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聖母聖堂


 霧深い湖畔の道をずっと進んで行くと、湖の北端に城壁が広がっているのが見えた。チューリヒ市街は高い城塔付きの城壁に囲まれた中にある、謂わば都市国家だ。

 乗ってきた馬車はチューリヒ市街の修道院前広場に隣接する駅舎に止まった。

 一行は馬車を降り、荷物を引き出して下ろしてから、ソフィアの着替えを待った。アルノルトが色違いのショースをごねて到着する間際まで穿かず、加えて両足の脛には細布を巻いたので、降りる時間が遅くなり、ソフィアの着替えも少し時間が遅れている。

 聖母聖堂の横にある広場は辻馬車の乗り場にもなっていて、かなりの人の往来があり、露天商も並んでいる。


「アルノルト、これを被れ」


 ブルクハルトは大きな白い羽根の付いた黒い帽子をアルノルトに被せた。赤く豪華絢爛な服装と合い、その格好はかなり良家の子息に見える。

 アフラはそれを見て頭から足の先までを見渡している。


「いいなあ、アル兄。かなり立派よ?」


「格好悪くないかい?」


 アルノルトはまだ足の色違いを気にしている。


「格好いいってば。大丈夫」


「雪の女王も羽帽子があったんじゃなかった?」


 ブルクハルトは荷物の山を指して言った。


「帽子は置いて来た。嵩張って邪魔だろう」


「じゃあ僕のこれは?」


「今、そこで買ったんだ。新郎の友人と来たら幾らかは立派でないとな」


 通りには幾人かの露天商が並んでいて、そこで帽子が売られていた。


「アル兄にもいい靴があると良かったのにね」


 アフラが店を覗きながら言ったが、靴は無かった。アルノルトは履き古した羊革の靴の片足を上げながら言った。


「僕はまあこれでいいよ」


 そう言っていると、急に短く鐘が鳴り、馬車が走り出した。


「キャーッ」とソフィアの声がする。


「あ! 待って! まだ中にいる!」


「止めて!」


 慌てて追い掛けたアフラとアルノルトが馬車を止め、ソフィアを馬車から連れ出した。


「連れて行かれるかと思ったあ」


 出て来たソフィアの雪の女王姿は少し様子が変だった。サイズが少し小さかったのか、胸とお腹の線が張り詰めていて、二の腕あたりもふっくらしていて田舎っぽさが丸出しなのだ。

 ソフィアは十五歳だから各所サイズが合わないのは当然だったが、体に健康的な丸みがあるようだ。細身で小さなアフラの場合なかなか似合ってはいるが、逆に布がダブついて余っている感じだ。


「ソフィアも似合ってる。ねえ」


 アフラはそう言うが、アルノルトはお前の方が似合ってるよと心の中で妹贔屓をした。

 そういう視線はソフィアにも伝わったのか、「何も言うんじゃ無い」と少し不機嫌だった。

 会場となる修道院はもう目の前にある。フラウミュンスターとも呼ばれるこの修道院は、フラウは聖母を意味し、ミュンスターは修道院なので、意味は聖母聖堂というだけの呼称だ。

 ルーディックとエリーザベトの結婚は、書類上は時を遡り、今年初めの面目で入籍を済ませており、遅ればせながらという体で結婚の宣誓式を聖母聖堂で行ない、その後移動してラッペルスヴィル家の建てた教会で、竣工祝いを兼ねつつ結婚披露パーティーをする事になっている。

