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奪われた領地


 馬車が城門前に到着し、門兵にエルハルトが用件を言うのだが、身形も馬車も庶民的過ぎ、城門はなかなか開かなかった。

 そこでエリーザベトが幌から顔を出して名前を告げると、城門はあっさりと開けられた。


「流石。エリーゼ様ありがとうございます」

「感謝するのはこちらこそですわ。ここまで連れて来ていただきまして。良い旅と良い語らいでした」


 城の玄関へ着くと、そこには既に皆が集まっていた。何か伝達手段があるらしい。


「兄さーん!」

「おーい」


 アルノルトが先頭を切って手を振っている。隣でマリウスも一緒に手を振っている。

 その隣にはルーディックやラウフェンブルク夫妻が待ち構えていた。

 馬車が止まると、幌の後部からアフラが飛び降りて来た。


「と! 皆さん、こんにちわ。お出迎えありがとうございます」


 アフラが小さく礼を取ってそう言うと、ユッテとイサベラが歩み寄って来て挨拶を交わし合う。

 しかし、馬車からは続く次の人が降りて来なかった。馬車の荷台の高さは淑女が飛び降りるような事は出来ず、降りるのを躊躇っていたのだ。

 駆け寄ったルーディックがそれを見て、「足台はありますか?」と玄関に声を掛けた。

 玄関にいた門兵は階段状になった良い台があったので、それを持って駆け寄って来る。それを馬車に付けて、淑女達は馬車から降りることが出来た。

 エルハルトも馬車の御者台から降りて来て、やって来たアルノルトに言った。


「まだ乗降場所が課題だな」

「僕らなら飛び降りるんだけどね。はしごがいるかな?」


 ラウフェンブルク夫妻にエリーザベトは深く挨拶と礼をした。クヌフウタ達もそれに続く。その間、アフラも挨拶をしなければいけない所だが、しきりに城を色んな場所から「すごいすごい」と見上げていた。

 皆は揃って城内のルーディックが泊まった部屋へと案内された。

 この広く豪華な部屋はこの大人数が入って丁度良いくらいになった。円卓の椅子の数も十三、ちょうど人数分だった。


「昨日はここに一人でいた時は寂しい感じがしたけど、沢山いるとちょうどいいね」

「あら、ルーディックはここで一人部屋だったのかしら?」

「途中からはアルノルトも来て、二人で泊まったよ」


 ユッテが不服そうに言った。


「あら? 私とイサベラも上がり込んで、そこの隣の部屋で寝たのよね。ここでお酒を呑んでイサベラが酔って寝込んじゃって」


 イサベラはまだ二日酔いのような声で言った。


「ええ。いつの間にか寝かせて頂いてありがとうございました」


 エリーザベトは目を白黒させた。


「まあ何て事を! 隣とは言え、同じ部屋続きです! あなた?」


 ルーディックは説明に困ってしどろもどろになった。


「いや、ほら、それは突発事態で。ワインに酔ってイサベラ姫は寝込んでしまって、仕方なかったんだ。ほら、アルノルトも何か言ってくれ」


 アルノルトは思い出しつつ言った。


「ああ、うん。そうですね。ルーディックがワインと言ってブランデーを出すので皆すぐ酔いつぶれたんです。寝るまでは一緒でしたが、すぐに僕も寝てしまいました」

「なんと言うことでしょう! 一国の姫君を欺いて酔いつぶすような事をして、その後は隣の部屋で……何か企みがあると思われても仕方ありませんわ!」

「手違いだし、隣の隣の部屋ですから……」

「続き部屋はダメです! 後で懺悔室へ!」

「ハイ……」


 と、ルーディックの懺悔室行きが決まった所で、エーバーハルトが助け船を出した。


「まあまあ、お二人さん、何も無かったようですし、ここの部屋は鍵もかかるし頑丈ですから、多目に見てあげてもいいと思いますよ。ワインと紛らわしいブランデーも私達がここに置きっ放しだったのを呑んでしまったようですから、こちらの手違いもありますからね」

「エーバーハルト様……。でもそれは置いてあるのを勝手に?」

「ああ、それはまあお客人用ですから……」

「あなた? 懺悔に追加ですね」

「また、増えるの? トホホ」

 ルーディックはアルノルトの肩で項垂れた。

 エーバーハルトが改まって言った。

「それより一つお話があります。ウチのルードルフが長くそちらに逗留させて頂いています事、誠にありがとうございます。ただ、もう一ヶ月が経とうとしていますし、いくら何でも長過ぎる。どうして帰って来ないのかをご存じでしょうか?」

