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手紙


 家に帰って羊を小屋に入れたアフラは、その後、手紙を書いた。

 そしてその日に角笛を鳴らしながら肉の配達にやって来たレギンにそれを渡した。

 レギンはまだ二十代の若者だ。食肉ギルドは肉を新鮮なうちに流通させるために、夕方近くに角笛を吹きながら馬車で村中を回って裁いた肉を配り歩く。殆どの家が買いに出て来るので、その時に手紙があれば渡す事になっていた。

 宛名の住所を見てレギンは驚いた。


「カペー? まさかカペーって言ったらお隣の国の王族!」


「知ってるの?」


「あちこちに肉と一緒に手紙を届けて回るこのレギン様に知らないことは無いよ」


「そんなに有名なの?」


「そりゃ有名も何も、向こうの国で知らない人は無いさ」


「へえ。じゃあお願いね」


「駅舎に届けておくよ」


 手紙はアルトドルフの駅舎に纏められ、そこからは特急馬車に乗せて宛先の領邦の駅舎へと届く。そこからはその町それぞれの流儀で配られるが、イサベラのいる場所はザールネン城、城から毎日取りに来る使者がいた。

 アフラの書いた手紙は翌日にはイサベラの手に届いた。



親愛なる、イサベラ様


 先日はお見舞いに沢山のフルーツをいただき、ありがとうございました。

 おかげさまで病気もだんだん良くなって、私はもう元気です。一時は眠ったままで、そのままになるところだったそうです。羊と一緒に野を歩けることが、こんなにうれしく幸せなことだとは今まで気が付きませんでした。病気が治ったことを神様に感謝せずにはいられません。私の病を治すには、山向こうからの薬が必要だったそうです。おばあさんや兄さん達はその薬のために山まで行ってくれたそうです。お母さんや弟も看病してくれました。薬を届けてくれたジェミや山の人々にもいつかお礼をしなければと思います。家族のみんなにも感謝です。私は今は何もしてあげられない小さな子供だけれど、いつかいつかきっとお礼したいと思います。

 イサベラさんにも大変ご心配をおかけしました。イサベラさん、そしてユッテさんも何度も馬車で来てくれたのでしょうか? せっかく来て頂いたのに、私はそのとき病気で眠ったままで、お会いすることも叶わず、とても申し訳なく思っています。

 イサベラさんはあの草原での約束をまだ覚えていますか? せっかく迎えの馬車に来てもらったのですが、私は病気になってしまい、すっかり気弱になってしまいました。病気の間に村の危機があったようで、皆は心配過剰になり、家族が強く反対していて、お城へ行くお許しをもらえません。

 また元気になったらあの広い草原で、皆さんとピクニックが出来るといいですね。ご一緒したあのタルトのおいしさが今も忘れられません。

 それではまたお便りしますね。

                        アフラ・シュッペル



 ザールネン城の一室で、イサベラはアフラからの手紙を読んでいた。古びた大きな窓からは木漏れ日が差し込んで来て、時に手紙を眩しく照らした。


「イサベラー。入るわよ」


 ノックと共にそこへ入って来たのは、レオナルドを引き連れてやって来たユッテだった。


「あっ。お兄様からのラブレター?」


「ユッテったら。そんなはずないじゃない」


「そんな事ないわ。お兄様ったら満更でも無かったんだから」


「もう。その話はもう止しましょ。アネシュカに決まったようなものだもの」


「前々から二人の婚約は決まっていたのよ。そこへイサベラが現れた。そこで一から仕切り直すかのように、隠れん坊しましょうって事になったの。判る? イサベラがどれ程有利だったか」


