オレのエーテルギフト[願望成就]はバレていないはずだ。


 ――キーンコーンカーンコーン


 だから誰の目も気にすることなく、学園長に誘われた学園に通えているというわけだ。


 現在は4月、オレ達はこの学園――新翠(しんすい)学園の中等部に生徒として通っている。

 年も14歳になったので中二だ。


 小学校レベルの教育も怪しいあの研究所にいたのに、中一とばしていきなり中二からで大丈夫なのかという心配も事情を知る教員からされたが、なんとかなった。


 オレは前世の記憶があり、前世と違うのは近代の歴史だけ。

 この世界はギフターや〝ワービースト〟の存在が表舞台に現れたのはほんの百年ほど前のことなので、そこまでは違いがないからな。


 たださすがに思い出すのには苦労した。

 十数年も前に勉強したこととなるとかなり忘れていたが、まだ中一の範囲だったからこの数カ月で勉強し直すことでなんとかなった。


 問題はナズナだったが、こちらもなんとかなった。

 元からナズナは優等生だったのもあるが、それに加えて彼女には[百人一色]がある。


 いや、ズルくないかあれ?


 分身が消える際に見知った情報を本体に送ることもできるって効果もあるが、それを利用して本体も合わせて100人で勉強する事で、100倍の効率で学習できるんだからやっぱりズルいだろ。

 ナ○トか? ナ○トなのか?


 10分の勉強でも100人でやることで1000分(16.6時間)の学習になるのだから、数学などの反復して覚えるタイプのものは、あっという間に身につくのだ。

 もちろん一気に99体分の経験が流れ込めば疲労も半端ないが、5分やって1時間仮眠みたいな感じで休み休みやれば問題なかったし。


 羨ましすぎて泣きそう。


 その分デメリットが【寿命99年の先払い】だから、それを考えると寿命の問題が解決できなかったら微妙だが。


 それはさておき二度目の学校生活だが――


「今日の体育の時間は〝ワービースト〟と対峙した時のために――」

「歴史において〝ワービースト〟が初めて発見されたのは――」

「対ワービースト部って練習というか訓練が相当キツイらしいよ」


 なんかちょいちょい〝ワービースト〟が話題に出る以外は普通だ。普通か?


 前世の記憶があるせいで違和感しかないが、ナズナにとっては学園とはこういうものだと思っているだろうから、それを悟られないようにしないといけないな。


「斗亜様。本日はいかがいたしますか?」

「特に何も予定はないな。

 というかナズナ。別にオレの事は気にしなくても自分のしたいことをすればいいんだぞ?

 何かやりたい部活とかないのか?」

「私は斗亜様のお世話をすることが一番したいことなので」

「もう手や足とかの骨折は治ってるから、別に世話をされなくてもいいんだが」

「そんな事を言わないでください。お望みとあれば、おはようからおやすみまでの間の全てを私が斗亜様の手足に代わって行いますから」

「羞恥で死ぬわ」


 ただでさえ骨折をしていた時、トイレやお風呂のために体中を触られて、ギプスを付けていた手足以外触られなかったところはないと断言できるほど触られたんだぞ。

 ……死ぬか。


 すでに羞恥で死ねるレベルのことされてるわ。


「うぇっ!? 笹崎と山本ってどんな関係!?」


 軽く死にたいと思った時、たまたま近くにいた陽キャのギャルっぽい優木(ゆうき)りこが目を見開いて飛び上がらんばかりの反応をしていた。

 ちなみに山本はナズナの苗字である。


「私は斗亜様のメイドでございます」

「マジで!?」

「いや、違うが。別に雇ってないし」


 正直金があるなら払いたいとは思うがな。

 寮では基本的に食事以外は自分の事は自分でする事になってるが、ナズナはオレの代わりに全てやってくれるのだ。

 寮はナズナと同室で、部屋の掃除はついでだから問題ありません、とか言われるが正直頭が上がらん。

 ……洗濯とかもついでだからって全部やってしまうんだが、ついでって言えばいいと思ってないか? 片手しか使えないが、別に何もできないわけじゃないんだぞ?


「2人は昔からの知り合いとか、そんな感じ?」

「まだ数カ月の付き合いだな」

「それがどうして主従関係になるのさ!?」

「まあ色々あったとしか言えないな」


 説明しづらい事情だし。


「はぁ~よく分かんないけど、とりあえず2人は親密な関係ってことでしょ?」

「親密って言い方はともかく、色々助けてもらってる関係だ」

「いいじゃんいいじゃん。話が聞こえてきた時は驚いちゃったけど、笹崎は手助けがあった方がありがたいっしょ?」


 そう言ってオレの左腕のあった方に一瞬視線を向けた。

 だがその目は同情的なものではなく、確認といった感じの視線だった。


 この学園の生徒は半数は大なり小なり何かしらのデメリットは持ってるし、優木も何かしらのデメリットを抱えているから、そこまで気にするものではないのだろう。


 オレらのいるクラスはエーテルギフト持ちしかいないクラスで、一々気にして同情していたらきりがないのだから。


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