「それは私より、ルーディックですわね」


 エリーザベトに言われたルーディックは答えた。


「ここで、本当のことを言っても宜しいですか?」

「ええ。もちろん」

「ルードルフは、不安がっています。ラウフェンブルク家はもうキーブルク家になるから、自分のいる場所では無くなってしまうと。そして、大人になっても領地が無いかもしれないと。それは、僕から伝えたからです。彼が継承したはずの領地は、後見人であるあなたによって既にハプスブルク王家に売られてしまっている事を」


 アンナが戦慄きつつ言った。


「な、な、なんという事を言うのです!」


 エリーザベトも小声で言った。


「……これも懺悔室ね」


 ルーディックは二人を見比べつつ言った。


「しかし、これは、事実ですよね?」

「肉親同士の争いになったら、どう責任を取るおつもり!」


 いきり立つアンナをエーバーハルトが落ち着かせつつ言った。


「まあまあ。いずれは知るべきだし、それは、不当な移動の部分もある。今内々に取り返すべく、訴えを起こしている所だ」

「そうですね。そうですとも」

 ルーディックは貴族らしく毅然と言った。

「それで戻るものでしょうか? ルードルフの本来の領のあるオプヴァルデンとシュウィーツには城も建ち、ハプスブルク家腹心の代理執政官が入っています。司法権さえ向こうに握られているのです。そうした詳細な状況を僕はルードルフに伝えました。それからは、ルードルフも一緒になって、日々取り寄せた関連文書の調査をしていたのです。始めはあなた達に不信を持って調べ直したのも事実ですが、事実を調べれば、一緒に多くの領を欺し取られていたのです。文書を見た今では叔父達には世話をかけたのがよくわかったし、育てて貰った恩があると、彼は言っていました」


 エーバーハルトは額に手を当て、しばし上を向いた。


「そうだったのか……。本来なら、これは私の口から言うべき事だ……すまない」

「そんな事もあって、彼は遺領を取り戻すにはどうすればいいかと、私に教えを請うて来るのです。でも、それこそ私や家臣より詳しい人がいる。あなたからも教えてあげて欲しいのです。それに、帝国執政官、ミュルナーさんに聞けば、何かいい知恵を教えてくれるかもしれません。彼にとってもミュルナーさんの授業は好機なのです」

「全く驚きだ。そこまで考えてくれていたとは。しかし、来たばかりでよくこんな内部事情まで判ったものだ」

「いえ。殆どは優秀な家臣に相談して、その受け売りを言っただけです」

「ブリューハントね……」


 エリーザベトが微笑を浮かべた。しかしそれは何かを含んでいて少し怖い。

 エーバーハルトは姿勢を正してルーディックに言った。


「そうか。ここまでして貰っては、心から礼を言わなければなるまい。ブリューハントさんにも」

「そんな。私もつい気になって、調べて貰っただけですから」

「ついては少し急だが、これからラッペルスヴィル城まで、私も同行させては貰えないだろうか」

「エーバーハルト卿も? まさかルードルフを連れ帰るという事ですか?」

「何、無理に連れ帰るわけではない。私の口からルードルフに事情を説明しておきたいし、ミュルナー卿の私学校の事もある」

「わかりました。我が馬車でお送りしましょう」

「帰りもあるのでこちらの馬車で行こう。早速準備をして来よう」


 エーバーハルトとアンナ、そしてハルトマンは退室して行った。ハルトマンの「僕も行きたい」と言う声が聞こえた。

 エリーザベトはルーディックを問い詰めるように言った。


「あなたって人は! 二人で勉強してると思ったら、隠れてそんな調査をしていたんですか……」

「勉強ではあるよ? ルードルフにとっては何より大事な、知りたい事だったんだ」

「あなたって人は……友人の為に調査をするその行動力は……正直私の期待の上を行きました。満点以上ですわ」

「じゃあ、お咎め無し?」


 エリーザベトは含みのある微笑で言った。


「悪い方向へ行くこともあり得たのです。その反省は必要ですね。帰ったら懺悔室へ」

「ハイ……」


 ルーディックはしゅんとしてしまった。


「大変だねえ」とアルノルトは笑った。

 イサベラがエリーザベトに改まって言った。


「私の事ではご心配されるような事はございません。つい寝てしまった所をご親切にして戴いたのですから、お責め下さいませんように」

「ええ。判っておりますよ。懺悔は大切な儀礼でもありますから」


 エリーザベトは晴れやかに笑った。始めから疑いを持っているのではなく、とりあえず懺悔させたいような雰囲気だ。

 イサベラは隣に座るクヌフウタに言った。


「ところで、クヌフウタさんの調子はもう大丈夫なんですか?」

「ええ。もう大丈夫ですよ。あの後、エックハルト先生からもご指導をいただきましたし」

「あまり見えなかったんですが、あの時、一体何があったんですか?」

「それは……言うことも憚られるような事です」

「言って下さい。ここにはいるのは信頼出来る方ばかりですから」


 クヌフウタは言葉に出来ないものを心に描きつつ言った。


「えも言われぬ幻視を、聖霊が見せてくれたんです。光に包まれて、イエス様がすぐ近くにいるような、でもそれは体にも感じて、全身が感動するような、そんな幻です。エックハルト先生も何かを感じられたようです」