 修道院前の広場では受付コーナーが設けられ、既に集まって来た人々が多くいて談笑していた。


「やあ、間に合ったようだね」


 受付にいたシュタウファッハはブルクハルトを見つけて朗らかな笑顔を見せ、大げさに手を広げ声を掛けて来た。


「ああ、ギリギリようやく辿り着いたよ」


「仲人がみっともなく遅れてくるなんて事にならなくて良かった。準備は諸事万端、私がやっておきましたよ」


 それにブルクハルト、アッティングハウゼン、ヴァルターは渋い顔をした。


「そりゃあ意地でも間に合わせるさ」


「委任もなんとか取れましたからな」


「イヤミでさあな」


 シュタウファッハは笑顔を崩さず言った。


「ご挨拶だなあ。首尾良くいったようでこれでも心から喜んでいるんだ。そちらはお子さんかな?」


「ルーディック卿の友人枠だ。我が息子と娘、この子は近所の子だ」


「ソフィアです。よろしくどうぞ」


「アフラです」


 二人は並んでスカートを広げて礼を取った。


「こちらこそよろしく。素敵なお揃いのドレスだ。これはいい! 女の子二人でこれから少しお手伝いをしてくれないか。これからの行進の介添えだ。新婦のロングベールを持って後を歩いて欲しいんだ」


 アフラとソフィアは互いに顔を見合わせて様子を伺い、


「どうしましょう?」


「どうする?」


 と、何度も言い合っているとシュタウファッハが続けて言った。


「嫌なら無理強いはしないんだが、新婦のエリーザベト様は既にご親族を亡くされていてね。始めのエスコート役にも困っているんだ。これは名誉な事だよ」


「是非やらせてください!」


 とんとん拍子で事が決まり、アフラとソフィアの二人と、そしてついでにマリウスが手伝う事が決まり、ブルクハルト、アッティングハウゼンも、関係者としてシュタウファッハの案内で控の間へ連れて行かれた。


「シュタウファッハ殿は人を巻き込むのが上手過ぎる」


 残されたヴァルターは軽い嘆息を漏らしながら修道院の門へ入って行き、アルノルトも「確かに」と同意しつつ後に続いた。

 修道院の回廊を進み、高い天井の礼拝堂へと入って行く。

 高い窓とステンドグラスから美しい光が零れ、柱に様々な聖者達の装飾の入った礼拝堂の中では、祭壇の両側に修道士と聖歌隊が並んで待ち構えていた。

 右の方には貴賓席があり、豪華な装飾の入った帽子を被った修道女がいる。その妙齢の丸っこい印象の修道女は聖母聖堂のエリーザベト・フォン・ヴェツィコン修道院長その人だった。エリーザベト・フォン・ラッペルスヴィル女伯とは同名で間違えられ易いのだが、こちらは修道院を領主とするチューリヒの最高権利者だ。チューリヒでは聖母聖堂の修道院長が市長を任免する権利を持ち、ウーリを始め、シュウィーツやツーク、周辺国にも広大な領地をその権利下にしていた。

 礼拝堂に並ぶ席には関係者だけなのか、そう多く無い参加者が静かに席に座って待っている。

 壁沿いは木製の飾り机の付いたボックス席になっていて、そこには修道院服の関係者が多い。

 その中に若草色のベールを飾り紐で巻き上げた緑の尖閣帽を着けた、異国の貴婦人の姿が目に入った。その顔はベールで半ばが隠れていて、そこから覗く風貌は一部しか見えなかった。

 アルノルトが空いた席を探しながら、その異国の帽子の貴婦人を珍しく見ていると、その若草色の服には見覚えがあるような気がした。

 ふと、その顔を上げて振り向いて、目が合ったその人は、イサベラだった。イサベラは豪華な若草色のドレスに身を包み、挨拶するように小さく首を傾げて微笑んでいる。隣にはピンク色のベールを被ったユッテ、数席離れた所にはラウフェンブルク夫妻と息子達もいた。アルノルトは頭を抱えた。


