ざまぁ終了
「これはめでたい。ヤヨイを失うことは、わが国の損失ではあるが、彼女のしあわせには代えられぬ」
国王陛下が立ち上がって拍手を送ってくださった。すると、ほかの席の方々も立ち上がって拍手をしはじめた。
それだけではない。エドモンドやアルノー、ほかの随行員の二人、それから大広間にいるゲストたちがいっせいに拍手をしはじめた。
「よかった」
王太子殿下はやわらかい笑みとともに立ち上がり、うしろにまわって「ドラゴンの泪」をつけてくれた。それからまた前に立ち、それを見下ろした。
すごくうれしそう。キラキラもいいけれど、こういう子どもっぽい表情も素敵だわ。
「ヤヨイ。「ドラゴンの泪」は、まるできみのためにつくられたようだ」
いえ、殿下。いくらなんでもそれは言いすぎです。
芝居だってバレてしまいます。
「それで、その高価な「ドラゴンの泪」を商人からどうやって入手したのだ?そのような大金をおまえが持っているわけはなかろう?」
「は?あ、いえ……。その……、商人に、商人に便宜をはかってやる約束を……」
国王陛下の問いに、第一王子はしどろもどろに答えた。
「愚か者めがっ!詐欺師にまんまとだまされたばかりか、ヤヨイを勝手に婚約者候補から除外したりメイド長をクビにしおったり、おまえにそのような権限はいっさいない。性根のくさったおまえを、ヤヨイに鍛え直してもらおうとせっかく婚約者の第一候補にしたというのに……。オレール、おまえは廃嫡だ。王宮からとっととでてゆけ。王太子は、第二王子とする。たったいまからな」
「そ、そんな……。ち、父上。お、お許しください」
「ドーファン侯爵令嬢、葡萄酒をぶちまけられたというのも、どうせ仕組んだことであろう。第一候補になりたいがためであろうが、わたしは最初から候補に入れるのも気に入らなかった。侯爵家であるから、だれかが加えただけのこと。ドーファン侯爵家には、なんらかの対処をさせてもらう。そのつもりでいろ。さあ、二人とも、わたしの前から失せよ。もう二度と顔も見たくない」
テレズもキャーキャーワーワーと異議を唱えているが、国王陛下は聞く耳も持たない。
「テレズ、おまえというやつは……」
ゲストたちをかき分け、ドーファン侯爵夫妻が飛びだして来た。
侯爵夫妻はテレズを悪し様に罵ると、必死に国王陛下に謝罪をしはじめる。
しかし、国王陛下はそれすら聞き入れようとされない。
そして、彼らは近衛兵に付き添われて大広間から連れだされてしまった。