「なんてこと……」


 イサベラは感激して涙を滲ませた。


「私には不思議と信じられます。泣いてしまうのも無理はありません……何て素晴らしい奇跡……」


 他の面々はそれを信じられないような、でもクヌフウタなら信じられるという思いで彼女を見詰めた。


「素晴らしいのは、導いて下さったエックハルト先生です。先生のご指導は、そんな幻視の向こうをも十分ご存知でお話しされていたのです。このような素晴らしい方にご指導頂けた事に感謝しなければなりません」


 クヌフウタは手を組んでそう言い、続けた。


「ただ、先生には異端の疑いを持たれないように、公言はしないよう言われました。皆様も妄りに他言しないようお願いします」

「それはもちろんです」


 イサベラが頷くと、ユッテも手を挙げて言った。


「私も他言しないとお約束しますわ。ただ、エックハルト先生のお話をするのは、いいんですよね?」

「ええ、もちろんです」

「私、家族にも教えてあげたいです。このような開明的な先生がいることを知らないんじゃ、世界の王家としては遅れを取ってしまいますもの」

「それは良いことだと思います。是非話してあげて下さい。私も会派は違えど、本国ではそうするつもりです」


 クヌフウタは満面の笑みで頷き、ふとアフラの方を見た。

 アフラはと言えば、何故か固く目を閉じて何かを念じている。


「アフラ? 何してるんだ?」


 アルノルトが声をかけると、皆アフラの行動に目が行った。


「ん? 私も聖霊見れないかなって試してたのに、邪魔しないで」


 アフラのその声に、令嬢達が小さく笑った。


「アフラったら」

「そんな簡単に見れたら誰も苦労しないよ?」

「想像はしてみたの。でも何か違う……」


 クヌフウタはアフラを諭して言った。


「無理に想像するなら嘘や言葉遊びと同じですよ。こちらは何も無くて、真っ直ぐな心だけで、向こうからやってくるのです」

「やってみます!」


 アフラは再び目を閉じた。


「やってみないでいいんだ。やったら嘘だって事だから」


 すかさずアルノルトがアフラの額をつつくようにそう言うと、アフラは口を尖らせた。


「えーっ。無理ーっ」


 一同はさらに大きく笑った。


 それから一同は昼食をご馳走になり、それが終わるとすぐ、ラッペルスヴィル城への出発の準備をした。

 馬車に乗る人の割り振りは来た時とほぼ一緒だが、新たに加わったアフラとマリウスはユッテの馬車に乗ることになった。

 玄関前のロータリーで馬車の準備を待っていると、エーバーハルトとハルトマンがやって来た。


「息子も是非行きたいと言うので、お加え願いたい」


 エーバーハルトがルーディックに言った。


「構いませんよ。ルードルフが喜びます」

「嫌な奴が来るのかー」


 マリウスがそう言うと、ハルトマンは走って来た。


「言うなと言ったろ!」

「逃げろ!」


 マリウスは人の背に逃げ回った。


「こら、マリウス。こんなお屋敷の子に喧嘩を売って騒ぎ回って。まるで田舎者の嫌な客だぞ」


 エルハルトがそう怒ると、マリウスはとたんに大人しくなって言った。


「ごめんなさい……」

「あのお坊ちゃんに謝るんだ」

「嫌な客でごめんなさい……」

「判ればいいんだ」


 ハルトマンはそれに溜飲を下げ、戻って行った。


 一行は馬車に乗り込み、馬車五台の車列となって出発した。

 道は丘陵地帯を縫っていく、なだらかな下り道だった。途中は森林地帯が多く、木の根のガタガタ道が多かった。

 三十分も走るとそこはラッペルスヴィルが過去領していた地域に入る。領としては最近売却していたが、関係はそう変わっていない。

 そして、さらに進むと白い服の騎士団員の姿が多く見られるようになった。鎧の上に白地に大きく赤い十字が刻まれた上衣を着ていてとても目を惹く。


「かっこいい騎士団がいるね」


 御者台のアルノルトがそれを目で追った。


「この辺は聖ヨハネス騎士団、通称ホスピタル騎士団の修道院の領なんだ。チューリヒ側へ曲がるとその修道院がある」


 何故かエルハルトの馬車にいるルーディックが言った。布団の椅子が気に入ったエリーザベトも後に座って乗っていた。木の根の多い道でお尻が痛くなり、乗り換えたのだ。


「あれがヨハネス騎士団か。あの騎士団の修道院か事務所があると、お金を遠くでも送れるとミュルナーさんが言ってた。病院もやるし、色々やってるもんだね」

「修道士でもあり、騎士でもあり、時に医者、時に行商人、両替商、配送人。何でもやってるね。この辺りからライン川にかけて、ヨハネス騎士団の修道院は多いよ。ドイツでも一番の大組織なんじゃないかな」

