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ポニーに乗って


 もう朝と言うには少し遅い時間帯だった。

 アルノルトは一旦家に帰り着き、玄関でただいまと言うと、出て来たカリーナに、「あら悪い子。朝帰り?」と言われた。


「ビルゲンさんの所で狼退治をしてきたんだ。遊んでたんじゃないよ?」


 アルノルトが手を振って言うと、カリーナは小さく笑った。


「大変だったわね。昨日は雨でエルハルト達も帰って来なくて、少し心配したわ。アフラとマリウスも遅かったし」

「そうだったんだ。父さんはいる?」

「お父さんは朝からアッティングハウゼンさんの所へ行ったわ」

「そうなんだ。何か食べるものはあるかい? 朝ごはんをまだ食べないで働いてたからお腹が空いたよ」

「これから朝ご飯? まあ残りものくらいならあるわ」


 カリーナは食事の用意をしてくれた。

 アルノルトが食卓で待っていると、階段から泣き声が聞こえる。


「誰か泣いてる?」


 カリーナは台所から言った。


「アフラがね。遠くまで出歩いていたから怒られたのよ」

「また? それはしょうがないね」


 カリーナは食事を持って来て、テーブルに置いた。


「山小屋まで行ってたのが、何故かお父さんにバレちゃってね」

「そんなところまで行ったんだ」

「朝は今日もクヌフウタさんの所へ行く!って大変だったのよ」

「懲りないねー。アフラも」


 アルノルトは食事を終えると、アフラの部屋へ行ってみた。

 アフラは泣き疲れたように頭をベッドにもたれ掛けさせて横を向き、ぐったりしている。


「どうしたアフラ。泣いてるのか」


 アルノルトがそうアフラに声を掛けると、アフラは驚いて飛び起きた。


「兄さん! どうしてここに?」

「昨日はビルゲンさんの家に泊まって、今帰ったんだ。また父さんに怒られたか?」

「うん……外へ出るのは村の中だけって言われた……」

「外出禁止からは一歩出たじゃないか」

「でも、クヌフウタさんの所へ行かせてくれないのー! 兄さん馬で連れてってよ! 目を瞑って私の知らないうちに連れて行っちゃってよ!」

「また勝手に飛び出して怒られる気か……」

「どうしてダメなの? 兄さん達は毎日行っているのに! お父さんのオタンコナス!」

「父さんもお前が憎くてそうしてる訳じゃない。どうしてか教やろうか」


 アフラは強く頷いた。


「うん!」

「お前は父さんに当分出歩くなと言われてたはずだ。それを一日でも守った事があるか?」

「……無い……だって、そんなの無理だもん!」

「何度も勝手に飛び出したから、お前は今試されてるんだ。まずは言われた事を守れるかをな。それを連日破られてみろ。怒るのは当然だ」

「だって! クヌフウタさんが心配なの! 今は大変な時じゃない!」

「そうだな。俺もそれはそう思う。父さんはでもそれよりもお前の躾を優先してるって言う事だ」

「こんな時に躾なんて! 子供を何だと思ってるのかしら!」

「少し前のアフラなら、そんな躾も当然だと笑っただろう。でもお前はチューリヒで見違えるほど成長したよ。父さんもそう感じてくれれば良かったが、まだそれは判らないらしい」

「兄さん、父さんに言って? お願いよ」


 アフラは少し涙ぐんで言った。


「それはお前が自分で示さなければな」

「どうやって?」

「それは、当分出歩かない事だろう」

「えーっ! 父さんと一緒じゃないー?」

「出歩かないでまずは母さんの手伝いを全部出来るようにするんだ。それと、色々習って来たんだろう? 復習がてらそれを何かに書いて纏めるんだ。こんなに勉強して来たって驚かせてやれ。父さんもそれで見直すだろう」

