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エーテルギフト~異能のデメリットに振り回されるオレ達~  作者: 甘井雨玉


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第9話 収容区画


「個人個人で隔離されてるんだな」

「何をするか分からない以上、当然の処置だ」


 実験の成れの果て。


 オレはその光景を見て、そう思わざるを得なかった。


 ベッドが2つ並べられる程度の空間の個室が一人一人に割り当てられているが、分厚い透明なアクリル板の壁で部屋の中は廊下から丸見えの状態。

 プライバシーなんてものは無く……いや、それは元から無いか。


 オレの部屋にも隠す気がないのか、部屋の隅に分かりやすく監視カメラがあるし。

 トイレや風呂には一見無いように見えるが、ここの事だからこちらに配慮しているようにみせて、密かに設置しててもおかしくないのが嫌だな。


 それはさておき、アクリル板越しに見える子供達だ。


 ベッドで横になっているのもいれば、こちらを睨んでいる者まで様々だ。

 鎖に繋がれている者達までいて、そういう者達は大抵身体の一部が異形になっていた。


「腕だけまるでゴリラみたいに太く、しかも毛むくじゃらなのとかもいるが、あれもエーテルギフトの結果なのか?」

「俺はここの担当ではないから詳しくは知らないが、体の一部が変質して異常なまでの身体能力を発揮できるようになった者達だろう。

 そういった異能者はデメリットとして理性になんらかの影響があることも多いから、ここにいるのはそれ故に暴れる危険があると判断された者達だろう」

「ここ以外でこんな子達見たことないが?」


 こんな動物の腕だけくっつけましたみたいな、雑コラ状態の人間は1人もいなかったはずだが。


「今まで会った者は理性があり能力を制御できる。つまり能力をオフにして元の姿に戻れる人間だったのだろう」

「なるほど。つまりここにいる者達の部屋に入って気軽に近づこうものなら――」

「間違いなく襲われるから、護衛として止めさせてもらう」


 止められなくても入らないが?

 だって滅茶苦茶こっちを睨んでるのばかりで、どうしてそいつと同じ空間に入ろうと思えるだろうか。


 だから話しかける際はアクリル板を挟んだ廊下で対話を試みることにしたが、やはりと言っていいのか誰も願いを叶えるに値する者達ではなかった。


「出せ! ここから出せ!」

「肉! 肉! 肉!」

「あうあうあうああああああっ!!」


 というか、会話をするに値する相手じゃなかった。チンパンジーかよ。


 願いを叶えられるなら何を望むか聞いただけなのに、まともな返答が返ってこなかったのだ。


「来る意味あったか?」

「収容区画の中でもデメリットのせいで理性に影響がある者がここに集められているだけだ。

 ここ以外にも隔離されている者達はいる」


 その言葉に安心していいのか、まだ他にも被害者がいることに呆れればいいのか。

 何百人もの子供達が実験体としてこの研究所にいるので、今更と言われれば今更ではあるが。


「願いを叶えるには最低限の理性がいると分かっただけ収穫なのか?」


 別に願いを叶えたい訳ではないし、むしろ誰の願いも叶えたくはないから、無駄足を踏まされたと思うより、こういう場所で無駄に時間を使えたのはラッキーだったと思うか。


 その後、一応見るだけ見せられた動物の檻(比喩)の近くにある、同じような空間の場所に移動することになった。


「さっきの所と作りは全く一緒だな」

「実験体を入れる場所なんだから、変える意味がないだろ」


 人を収容するのに入れるという表現はどうなの? 今更だが。


「さっきの場所とは違い、ここにいる奴らは随分大人しいな」


 誰かしらが奇声を上げていた先ほどの区域と違い、誰もがみなベッドに座るか横たわってジッとしているのだ。

 ……いや、いくら何でも大人しすぎるだろ。見ず知らずの人間が来たのに、全員が興味すらもたないとか怖いわ。


「ここにいるのは薬でほぼダメになったのばかりだからな」

「倫理が仕事をしない」

「この施設の外にはあるな」

「そういう冗談も言えるんだな」

「冗談を言ったつもりはないが?」


 なお悪いわ。


 ここも一応ということで見させられたが、返事すらしない相手ではとてもじゃないが[願望成就]のデメリットの条件を全て満たせるはずもない。

 すぐに別の場所へと向かうことになった。


「次もこんな場所なのか? 理性も思考もない相手とか、見てると怖いんだが」


 なんか、自分の末路のように思えてきて嫌悪感があるのは間違いない。


「ほう。少女らしくない喋り方をするお前でも、年相応に怖いと思うんだな」

「やかましいわ」


 そう言われると成人男性だった身としては馬鹿にされたようで面白くない。

 今の見た目は小学生相当なのだから仕方ないが。


「安心しろ。次でこんな場所は最後だ」

「むしろこんな場所が3つもあるのが安心できないわ」

「それは今更だろ。他の場所だと人の形すら……」


 そこで言うの止めるなよ。余計怖いじゃねえか馬鹿野郎。


「まあ最後の所はさっきの2つと違って理性も思考もしっかりしているから、普通に会話にはなる」

「それならマシなのか? でもそれじゃあなんでこんな場所に入れられことになってるんだよ」

「エーテルギフトのデメリットのせいで、体力が無かったり足が無かったりして動けないからだが?」


 割と重めの話をさらっと何でもない事のように言うの止めろや。


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