「送金の為にウーリにも呼びたいと思ったけど、やっぱり僕は騎士団には向いてないよ。そんなに色々出来ない」

「僕は元々は騎士団に入るつもりだったんだ。でも結婚したら入れないようだ」

「あれ? そうなんだ」

「一応修道士でもあるからね。妻帯は特別な人にしか許されていない。それにはメインスポンサーとして出費が凄いことになるし、多くの領地を提供するようだし、エリーザベトが許すはずもない」

「はい。許しません。そもそも十字軍なんて危険ですから行かせません」

「そうですか。もう諦めてます……」


 クヌフウタも首を振って言った。


「私もお勧めしませんね。ホスピタル騎士団の医者は元が十字軍の軍医ですから、十字に切って血を抜いたり、外科的に切り取ってしまう医療で荒っぽいのです。そもそもハーブの効能を迷信と言ってあまり認めていないのが私にはどうも合いません」


 アルノルトが意外そうに訊いた。


「評判よりも良く無いんだ」

「十字軍ではご活躍だそうですから全てがダメとは言いませんが、聖ラザロ騎士団の病院の方が人道的です。行き場所の無い癩病の人を引き取ってお世話しているそうですから」

「聖ラザロ騎士団ならウーリに修道院がありますよ」

「それは見てみたいですね!」


 エルハルトは御者台から言った。


「帰り際に寄って行きます? 俺も入るなら聖ラザロですから、見学したいんです」

「あれ? 兄貴は騎士団入るの? 結婚しないの?」

「ラザロはその辺りも厳しくないようだ。結婚する時に仮退団すればいいんだ。その後も非常勤の登録は生きてる。当然戦時は数が必要だからそういう人がかなり多いんだ」

「へー。僕もラザロなら入れるんだ」

「でも私有財産の半分は寄付で取られるからな。アルノルトはだめだな。跡を継ぐだろうから」

「え? 兄貴じゃなくて?」

「ああ……オレは継がないよ。あちこち遠くへ行ける方がいい」

「それはかなり初耳だよ?」

「ラッペルスヴィル家と仲のいいお前の方が向いてるさ。ルーディック卿もその方がいいでしょう?」

「それは……確かに! 一緒に頑張ろうアルノルト」

「まだ決まったわけじゃないよ!」


 アルノルトは慌ててそれを否定せざるを得ない。兄を差し置くことなんて考えられなかった。


「仮にそうだったらという話さ。もし仮に、僕も一緒にラザロに入るとしたら、一度離婚して、入団して、それから仮退団すればいいんだ……」


 エリーザベトとしてはこれは衝撃的な話だ。とても聞き逃せなかった。


「ルーディック! あなたは私と離婚してまで騎士団に行きたいというのですか!」

「仮にだよ? すぐ辞めてからすぐまた再婚して、元通りというプランなんだけどどう?」

「どう?って、冗談じゃありません! 結婚でお世話になった方に申し開きできませんし、財産半分が寄付されるなんて無理です」

「そうだよね……」

「それに、そんな簡単に離婚を口にして、私は傷付きました。これは懺悔に追加です」


 ルーディックは思わず頭を抱えた。


「うわー。また増えてしまったよ」


 アルノルトは「大変だねえ」と笑うより無い。

 エリーザベトは言った。


「そろそろ私達の馬車へ戻りましょうか。城の前できつい登り坂がありますし」

「それは軽い方がいいですね。では、アルノルトも乗せてやって下さい」

「僕も?」


 エルハルトは馬車を一旦停めた。先頭を走っていたので、後続の馬車も停まり、アフラが窓から顔を出して覗いている。

 ルーディックとアルノルトはすぐに馬車の後部から飛び降りた。

 しかし、エリーザベトはやはり飛び降りる事が出来ない。

 エルハルトは馬車の下で片膝を出して言った。


「ここに足を掛けて降りて下さい」

「よろしいのかしら?」

「ええ。どうぞ」


 エルハルトはそう言って手を差し伸べた。

 既に降りていたルーディックは、せめてもとその膝にハンカチを置いた。

 エリーザベトはエルハルトとルーディックの手を取りつつ、その膝に足を置いた。


「おうっ」

「平気かしら?」


 靴のかかとが尖っていて少し痛かったが、エルハルトは耐えた。

 エリーザベトは急ぎ地面に降り立った。


「ありがとう。重かったでしょう?」


 エルハルトは膝のハンカチを払ってルーディックに返しつつ笑った。


「いいえ。これくらいはいい重みです」


 それはかなり無理をした笑いだったと言っていい。

 馬車を乗り換え、しばらく進めばラッペルスヴィルの城壁が見えた。一つ高い丘の上には、さらに高く聳える城塔と、修道院の二つの塔が並んで建っている。

 馬車は町を囲う城壁内に入り、高い家の並ぶ町並みを抜け、大きな修道院へ続く坂を登ってその丘を登った。

 その向こうには聳え立つ城塔が見え、高い城壁が遮っている。その閉ざされた城門は、ラッペルスヴィル家の馬車が来た瞬間に開かれた。