「アルノルトどうした、早く奥へ詰めろ」


「う、うん」


 アルノルトは見なかった事にするように顔を背けて席に着き、そこにウーリの二人は並んで座った。

 全員が揃って席に座り、しばらくすると、聖歌隊が静かに歌い始めた。

 天使の到来のような美しい声が響く。歌う修道女のベールから覗く顔を見れば、それはクヌフウタだった。

 透き通るように高く細い声は礼拝堂の高い天井まで響く。クヌフウタの高く昇る声を包み込むように混声コーラスが美しいハーモニーを奏でる。

 そんな歌声が響く中、金色の髪を後に固めたルーディックと白く長いウエディングベールを纏ったエリーザベトが入り口に立ち、ゆっくりゆっくりと中央通路を歩いて来た。腕を組んで並んだ背丈は高い靴も手伝ってエリーザベトの方が頭一つ高く、やはり年はそぐわない感が拭えない。それでもルーディックは背筋を伸ばし、真っ直ぐ前を見て、腕を組んだエリーザベトを引っ張るように歩く姿は立派だ。

 エリーザベトの白いウエディングドレスはそれほど豪華では無い質素なものだ。ただ羽織ったケープは幾重にもドレープがあり、少しの豪華さを添えている。そして頭に付けたロングベールは床に長く引き摺るくらいあり、それを引き摺らないようにアフラとソフィアがニコニコ顔で持ちながら続いて歩いて来る。お揃いの白と銀のフワフワしたレースの衣裳は誂えたように雰囲気に合っていた。

 二人の間を一歩下がって歩くマリウスの緑の衣裳はまるでキューピットのようだ。マリウスは花片の入った籠を手に持っていて、時々それを空高く撒いて歩いた。アフラも時々その花片を取って撒いている。これは春の乙女の再現のようで微笑ましい。

 小さく拍手や囁きが起こるが、聖歌の美しく静かな調べがそれをすぐに掻き消す。


「あんなにも若々しい婿なんて」


「ねえ。若いわ」


 話し声に混じるのはルーディックの年若さについて揶揄する声だ。若くして聖母聖堂の守護権を采配し、チューリヒでも地位の高いエリーザベトの婿であれば、その家長となる責任が重いのも当然で、その関係者の厳しい目に晒されていた。

 行進の後からはブルクハルトやシュタウファッハ、アッティングハウゼンも入って来て、さりげなく空いた席に座った。

 少し階段を上った丸い祭壇前にはいつの間にか神父が待ち受けており、そこへ二人が辿り着くと、神父が聖書の一節を読み、夫婦の宣誓が始まる。


「誓います」と上ずった声で言うルーディックは、アルノルトと同じ十五歳、どうしてもアルノルトには結婚する年とは思えなかった。

 そして互いに指輪交換がされ、ルーディックはベールを持ち上げて腰を屈めたエリーザベトの額にキスをした。

 宣誓式が終わるとその場で式は自由解散となる。新郎新婦が祭壇前から降りてくると、参加者が思い思いにエリーザベトに挨拶にやって来た。ルーディックは知らない人ばかりだったようで、来る人を見上げては小さく挨拶をするのみだった。アフラとソフィアはベールを少し巻き上げて、エリーザベトが躓かないように後を付いて歩いている。