「うん……でも、少し外に出たい」

「少しくらいは出ればいいさ。村の中はいいんだろう?」

「馬乗り教えて」

「え? また難しい事を言うな。落ちたら危ないんだぞ」

「だって兄さんは馬であちこち行けて羨ましいわ? それにグラウエスなら私にも馴れてるのよ。大丈夫そうだわ」

「じゃあ気晴らしに少し馬乗りに行くか。グラウエスも歩かせてやらないとな」

「うん!」


 アルノルトとアフラはグラウエスのいる馬小屋へ行った。


「グラウエス」


 アフラがグラウエスの頬を撫でると、首を振って喜んでいるのが判った。


「よく馴れてるな」

「毎日ニンジンあげてるもの。ニンジンが好きみたい。もう仲良しよねー?」

「餌で釣られてたか」


 アルノルトはグラウエスを馬小屋から引き出して、アフラを抱き上げるように横座りに馬に乗せた。


「イヤッホー」とアフラはもう上機嫌だ。

 そしてその後ろにアルノルトも乗り、二人乗りをして村への道を歩いた。


「さあ、どこまで行こうか」

「まずはソフィアの所!」

「そうしよう」


 アルノルトはアフラに手綱を持たせ、少しずつ馬の操縦を教えつつ歩いた。


「左右に曲がるに時は手綱を大きめに引っ張る」

「こっち」とアフラが手綱を引っ張ると、グラウエスは戸惑うように曲がった。


「曲がった曲がった」

「この辺は馬車も同じだな。手綱を引けば止まる。強く引いたらダメだぞ」

「止まった! えらい!」

「出発が難しいな。両足で挟んで馬の脇の方を蹴るんだ」

「横乗りじゃ無理」

「女座りなら仕方ないね。グラウエスは賢いし、声を掛けてやればそのうち歩くよ」

「じゃあ、グラウエス。前に進めー!」


 アフラがそう言うだけではグラウエスはまるで動かなかった。


「前に行って! んん!」


 アフラは馬を揺すり、両足をバタつかせた。するとグラウエスは前へと歩き出した。


「めちゃくちゃだあ!」

「ふふーん。でも伝わったわ。えらいわグラウエス」とアフラはその背を撫でた。


「駄々っ子のおねだり勝ちみたいだな」


 アフラはさらに足をバタつかせた。


「これで出発って覚えてくれるかしら?」


 グラウエスは少し足を速めて小走りになる。

 さっきよりも体が揺れ、時にお尻が浮く程だった。


「加えて足を入れれば駈け足になるから気をつけろ」

「ゆ、揺れる。落ちそう……」


 アルノルトは後ろから抱え込むようにアフラの持つ手綱を少し引いた。


「横乗りで走ると危ない。手綱を少し引いて速度を落とすんだ。体重を少し後ろにかけてな。つんのめるから」


 アフラは手綱を掴んで少し引いた。


「こうね。あれ止まった」


 動作は止まるのと同じなので、グラウエスは止まってしまった。


「ずっと引いたら止まる。じゃあ出発させてみろ」

「グラウエス。出発!」


 アフラが足をバタつかせると、グラウエスはやはり前に歩いた。


「歩いてくれた! みぎぃー。ひだりぃー」