 城の敷地に入った所には見上げる程高い城砦と塔が聳え、それを通り過ぎた所にある広場で馬車を停めた。

 エルハルトはいち早く馬車から降りて、さっきの要領で片膝になり、クヌフウタとペルシタを降ろしてあげた。


「大きいお城!」


 馬車から降りて来たアフラは、聳え立つラッペルスヴィル城の塔の大きさにはしゃいだ。


「大きいね」


 マリウスも城を見あげてそう言った。


「良い眺めねー」

「湖がキレイ」


 イサベラとユッテ、そしてその従者達も続々と馬車を降りて、周囲を見回した。

 岬のように突き出ている丘の上は周囲三方をエメラルド色の湖で囲まれている。しかしそこでは植えられた菩提樹や建物があり、それは部分的に見えるのみだった。

 ルーディックとアルノルトも馬車から降りて来て、連れ立って湖のよく見える岬の方へと走った。


「あっちだ」


 それは城とは逆方面だ。岬の突端まで来て、ルーディックは言った。


「すぐ戻らないと怒られるかな。でも絶景ポイントなんだ」


 アルノルトは叫んだ。


「おお! これは絶景だ!」


 そこに広がるチューリヒ湖は壮観だった。澄んだ蒼碧の湖は視界を包み込むように広がり、陽光をキラキラと乱反射させている。その対岸には架け橋のように細く続く半島と、そこに掛かる浮き橋も見え、直下の階段を降りれば小さな船着き場もある。


「姫君達もこっちに来るようだ。どうぞこちらへ!」


 ルーディックが手を挙げると、ユッテとイサベラもやって来てその景色を見た。


「キレーイ!」

「ここからだと湖はこんなに綺麗なんですね」


 続いてアフラとマリウスもこちらへやって来て、その景色を見た。


「感動です!」


 アフラは涙を滲ませるほど、その風景に感動した。

 一方、城からはブリューハントとリーゼロッテが馬車を迎えに出て来た。


「お帰りなさいませ。昨夜はどちらに?」


 心配そうに見ている二人にエリーザベトは言った。


「一日延びてしまって心配を掛けました。夜遅くなってしまってヴィンテルトゥールに……ルーディック、そして王女様方はキーブルク城に泊めていただきました。それでラウフェンブルク伯もご一緒に来ています」


 向こうにはエーバーハルトとハルトマンが馬車から降りて来るのが見えた。


「ようこそおいで下さいました」


 ブリューハントは胸に手を当てて礼を取り、エーバーハルトを迎えた。


「こんにちは。甥のルードルフが大変お世話になっておりますようで」


 エーバーハルトがそう言うと、ブリューハントは後ろめたくなり、少し顔を青くした。


「いえ……お元気でいらっしゃいます」

「風邪と聞いておりますよ? 家のことをいろいろ調べておいでだとか」


 ブリューハントはますます顔を青くした。


「それは! 大変差し出がましい事を致しまして……謝罪致します」

「いえいえ、それには及びません。我が甥のためにやって下さったこと、それは有難く受け取り、礼を言わせていただきたい」

「勿体なきお言葉!」

「エーバーハルト卿が寛大なお方で良かったですね。アンナ様はまた少し違ってましてよ?」


 エリーザベトは微笑しているが、それは少し怖い方のだ。


「いやあ、ご婦人の気持ちには疎くて、私には判りかねます」


 ブリューハントが頭を撫でつつ言うと、エリーザベトが言った。


「そうやって誤魔化しても、アンナ様はもうみんな知っておいでです。知りませんよ?」


 エーバーハルトは大きく笑って言った。


「妻は私にも今でさえほとんど予想が付かない。女性とは男にとっていつまでも謎です」

「ミステリー、それはロマンですな」


 二人は大いに笑い合った。


「高貴な方をお待たせしてはいけません。皆さんを貴賓室へ案内して下さい」


 エリーザベトはリーゼロッテにそう言った。リーゼロッテは遠くを見て言った。


「心得ております。しかし皆さん、あんな遠くにいらっしゃいますね」


 リーゼロッテの視線を追うと、広場から遥か遠い一番突端の所に皆が集まっている。


「まあ。しょうがない人。では先に行ってて下さいませ」


 エリーザベトは自身でそこへ歩いて行き、ルーディック達を呼びに行った。


「皆さんお集まりでどうしましたの?」


 イサベラが振り返って言った。


「エリーザベト様! ここは最高に美しいです」


 ユッテは大はしゃぎで言った。


「湖があまりに綺麗で、私のお城よりも素敵!」

「お褒めをいただき、ありがとうございます」

「私、感動して泣いてしまいました」


 アフラの目には涙の跡さえある。エリーザベトは生まれた時から過ごして来た場所なので、綺麗と思う気持ちはさほど無くなっていた。アフラの目を通すように改めてこの風景を見ると、新たな感動が蘇る気がした。


