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エーテルギフト~異能のデメリットに振り回されるオレ達~  作者: 甘井雨玉
1章

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第24話 暇なのか?


 病室に放り込まれて数日の間、オレ達は今の世界の外の常識を学ぶため、ネットにつながるタブレットを借りて情報収集をしていた。

 というか、それくらいしかする事がなかった。


 77番の願いを叶えた際に〝自身の契約2〟である【能力使用後、体力の9割が消失する】デメリットでまともに体力が回復してなかったところに、逃避行なんてしたせいで体力がなかなか回復せず、まともに動けなかったのだ。


 お陰でベッドから出るのも億劫なんだよな。

 代償で両脚骨折してるからどの道ベッドから出られず、移動する際は常に77番に抱えてもらって、トイレとかに行ってるのだ。

 もう悟りが開けそうなくらい、後始末をしてもらった。


 嘘だ。全然悟りなんか開けん。


 前(・)を拭いてもらうのは百歩譲っていいとして、後(・)ろ(・)を拭いてもらうのは色々とこう……心にくる。

 もう完全にバブちゃんだろこんなの。

 77番が嫌な顔せずに淡々と始末してくれることだけが救いだ。救いか?


 まあそんな感じでオレが解脱しかけながら、ようやく体力が完全に回復した時、やつが来た。


「やあ。身体は大丈夫かい?」


 学園長である。

 学園長なのにホイホイ来るとか実は暇なのか?


「酷いな。これでも時間を捻出して来たというのに」


 おっと。どうやら心の声が漏れていたようだ。どうでもいいが。


「言っとくがオレの怪我が悪化してるのは、あんたが無理やり重力で押しつぶしたせいだからな?」

「でも怪我に配慮しいてたら君達を危ない場所に行かせるところだったから、仕方なかったんだ」


 それはそう。

 ただ、右手、両脚にはギプスをつけていたが、あばらは数本ヒビが入っていた程度だったのでコルセットのようなもので固定とかしていなかったから、ぶっちゃけあの時死ぬほど痛かった。

 呼吸するだけでも少し痛んだりするくらいなのに、77番に思いっきり抱きしめられていた時は泣きそうになるレベルだった。

 中身成人とっくに過ぎてるオレがだ。


 必死に逃げてる時だったからある程度我慢できていたが、全く痛くなかったわけじゃないし。


 ――と、まあこうつらつらと文句は出てきたが、実際学園長に止められなければ〝ワービースト〟に襲われる危険のある大変な生活を送る羽目になっていたことを考えると、一応止めてもらったことには感謝しなくもない。


「それで、何の用だ?」

「うん。私が今日ここに来たのは、君達の今後についての相談をしに来たんだ。

 君のその怪我が治ったら、病院から出なくてはいけなくなるだろ?」


 それはまあ確かに。

 とはいえ、行く当てもなければ頼る相手もいないのだが。


「だから君達がもしよければ私の学園に来ないか、という勧誘だよ。

 寮もあるし中高大の一貫校だから、少なくとも成人までは住む場所には困らないね」


 なるほど。ちょっと魅力的な話だな。


「強制ではないし他にも選択肢はあるだろうけど、一応顔見知りからの提案ってことで、候補に入れてもらえると嬉しいかな」


 この年だと学校とかには通う必要があるのは間違いない。

 それに前世と同じで義務教育は中学までだが、やはりまともな働き口を得るには高校までは通っておく方がいいみたいだし。

 研究所にいた時には必要最低限の教育は受けたが、その程度では大学どころか中学ですら怪しいレベルの学力しか身につけられない教育だったぞ。


「だが金はどうする? そんなもん無いぞ」

「もちろん分かってるさ。そこは私がパトロンとなって面倒を見てあげるよ」

「で、見返りに何をしろって?」


 さすがに無条件でお金を出してもらえるとは思えない。

 一体何を要求するつもりだ?


「そこは君達次第かな。君らが将来〝ワービースト〟の駆逐のために協力してくれるのであればそれでチャラでいいし、もしその道を選ばなかったとしても働き始めたら徐々に返してくれればいい。

 後者の場合は無利子・無催促の借金とでも思ってくれればいいよ」


 割と悪くない話ではある。

 〝ワービースト〟に関わりたくなければ普通に働いて返せばいいというのなら、将来の自分が今の自分を養うのと同義だしな。


「随分好条件な話だな」

「それだけ君達という人材を評価しているということさ。返事は急がなくてもいいけど、病院を出る数日前には決めてほしいかな。

 こちらとしても受け入れ準備には時間がかかるし」

「分かった」


 無理強いせずにこちらの判断に任せてくれるという点においても、こいつをある程度信用してもいいかもしれんな。


「最後に一つ、聞いておくことがあるんだけど――」


 そう思った矢先にこれか。

 やはりエーテルギフトの内容を聞くつもりだろうか?

 どう誤魔化そう……。


「君達は番号で呼び合ってるけど、まさかそれが名前なのかい?」


 違った。

 割とどうでもいい事だった。


「そうだな。あそこでは番号で呼ばれていたから、それ以外に名前はない」

「物心ついた時からあそこにいる者に、名前なんてありませんから」


 何故か学園長が若干眉を下げたが、同情でもしたのか?

 別に気にしてないんだがな。


「そうか。なら君達はまず自分の名前を考えて、それを役所に提出する必要があるね。どんな名前がいい?」


 急にそんな事言われても困るな。

 名付けとか、前世でもゲームのハンドルネームくらいしかやったことねえよ。

 ネーミングセンスにはあまり自信がないんだがなぁ。


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― 新着の感想 ―
行政が関わってこないのが疑問 学園長、実は隠蔽していない? それとも学園自体が政府直轄とか? 現在日本じゃ無くても犯罪組織から助け出された子供が放置されるのはおかしいような
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