 アフラが手綱を右や左に振ると、グラウエスは戸惑いながらも交互に右左へ動いてくれる。


「キャー! 動いてくれたわ! 可愛いわねえグラウエス。私にちょうだい!」

「お前な。都合良過ぎだろう」


 グラウエスはゆっくりと歩き、途中で道草を食って、本当に草を食べ始めた。


「草を食べてる」

「食べさせるな。鞭で叩こう」

「可哀想だわ。少しくらい食べてもいいじゃない」

「勝手な事するのを許すと、悪い躾けになるから駄目なんだ」


 そう言ってアルノルトは鞭を出して軽く叩いた。

 グラウエスは再び進み出した。


「私もこうやって躾けられているのね……」

「まあ、馬より言うこと聞かないだろう……」

「馬より……私ダメダメなのね……」


 そうして二人はソフィアの家までやって来た。家の前にはマリウスの赤い馬車が仔馬と共に停めてあった。


「マリウスの馬車だ。来てるのか」

「そうなの。ソフィアー! いるー?」


 ソフィアがチーズ工房の方から出て来ると、二人乗りのアフラとアルノルトがいた。


「どうしたの二人で」

「見て見て。私、馬に乗ってるの」

「見れば判るけど……」

「もっとよく見て。ほら。手綱持ってるでしょう?」

「あら? アフラが操縦してるの?」


 後ろからはポリーも出て来た。


「わー! すごい! アフラ、馬に乗れるようになったの?」

「うん! 今やったら、乗れたみたい」

「かなりめちゃくちゃで、補助付きだけどな……」と、アルノルトは両手を上げた。


「女の子でも乗れるのねー。私も乗ってみたーい」

「アルノルトがいれば乗れるかしら?」

「乗る?」とアフラが言うが、アルノルトは渋い顔をして首を傾げた。なにしろソフィアはスピード狂だ。


「でも怖いからいい……」


 そうソフィアが首を振ったので、アルノルトは安心した。


「何かあらかさまに安心してない?」

「いやあ、実際危ないよ?」


 ポリーの後ろからはマリウスも出て来た。


「やっぱりマリウスもここにいたのね」

「お姉ちゃん。馬に乗れるようになったの?」

「教えてもらったところよ。でも、正直一人じゃ無理! 落ちそうになるの」

「ポニーなら僕でも乗れたよ? 乗って来たし」

「私もポニーで練習しようかな?」

「二人には小さい方がいいかもな」


 と、アルノルトは安心の笑みを浮かべた。なにしろグラウエスをせがまれるのはいけない。


「僕はロバがいいな。もっと小さくて……」


 マリウスは以前見たロバが気に入ったようだ。

 家の奥からはボルクとハンナが出て来た。


「おお、アフラも来たか。最近は女も馬に乗るようだ」

「いらっしゃいアフラ。今またチーズを作ってるのよ。見て行く?」

「うん!」


 アフラがそう頷くと、アルノルトは馬を飛び降り、アフラを馬から下ろした。アフラがアルノルトの首に抱き付いて、お姫様抱っこのような形になるのを見て、ソフィアとポリーは拍手をした。