「若い人の新鮮な目は大事ですね。私も改めて綺麗だと思いますわ」


 エリーザベトはアフラくらいの子供の頃はこの場所が好きで、よく家族と過ごした事を思い出した。


「よくここで湖を見ながら船を待ち、この道の下の船着き場まで父や弟を迎えに行ったものです」

「この道ですね」


 ユッテは階段脇からその道へと降りて行くが、今では使われない道は草で埋まり、崖で寸断されていた。

 草深い坂の向こうは見渡すばかりの湖が続いている。

 アフラもユッテを追って道を駆け下りて行った。


「行き止まりみたい。でも、ここからもキレイよ」

「湖まで行ってみたいです」


 エリーザベトとイサベラもゆっくりとその後を追った。


「昔は坂が緩やかで道があったのです。もう行けないようになっているので、足下に気を付けて下さいませね」


 エリーザベトは少女の頃、船着き場に船が帰ってくると、この崖道を駆け下りて行き、上がって来た父と弟は捕ってきた魚を自慢気に見せてくれた。

 一度は途中で転んで怪我をして、父に負ぶわれて帰り、それからは階段が作られた。

 ある時は不審な船が来て、暴徒が上がり込んで来て、それを騎士達に知らせ、父や騎士に護られつつ城まで逃げた事もあった。その後には崖が上れないくらいに急になり、防壁が作られた。父はその時の怪我で長く伏せった。

 走馬燈のようにそんな記憶が思い出され、思えば沢山の想い出の中に、この蒼い湖はいつも隣にあった。しかし、そこにいた家族はもう誰もこの世にはいない。

 湖を見ながら、いつしかエリーザベトは涙ぐんでいた。隣のイサベラがそれに気付いた。


「どうされました……」

「大丈夫です。少し家族を思い出して……自分の家でホームシックなんて変ですね……」


 そう言うと、また涙は零れて来た。弟を亡くしてまだ半年ほど、父母を亡くしたのもこの二年の間のこと、無理も無かった。


「エリーザベト様……」


 イサベラがその手を取って握ると、掛け寄って戻って来たユッテとアフラもその手を重ねた。


「ありがとう御座います。湿っぽくなってはいけませんわね。では、城内へ参りましょうか」


 エリーザベトは一同を城の貴賓室まで案内した。貴賓室とは言え、部屋は修道院の執務室のように質素だった。城の内装もまるで華美な装飾が少なく、絵画や美術品が多く置いてあるくらいだ。先に案内されていたエーバーハルトやクヌフウタ達、そしてエルハルトは、既にそこにあるソファーで寛いで歓談していた。


「これで皆様揃いましたね。こちらでしばらくお寛ぎ下さい。そろそろおやつの時間ですから、甘い物をご用意致しましょう」


 エリーザベトはそう行って部屋を辞した。

 令嬢達はソファーに座り、旅の疲れを休めた。


「甘い物……タルトだといいですね」


 アフラがそう言うと、ユッテは笑った。


「アフラはもうタルト大好物ね。私もだけど」

「やっとタルト食べれる? ワーイ」


 マリウスがそれを聞いて大喜びだ。

 しかし、そのおやつはなかなか届かなかった。

 ルーディックが心配になって来たのか、「様子を見て、ルードルフを呼んで来よう」と言って、席を立った。

 アルノルトも気になって、少し後に席を立った。扉を出ると、もう既にルーディックの姿がなかった。しかし、階段の方で声がして、足音が聞こえたのでそれを追った。

 階段ではリーゼロッテとすれ違ったので、「ルーディックはこっちに?」と聞いた。


「ええ」とリーゼロッテが頷いた。

 ルーディックの足音は螺旋状の階段を延々と上がって行く。部屋は塔のかなり高い所にあるようだ。ルーディックが階段を上り終える頃には、アルノルトはヘトヘトになっていた。窓からは見晴らしよく蒼い湖が見えていた。

