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お仕立て モンゴメリーカラーのジャケット 7

ニアと別れて家に戻ると、熊みたいなひとに浴室を貸すことをお姉ちゃんに了承をとり、しばらく家に腰を落ち着けた。

実はあのあと、平気かと思っていたのだが…膝がガクガクと震えてしまい、自宅で少し休んだほうが良い、とマリウスさんに勧められて、私は少し安静にすることになった。

マリウスさんのお薬も処方してもらい、先程の怖い思いは…全く消えたわけではないけど、かなり落ち着いている。


「それにしても随分治安悪化しましたね」


お姉ちゃんが入れてくれたお茶を飲みながら、マリウスさんは外に視線を投げる。

ここには変なやつは来ない…と思う。騎士団に関係ある人の家だし。


「戦地が拡大しているらしくて、王都に兵を集めているとも聞きますから…不穏な話ばかりになってますわ」


お姉ちゃんは私の肩を抱くように体を寄せる。…心配したんだと思う。事情はすべてマリウスさんが話をしてくれた。

私は、マリウスさんにお世話になったことをマリウスさんの会話の合間でなんとか話せたぐらいだ。


「村の方は逆にあれ以降落ち着いていまして。一時期病人も相次ぎましたが、徐々に落ち着きましたから。

ただ、王都からの行商が減って、薬が心もとなくなりまして。教会の孤児の一人が服用する薬が足りなくなるとまずいと思い、調達に来たのですが…原材料が石羽柱で魔力回復のポーションと同材料ですから、入手困難そうですね」


「私はあまりお薬詳しくありませんが…もしかしたら夫の知り合いが伝をお持ちかもしれませんから、紹介を依頼しましょうか?

お手紙を書きますから、お待ち下さいね」


お姉ちゃんはそう言うと、立ち上がり備え付けの飾り棚から手紙を取り出し、なにか書いた。


「フォクツ公爵家なので、なにかお力になってくれるかと。手紙を届けて、返事を貰いましたら、使いの者をお泊まりの宿に遣りますので…」


私の膝の上においた包みを見た。包装は残念ながら、私が力いっぱい抱きしめてしまったせいで、しわしわになっている。

…さっきまで、戦いの後方部隊に行こうかと思っていた気持ちは、包装用紙と同じ状態だ。

でも、仕事を放り出すことは…

 私はぶんぶん頭を振った。


「お姉ちゃん、私お仕事途中だったから、とにかくこれだけ終わらせてくる。

お手紙も一緒に渡してくるわ、フォクツ公爵夫人に」


「…公爵宅の方は、治安が悪い地域はないでしょうけど…さっき怖い思いをしたのよ、無理は」


「無理したいわけじゃないの、仕事を途中にしたくないだけ。お渡ししてすぐ帰るわ」


私は立ち上がり、包装がぐちゃぐちゃな包を軽く伸ばし抱え直す。多少は見目…良くなったかな…?


「僕もお願いに上がりたいので、リゼさんを公爵宅への往復付き添います。

心理的なものはあとからぶり返したりもしますから、なるべく負担にならない程度に日常生活したほうが良いかと思いますし。

…それに…腕が立つ用心棒もいますから」


ギシギシドスドス足音が響き、部屋の扉が開けられた。

熊のような容姿から、きれいにひげがなくなり、髪も短く切りそろえた男が立っていた。全くの別人だ。


「やっと山男みたいな格好から人間になりましたね、ルシウス」

「ちょっとばかしヒゲが伸びすぎただけだろうが」 


男のひげは全く無い。

ムキムキだけど、たしかにマリウスさんと似ているかも。

かなり間が空きました。

やっと終わりに向けて走り出せそうなストーリーが立てられましたので、また書いていこうと思います。

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