「おお! お姫様抱っこ!」

「抱っこ!」


 地面に下ろしてもらい、アフラは恥ずかしそうに笑った。


「一人じゃ乗り降り出来ないの……」


 アルノルトはチーズ工房を見て言った。


「いい匂いだ。美味しそうなチーズがいっぱいだね」


 ボルクは笑った。


「そうだろう。この辺のはそろそろ出来上がりだ」

「そうだ! ボルクさん。近々チーズをたくさん譲って貰いたいんだ」

「そりゃあ、買ってくれるならいいが、どうしてだ?」

「今度ローマへ行く時に、チーズをいっぱい持って行きたいんだ。日持ちするし」

「ローマ? チューリヒの次は、ローマか?」

「ええ。行商人とシスターに付いて行って、教皇様に会って来るんだ」

「教皇様ぁ?」


 ボルクは驚いて目を見開いた。ソフィアとポリーも驚いている。


「そりゃまた凄い旅だな! 見上げたもんだ!」

「うん。アルプスを越えるしね。チーズなら途中で食べられるし、ローマで売っても来れるし、一石二鳥なんだ」

「いつ行くんだ?」

「三日後くらいの予定だったけど、もう延びるのは決定だね」

「えらく急だな……チーズはそんな急には出来ないぞ」

「持って行けるのだけでも溜めておいて欲しいな」

「ローマへ着くまでまだ一週間かかる計算なら、あと一週間のチーズが出せるっていう事だ。それならこの辺のは出せる」

「本当? じゃあ頼むよ。近々取りに来るよ」


 そう言ってアルノルトは再び馬に乗った。


「私は置いてくのね……」


 アフラはアルノルトを振り返り、羨ましげな目をしている。アルノルトの行き先は山小屋だと見当を付けたのだ。


「アッティングハウゼンさんの所で父さんに会うんだけど?」

「あっ! 行ってらっしゃい!」

「アフラは早めに家に帰って、言った事を頑張れよ」

「判った」


 一つ頷いて、アルノルトは馬を発した。

 道を少し行き、村の広場に出ると、そこにはモランがワインとビール、そしてミルクを売っていた。


「よお。アルノルト」


 モランは手を大きく上げて言った。


「モランさん。いいところにいた」

「今日は暇そうだな。こっちはローマへ行く準備で大わらわだ」

「実はその事なんだけど、ローマ行きは少し延びそうなんだ」

「延びる? 結構無理して準備してるんだぜ?」

「行く予定のシスターが大怪我しちゃってね。少し回復するのに時間もかかりそうだ」

「そうか。怪我なら仕方がない。まあ実の所、準備も間に合ってなかったからちょうどいいや」

「そうなの? あとね、僕も一緒に行く事になったから」

「アルノルトもか! 馬車がギュウギュウだよ? いやこれだけ広いから平気か?」

「あとね、馬車にチーズをいっぱい載せたいんだ。食べる分以外にも。ローマで商売するんでしょう?」

「チーズか。それはいいかもな。どこで仕入れる?」

「さっきそこで、もう仕入れる約束をして来た」

「仕事が早過ぎるなオイ!」

「布団はもう洗ったのがあるけど、でも羊毛を詰めたのを多めに積んで、羊毛も売ればいいよね。家にいっぱいあるし」

「アルノルトは商売の才能あるよ。マジで。既に俺以上かも……」

「本当? モランさんに褒められたら本当っぽいや。あとね」

「まだあるのか?」

「出来れば馬車泊が出来るように装備を整えたいんだ。荷物の載せ方を考えておいてよ」

「馬車泊か。ここに五人は無理だろう。平らに積んで……馬車の下にも何か作って積めるようにするか?」


 モランは実際に横にある馬車を指差して言った。車輪の大きい馬車の下はかなり大きくスペースが空いている。


「いいかもね。シスター二人は女性だし、巡礼施設や修道院で泊めてもらうそうだから、全員じゃなくていいんだ」

「ならいけるな。まあやってみよう。少しは時間に余裕が出来るってことだし」

「じゃあまた何か決まったら連絡するよ」

「ああ。エルハルトにもよろしくな」


 アルノルトは広場を横切って、次にサビーネの家を窓から伺った。

 窓先にはサビーネがいて、毛糸を編んでいた。そして目が合った。

 アルノルトは馬を降り、サビーネの家に入った。


「やあお婆ちゃん」

「アルノルトが一人で顔を出すとは珍しいね」

「お婆ちゃんに少し聞きたい事と、もしかしたら頼み事なんだ」

「なんだい。言ってごらん」

「蒲団を作る時って、大きな布に羊毛を詰めるでしょう? うちで作れるものかな?」

「そりゃあ羊毛と布と針と糸があれば、大抵の物は作れるさ。あとは腕と度胸だね」

「度胸も?」


 サビーネは胸を叩いて言った。


「ああ。何でもどんと来いって言うね」


 アルノルトは「いいね」と笑った。