 ルーディックはある部屋でノックをした。


「エリーザベト、入るよ」


 ルーディックがドアを開けると、エリーザベトは執務机に顔を埋めるようしていた。そして涙を拭うようにして顔を上げた。


「泣いてたの?」

「あなたには離婚と言われ、ショックのせいですわ」

「ごまかしてもわかるよ。まだ、こうして思い出して泣いてたんだね。一人で隠れて泣かないでほしいな」

「ごめんなさい。さっきはあまりに多くの事を思い出して」

「いや、気付いてあげられなくてゴメン。悲しいのなら、僕に言ってよ。少しは軽くなるよう努めるよ」

「あなたったら……早く大きくなって。早く大人になって、そう言う甘いセリフを囁いて欲しいわ」


 エリーザベトは艶やかな笑顔になって、ルーディックを見詰めた。

 そこでドアをノックする音がした。

 ルーディックがドアを開けると、アルノルトがそこにいた。


「アルノルト。どうしてここに?」

「足音を追って来た。ここは広い上に高いね」

「アルノルトさん? どうしました?」

「いやその、妹達が甘い物を待ち兼ねていたので、様子を見に……」

「いけない。まだ言ってなかったですわ」


 ルーディックが言った。


「大丈夫。さっき通りがかりにリーゼロッテに言って来たよ」

「ああ、ありがとう」

「じゃあ次はルードルフだね。行こうアルノルト」


 アルノルトはルーディックに連れられ、幾つか下の階へ行った。

 ルードルフは充てがわれた部屋で本を読んでいた。


「お帰り。やあ、お客様がいるね」

「ウーリのアルノルトです。少し前にはどうも」


 後からアルノルトが挨拶をすると、ルーディックが言った。


「急なんだがルードルフ、エーバーハルト卿が来てる」

「え? 叔父上が? それは急過ぎる!」

「実は、ここで色々調べている事をもう全部話してしまった」

「うう。さては裏切ったのかい?」

「キーブルク城へ寄って泊めてもらったんだ。どうして帰って来ないのかと聞かれたから、いい機会だし話してしまったよ。まだいけなかったかい?」

「まだ会いたくない……。まだ心の整理が付かないよ。悪いことを言ってしまいそうだ」

「率直に言ってもいいんじゃないかな。そんなに簡単に壊れる関係なのかい? エーバーハルト卿はしっかり自分の口から話したいと言ってここまで来たんだよ。直接本当の事を聞けばいいんだ」

「わかった。今行くよ」


 ルードルフは立ち上がり、ルーディックと一緒に部屋を出た。そして、皆が集まる貴賓室へ来て、ルードルフは恐る恐る入って行った。


「ルードルフ。しばらく見ないうちに大人びたな」


 エーバーハルトがすぐに声をかけて来た。


「叔父上、長らく留守にしてご免なさい。調べ物をしてました。家の事を……」

「言わずとも判っている。ルーディック卿からすべて聞いた」

「不信に思ってしまった事も?」

「それはまあ……当然だろうな」


 ルードルフは目を強張らせ、首を振って言った。


「おかしいよ! 証書を見れば叔父上は王へ願い出て領を譲った事になってる。叔父上に不信を持たざるを得ないじゃないか!」

「ああ。それはもちろん理解出来る。後見の権利を濫用して、領地を売ってしまったのはこの私だ。それを言う事も今まで避けて来た」

「でも、どうして! どうしてそんな……不利益しかないような事を?」

「そうだな。何から話そう。私は身に覚えの無い借金を理由に裁判に引き出された。そこで王へ領地を売る約束をさせられた。頷けば即、譲渡の承認、反駁をすれば即、反逆の証となるような、そんな衆目の条件下でな」

「親族の譲渡なのに、なぜ裁判の証書が残るのかと思ったら! そんな事が……」

「長兄を——そなたの父を亡くし、当時のラウフェンブルク家は大きく揺らいでいたんだ。その全てを一人で背負った時、私もまだ若かった。何の力も無く、叔父を信じていた。アンナと結婚させてくれたからな。しかし叔父がキーブルク家の後継を名乗った為に争ったサヴォイア家との戦争の費用を、アンナはいつの間にか借金にして背負わされていた。そして結婚した私もまたその代償に領を奪われたんだ。王には結婚斡旋の手数料とも言われたな。法外過ぎる手数料だ。そこにその王の娘がいるが、これは王家であってこそ、聞くべきだろう」


 ユッテは事の真相はまだよく判らなかった。しかし、その辛そうな表情は分かり、自ずと頷いていた。


「親戚間でそんな酷いことはしないだろうと思っていたが、王は後見役の顔をして好き勝手に借金に当て込み、私と結婚させて容赦なく領地を奪い取ったんだ。まるで老獪な強者が無知な若者に結婚という甘い罠をかけて、全力で領地を奪い取るようだった。アンナにはあまり聞かせられないが、な。実際アンナも多くの領を取られているんだ」