 そんな中、ルーディックはアルノルトを見つけ、意外なものを見たように笑った。


「アルノルト! いい衣裳じゃないか」


 一気に注目が集まったアルノルトはその衣裳を恥じ、小さく手を振ってから短く言った。


「おめでとう」


「ありがとう」


 微笑んだルーディックは遠くから大仰な礼をして、先を歩いて行くエリーザベトを追いかけた。

 祭壇の右端のエリーザベト修道院長の前で深く礼を取り、エリーザベトは挨拶をした。


「この度は婚儀にご助力を賜りまして、深く感謝を申し上げます」


「こちらこそお二人にはありがたい事です。修道院の守護権がこれで落ち着きます。お二人ともこれからですもの。期待しています」


 座ったままの修道院長はエリーザベトの腕に触れてそう言うと、エリーザベトは腰を低くし、その手に両手を添えて言った。


「ありがとう存じます」


 ルーディックは恭しく跪き、修道院長に挨拶をした。


「若輩者ですが、ご指導、お引き立て願えますよう」


「まあ、立派なご挨拶だこと。行く末が楽しみね」


 そこへ席を立って待っていたイサベラとユッテが近付いた。

 それを見つけて顔を輝かせたルーディックは、駆け寄って片膝を付いてさらに恭しい挨拶をする。


「これは我が姫! ようこそおいで下さいました」


「ご成婚、誠におめでとうございます」


 イサベラが折り目正しくお祝いを述べると、ユッテは少しだけ怒ったようにそれに続いた。


「おめでとう。ルーディックは遠い親戚にもなるのだけど、私への挨拶は無いようね」


「おお、姫、本日もご機嫌麗しゅう」


 ルーディックは間を置かずユッテの前にも立て膝で座り直し、挨拶をする。

 座ってそれを見ていた修道院長が目を剥いてエリーザベトに顔を近付けた。


「この子ったら、遊興に長けた殿方になりそうかしらね」


 エリーザベトは苦笑いで「はあ」と溜息顔だ。

 ルーディックは流石にしくじったと思ったのか、すぐに立ち上がった。

 ユッテも少し苦笑いで言う。


「あまり麗しくは無いのだけど、こんな席だしお祝いしたいと思うわ。この後はどうするの?」


 そうユッテが聞いて来るのも当然で、次のパーティー会場となる場所は少し離れている。招待状に地図はあったのだがここは王族、ルーディックは丁重に答えた。


「これに地図がありますが、少し離れたラッペルスヴィル家の建てたばかりの教会でパーティーを行います。馬車でお越しでしょうか?」


「ええ。歩いては行けないのね?」


「歩くには少々遠いかと。何なら私の馬車で先導しましょうか?」


「そうしてくれると助かるわ」


 それを遠目にして聞いていた人々も頷いて出口へ動き出した。きっと馬車の行列が出来ることだろう。


「アフラさんが介添え役だなんて、驚いたわ。そちらのお嬢様は?」


 イサベラがエリーザベトの後のアフラとソフィアに話しかけた。ソフィアはお嬢様だなんてとひどく恥ずかしがった。


「友達のソフィアです。招待枠ギリギリ使って潜り込んだんですよ」


 ユッテもその衣裳を見て目を輝かせた。


「まあ。あの時の衣裳ね。似合うこと」


「村ではいいお洋服がこれくらいしかなかったみたいで……」


「私より似合ってるわ!」


 アフラは少し顔を赤くして言った。


「そんなぁ。ユッテさんの方がお姫様みたいですから」


 ユッテは目を丸くした。姉は全員嫁いでいるので、現在王宮でお姫様と言えばユッテだけだ。


「お姫様……」


 ユッテは自分を指差して、イサベラを見た。

 イサベラは吹き出しそうな笑いを堪えてユッテの肩に触れる。


「褒め言葉だと思って」


「そうね」


 祭壇中央の円卓前では、エリーザベトがホーンベルク家の親族と話していた。


「アーデル様、フリードリヒ様、この度はご尽力頂きまして誠にありがとうございます」


 初老のアーデル女伯は何度も頷いて言った。


「ルーディックはきっとこの為に生まれて来たのかも知れません。あなたとはとても運命を感じますね。猶子であっても我が子。後継ぎの無い我がホーンベルクの家名を継ぎ、あなたの家も継ぐ。不思議な巡り合わせです」


 隣にいた長男のフリードリヒには子が無く、親戚から猶子という形で引き取った次男のベルナーは十九歳で一人の子を残して早世してしまい、さらに後継ぎとしてルーディックが猶子とされていた。ついでに言えばルーディックの実母はホーエンシュタウフェン、つまりユッテの生母の家との繋がりがあった。


