↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/84

第四十三話 魔王は茶会に出向く

sideレオン

 約束の時間の五分前。俺は影の中で、その時を待っていた。

 開けようと思えば今すぐにでも、彼女の部屋の前に裂け目を開けることができる。

 深い意味はない。万が一、鉢合わせでもしたときに何と言えば分からないから、というだけで。


 とはいえ、暇だ。他にすることもないので、エラの目的について考えてみる。

 デクスターには、彼女の罠にかかるなら本望、などと啖呵を切ったとはいえ、エラが姑息な手を使ってくるとは思えない。正々堂々と抗議をするのならともかく。

 というよりも、後者のためなのではないか。かつてカーティスに向けられていたような、鮮烈でどこまでもまっすぐな敵意を、己に向けられることを考えると憂鬱な気分になる。

 自分の選択した結果なのだから、文句を言うつもりはないけれど。


 悶々とそんなことを考えていれば、いつの間にか時間になった。扉を控えめにノックすれば、パタパタと駆け寄ってくる足音が聞こえる。


「いらっしゃい! ほら、早く入って」


 想像よりもずっと明るい声と共に、扉が開いた。恐る恐る室内に入れば、ごく普通の茶会の用意がされている。

 促されるままに席に着くと、ティーカップに茶が注がれた。覚えがある香りに、俺が用意した茶葉が使われていることを悟る。


 喜びと安堵がないまぜになったような感情に浸りつつ、カップを持ち上げる。ほんのりと温かい感覚に、魔石を利用した何かしらの工夫がされていることを悟った。

 発想が柔軟な彼女らしい、と感心しつつ、縁に口をつける。

 その最中、ちらりとエラの方を覗けば、じっとこちらを見つめる彼女と視線がかち合った。

 慌てて明後日の方向を向く。何か言われるだろうかと身構えるも、特段言葉をかけられることはない。


 ……エラは何がしたいんだ?

 ずっと考え続けているものの、その片鱗さえも掴めそうになかった。昔は、容易に察することができたのに。

 鈍く小さく痛む感傷は見ないふりをして、口を開く。


「……招待に、感謝する。しかし何のために俺を呼んだのか、教えてくれないか」


 失念していた、という風にハッとした彼女は、しかしすぐに笑顔を見せて言った。


「特に大きな理由はないわ。ただ、アナタと喋ってみたかっただけ」


 話? 己を連れ去り、閉じ込めた相手と何を話すというのだろう。

 そう単純な話ではないはずだ。真意を探るべく黙り込んだ俺に、エラは続ける。


「でも、そうね……魔界について、もっと知りたいわ。教えてよ」

「魔界について?」


──やっぱり、彼女の考えていることは分からない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。