「叔父上……そんな事だったなんて……本当に我が領はもう無いのですね」


 ルードルフは床に座り込み、地を掻いた。


「これらの領地は今、キーブルク再興に当たって、返却を申し出ている所だ」

「でも、それは戻るものでは無いのでしょう?」

「うむ…‥正直戻るかどうかは、一部が返るくらいだろう。しかし、これがダメでも、領は無いわけではない」

「本当ですか?」

「ああ。ラウフェンブルクがあるだろう」

「そこは叔父上の、ラウフェンブルク家の本領地では無いですか!」

「そこは司教の兄と共同で持っていて無事だった。元々お前の父譲りの領だ。我々は新生キーブルク家になるし、お前にこそ相応しいだろう。これは兄とも既に合意の事だ。ラウフェンブルク伯はお前が継ぐんだ」

「叔父上! 何と申して良いか……。ご無礼をお許し下さい!」


 ルーディックはエーバーハルトの手に縋り付いた。


「それはいい。だが、私を誰だと思っている。もう親と思うがいいと言ったはずだぞ。成人して叔父だと明かしてからは他人行儀過ぎる」

「ありがとう。叔父上、いえ、お父様……」

「それでいい。育ての父だということはもう変わらぬ」


 エーバーハルトは笑って続けた。


「思い悩むなら私に聞けばいいのだ。それと、その裁判関連の事では、ルーディック卿が良い先生を見付けてくれたようだ。学んでみるか?」

「ルーディックが?」


 ルーディックが口を開いた。


「チューリヒで帝国執政官をしているヤコプ・ミュルナーという方から、私学校に来ないかと言われているんだ。かなりやり手の裁判官でもある。一緒に来るかい?」

「ルーディック、行くに決まっている! 勉強して、僕はいつか領地を取り戻してやる。お父様の分も!」


 エーバーハルトは大きく笑った。


「それは頼もしいな。待ち遠しい事だ。では決まったな」

「ええ。一緒に学ぼうルードルフ」

「ああ」


 頷くルードルフの手を取り、ルーディックは引き上げるようにルードルフを立たせた。その手を握り合いつつ、ルーディックはアルノルトを振り返った。


「そこのアルノルトはね。王子を相手に裁判に勝ってきた所だ」

「本当に?」


 ルードルフが掛け寄って来たので、アルノルトは頭を掻いた。


「ああ。まあ、示談で壺の弁償金が戻ったくらいだったんだけど」


 ルーディックは首を振った。


「勝った事には変わりないさ。際どい場面もあったけど、こうして勝てるっていう証人でもあるね」

「本当なんだ! すごい! すごいよ!」


 ルードルフはアルノルトの手を取って激しく振った。アルノルトは気圧されつつ言った。


「ああ、これもミュルナーさんのお陰なんだよ。これから習う先生が素晴らしい人であることは僕が保障する」

「それならば、期待していいね」

「あとは、アルノルトだね」

「僕?」

「一緒にチューリヒで勉強出来るといいね。いい返事を待ってるよ」

「判った。父に相談してみるよ」


 アルノルトはルーディックに強く頷いた。

 アフラがその言葉端を聞き留めて言った。


「兄さん?」

「なんだいアフラ?」

「チューリヒで勉強するの?」

「ああ、父さんから許可が出ればな」

「ずるい! 私も勉強したいのに」

「父さんに許可貰えばいいじゃないか」

「えーっ。許可出ると思う?」

「……ダメかも」

「そんなーッ。どうしていつも兄さんだけ?」

「僕も出ないかもしれないじゃないか。まあ帰ったら一緒に説得しよう」

「一緒に?」

「ああ。逗留の費用がかかるって言うんなら、僕がまたホテルで働けばそれくらいは稼げる」

「兄さん! 大好き!」

「僕も大好きだよ」


 そう言われてアフラは思わず赤くなり、令嬢達は口を隠すように驚き、互いに顔を見合わせた。

 それを見てルーディックは言った。


「これは突然の愛の告白を聞いてしまったよ」

「いや、これはそういうんじゃなく、兄妹で普通の掛け合いだよ」

「普通と言うには、かなり献身的じゃないか?」

「大事な妹なのは変わらないし、普通さ」

「そうか。でも妹さんはそうでもないようだよ?」


 アフラは顔が真っ赤になっていた。


「恥ずかしいから、そう言うのは、公衆の面前では言わないの」

「そう? 誰も気にしないと思うよ?」


 そう思って見回せば、ユッテもイサベラも手を口に当てたまま縋るような目でこっちを見ていた。何故か大いに気にしている。

 聞こえないような声で「シスコンね」と言われているとは気が付かなかった。

 ルードルフが言った。


「それより、アルノルト。その裁判で勝った話を聞かせて」

「ああ、いいよ」


 アルノルトはルードルフに壷を割ったところから、順を追って話を聞かせた。

 途中から話にユッテが参加して来て、話の大半をユッテがしてしまった。



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