「今度馬車でローマに行くから、蒲団を多めに作りたいんだ。困ったら羊毛を売って路銀稼ぎ出来るように、新しいのをね」

「ローマへ行くとは聞いていたが、最近の旅は商売までするのかい?」

「そりゃあ旅はお金がかかるし、何が起こるか判らないからね」

「要は羊毛のたっぷり入った蒲団を新しく作ればいいんだね?」

「うん。そうなんだ」

「それくらいはお安い御用さ。明日にでも顔を出すよ。羊毛を用意しておいておくれ」

「うん。ありがとう。頼むよ」


 アルノルトはサビーネに礼を言い、家を出て、次にアッティングハウゼンの駅舎へ向かった。

 果たしてそこにアッティングハウゼンとブルクハルトはいて、執務室で話し込んでいた。

 迎えたアッティングハウゼン、そしてブルクハルトは言った。


「おお、ブルクハルトの愛息子だ」

「アルノルトか。わざわざここまで来てどうした?」

「昨日の狼退治の結果を知らせようと思ってね」

「そうか。どうだった?」


 アルノルトは手を広げ、五を示す。


「大成功だよ。五匹も捕まえて、怪我して逃げたのも多数いる。狼も懲りてビルゲンさんの所には来ないだろうってさ」

「そうか。それはいい成果だ。でかしたぞ」


 ブルクハルトは二人の顔を交互に見て笑い、アッティングハウゼンも感心した面持ちだ。


「ラザロ騎士団よりいい成果じゃないか。これは期待以上だ」


 しかしアルノルトの顔はすぐ陰りを落とす。


「ただ、イェルクさんが狼に噛まれたんだ」

「何! 病気が危険だな」

「それを用心してすぐに傷口を洗ってから鉄の棒で焼いてたよ。それで予防できるんだって」

「ほう。それはいい情報だな」

「聖ラザロの医者にも知らせておくか」とアッティングハウゼンが言う。


「そう思ってさっき聖ラザロの医者にそれを言って来たんだ。だけど、病気と判らないうちから患者に大火傷させられないってさ。医者としては出来ないから、自分でやるしかないって」

「なんと! 自分で熱にのたうちながらは出来んだろう」

「でしょう? でもこれは唯一の予防法だと思うよ。もし狂犬病になったら治療法が無くて、殆ど助からないってクヌフウタさんが言っていた。これは命に関わる事なんだ」

「これはラントで何か対策が必要か……」


 ブルクハルトはアッティングハウゼンを振り返る。アッティングハウゼンは腕を組んで言った。


「民家を襲ったとなると、村の衆に狼の警告を出そうと話し合っていた所だ。その予防法も伝えるとしよう。まずは広く理解して貰わねばな。それにしても、アルノルト。いい働きじゃ」

「いえ……知恵を借りて回ってるだけですから」

「勘所はみんなお前が入っているではないか。それと、山小屋にいるシスタークヌフウタとは知り合いのようじゃな」

「ええ。山小屋へ食料や物資を運びましたから。怪我した時もいましたし」

「聞けばその方はアインジーデルンの修道院長に認められた聖女だと言うではないか。明日その聖女様をお迎えに上がろうと話していたんだ。どんな様子だ?」

「まだ貧血が酷いんです。傷がある程度塞がるまでは安静にした方がいいと、聖ラザロの医者が言ってました。回復した後でなら僕らが送って来ますよ。ウーリの方がローマへの準備も出来るし」

「ローマ?」

「近々一緒にローマへ行く予定なんです。父に聞いてません?」


 ブルクハルトは慌てて言った。


「エルハルトのローマ行きの話も進めなくては……クヌフウタさんも一緒に行くようでしてな」

「そうじゃったか。ならばエンゲルベルクとも話は早そうだ。エンゲルベルクにはこちらで保護して引き取りたいと手紙を送ったんだ。今後の交渉で有利にするためにも、是非ともこちら側で保護したい。何せ聖女様だしのう。馬に椅子付きの鞍を付けて安全を図って、丁重にお迎えしようと思う」


 一つ頷いてアルノルトは言った。


「こっちに運ぶのはいいと思うけど、それはまずクヌフウタさんの意志を聞くのが一番じゃないかと……」

「確かにのう。しかしいるのが山奥では、それを聞きに行って帰ってするわけにもいかんと嘆いていた所だ」

「じゃあ、今から僕が行って聞いて来るよ」

「いいのか?」


 アッティングハウゼンが聞くと、アルノルトは頷いた。


「馬で来てるので。山小屋に行こうか迷っていた所だし、用事があるならちょうどいい」

「それは助かるのう」

「つきましては、食料の差入れを持って行きたいんですが」


 アルノルトはアッティングハウゼンに食べ物を幾つか貰い、さらにグラウエスに乗って山へと登った。



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