「ルーディックは今はまだ若過ぎますが、成長すれば我が期待の後継者です。ご負担をお掛けするかもしれませんが、宜しくお願いします」


 そう言って握手を求めてきた長男のフリードリヒは現在のホーンベルク当主であり、年は三十半ばだろう。ルーディックとは親子ほど年が離れている。


「こちらこそ。私も成長を期待して楽しみにしているのです。これからは義兄義妹として宜しく願います」


 エリーザベトは恭しくフリードリヒと握手をした。


「ルーディックなら血統では次代の皇帝だって狙えるかも知れない……と、私はそれくらい期待しているのですよ」


「まあ!」


 その後、エリーザベトはラウフェンブルク家に挨拶をし、その後にはシュタウファッハ率いるシュウィーツ一団、そしてウーリのアーマン達もそこへやって来てエリーザベトにお祝いを述べた。エリーザベトはそれぞれに丁寧に受け答えをして、話は長くなって行った。しかしルーディックは大人の会話に入れず、隣で頷いているのみだった。


「そろそろうちの妹達を返してくれよ」


 その隙間からアルノルトはルーディックにそう声を掛けた。ルーディックはようやく話し相手を見つけたように笑った。


「ああ君の妹さん? 助かったよ。とても綺麗だったし」


 それを聞いて笑顔でエリーザベトが振り返る。


「そうね。可愛かったわ。そろそろこれは外しましょうか。お二人ともありがとう」


 エリーザベトは頭に付けたウエディングベールを外した。

 ソフィアは微笑みつつ、長いベールを受け取りながら器用にアフラと皺にならないように畳み直した。


「控の間までお持ちします」


 朗らかなソフィアの声にエリーザベトが礼をするように小さく頷き笑みを返す。

 ルーディックがエスコートしながらエリーザベトが退場して行くと、本格的に皆が解散を始めた。ソフィアはエリーザベトの後を追って歩いて行った。


「誰かと思ったらお兄さん?」


 ユッテがアルノルトを見て言った。


「お兄さんは上にもう一人いるんだ。アルノルトと呼んでくれよ」


 アルノルトがそう言うと、ラウフェンブルク夫妻の周辺の貴族達は驚いたようにそれを見た。王女に対するものでは無い口調のためだったが、今日はベールを被っているのでそれを知るのは高位の貴族のみのようだ。

 アルノルトとユッテはそんな事は気にしないで話しをしていた。

 ユッテは改めて宜しくと言うようにスカートを摘んで小さく礼をした。


「過分に豪華な恰好ね。どうなさったの?」


「これくらいしかいい服が無かったんだ。最新の流行らしいよ」


 イサベラが目を瞬かせて言った。


「とても斬新でかっこいいですわ!」


「そ、そうかい? そうでも無いよ。足が左右で色違いだし」


 手が空いて近付いて来たアフラが会話に入って来た。


「かっこいいですよねぇ」


 アルノルトは急に思い出したようにアフラを捕まえて耳元で言った。


「今日は貴族流儀だ。行儀良くな。それとイサベラさん達がいるけど、父さん達の前ではあまり話さないように」


「アル兄は今普通に話してたのに?」


「!」


 言葉に詰まったままアルノルトは周囲を見た。いつの間にか周囲に注目を浴びているようだ。父も不思議な目でこちらを見ている。


「まずい……。手遅れかも。とりあえずばれないよう今会ったような振りをするんだ」


 アルノルトとアフラは頷き合った。


「アルノルトです。お見知りおきを。これにて先に失礼をば……」


 誤魔化すように胸に手を当ててアルノルトは出口へと歩いて行った。


「本日はよろしく」と、アフラもスカートを摘まんで一礼してからその後を歩いて行く。アフラが兄に追い縋って小声で言った。


「兄さん、ここは貴族ばかりなら変に隠さなくていいんじゃ無いかしら」


「いや、お前がまだ知らない災厄が隣に居るんだ」


「災厄?」


 アフラは振り返って考えて見たが良く解らない。

 アルノルトとアフラは控の間まで歩いて行き、そこでソフィアと合流し、夫妻に挨拶をしてから退出した。

 その後ブルクハルト、そしてアッティングハウゼン、ヴァルターとは出入り口の辺りで合流した。

 アーマン達はシュウィーツの公館へ向かい、預けてあった馬車に乗り込み、次の会場となる修道院へと向かった。



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