「まあ! でもそれはもういいの。私がアネシュカに譲ることにしたの」


「その手紙、アフラから来たの?」


「ええそうよ。病気が治ったそうよ」


「よかった! 私のことは書いてある?」


「ええ。眠ったままでお会いできなくて申し訳なく思ってますって。あと、またあの広い草原で、ピクニック出来るといいですねって」


「そう。いいわね! また行きたいわ! そうだ。貴女にもう一つ手紙が来たの。ブルグントからの特使が届けてくれたのよ」


 入り口で畏まっていたレオナルドは、持っていた手紙をイサベラに渡した。

「こちらで御座います」


「ありがとう。送り主の名前が無いのね」


 イサベラは新たに来た手紙の封を切って、便箋を開いた。

「お母様からだわ」


 一読してイサベラは顔の血の気が引いた。

 イサベラの顔を見て、ユッテは訊ねた。


「どうして? 顔色が真っ青よ」


「修道院に入る事になったの」


「修道院? どうして?」


「それは……」


 イサベラはそれを言うのを躊躇った。


「急を争うの。黙って行かせてくれる?」


 ユッテはイサベラに取り縋るように言った。


「ちゃんと帰って来る?」


「ええ。勿論よ。しばらく行くだけになると思うわ」


「時々行ってもいい?」


 イサベラは首を振って耳元でささやいた。手紙が告げた出来事の事を。


 イサベラはユッテを伴って城の裏口へやって来た。

 近くにはブルグントの紋を付けた馬車が一台止まっていて、御者が馬車をこちらへ寄せて来た。隣にはもう一人の貴族が座っている。


「お待ちしておりました。イサベラ様」


 馬車の御者台からはブルグントの特使が降りて来て、イサベラを馬車へと誘導した。

 御者の手を取って素早くイサベラが馬車に乗り込むと、ユッテも後に続こうとする。


「この方は?」


「ユッテ王女です」


「王女……様とは」


 ユッテは軽く礼の仕草を取って言った。


「イサベラのいる場所が見たいの。送ってくれる?」


「しかし……」


「私からもお願いします。引き替えに秘密を守ってくれる約束をしましたので」


「畏まりました」


 特使は胸に手を置いて礼を取った。そして手を差し伸べて、支えになる。

 当然と言うように、ユッテも馬車に乗り込んだ。

 イサベラ、加えてユッテはこうして城を発し、エンゲルベルクへ発った。

 エンゲルベルクは山中深くにある修道院領で、ウーリよりも古くから独立自治を確立していた。ザールネン城のあるオプヴァルデンからは山を二つ程超えた隣の領と言って良い。しかし、そこへ至るにはニートヴァルデンを経由して山を大きく迂回し、谷を巻いて行く険しい道を行かねばならなかった。それ程に人里離れていたが故に独立自治が自然に出来上がったとも言える。

 山道を馬車で揺られて行くイサベラは、母、ベアトリスからの手紙を何度も読み返した。手紙はある変事を伝え、イサベラに一刻も早く王城を離れてエンゲルベルク修道院に入るように伝える内容だった。修道院宛の逗留願いと紹介状も同封されていた。


「すごい山ね。どんなところなのー?」


 窓の景色を眺めながら、ユッテは無邪気この上ない。


「噂では、山の奥で自給自足で暮らしているそうよ」


「すごいわ。私もしばらくそこで住もうかしら」


 イサベラは苦笑いするより無かった。


「修道女じゃなきゃ入れないわ。それに貴女が居なくなったら大騒動になるから、帰った方がいいと思うの」


「じゃあ時々行くわ!」


「駄目よ! これは遊びじゃ無いの。戦争が起こってるの。私は身を隠さなきゃいけないの。貴女が来たら見つけて下さいって言ってるようなものじゃない!」


 イサベラの剣幕に、ユッテはいつになく悲壮な目をした。


「……じゃあ私、随いて来て迷惑だった?」


「そんなことないわ……。でも絶対に秘密が漏れないようにしてね。護衛騎士のレオナルドにも」


「もちろんよ。秘密は守らせるわ」


 ユッテは強く首肯した。これでも彼女なりにイサベラの危機を感じていたのだ。

 山道の途中で修道女の一行がこちらへ歩いて来るのが見えた。イサベラはその顔に見覚えがあった。


「あれは、クヌフウタさん?」


「ホント! クヌフウタさんだわ。止めて!」


 御者が馬車を止めるとイサベラは扉を開け、声を掛けた。


「クヌフウタさん。どちらへ行かれるんですか?」


「ああ、イサベラさん。それにユッテさんも、こんにちは。こんなところで偶然ですね。この山の上に天使の住まうという修道院があると聞いて、途中まで行って来たのですが、何でも他国の人は紹介が無ければ領内にさえ入れないのだそうで、途中で戻って来たのです。あなたは?」


「エンゲルベルク修道院へなら、私、これから馬車で行くところです。お乗りになりませんか? 紹介状もここにあります!」


「ああ、それはまさしく天の助けです」


 クヌフウタと連れの修道女は十字を切って祈りを捧げてから馬車に乗り、道中を共にした。


「クヌフウタさん。ちょうど身の上の思い悩む相談があるのです」 

 イサベラは手紙の事についてクヌフウタに話しをした。それは一国の危機を告げる出来事だった。


 ——ブルグント自由伯領をご存知ですか?

 そこはブルグントでありながら帝国領に組み入れられた、かなり特別な領なので、少し遡ってお話しなければなりません。

 現領主はアンデクス家のオットー四世で、先代領主のアデライーデ女伯が病で亡くなって、正式に伯位を継承されたのは四年前の事です。

 アンデクス家は前王家ホーエンシュタウフェン家の系統で、女系ながらアデライーデ女伯は赤髭大公の流れを汲んでいて、それに由来して自治の特権が付与されて来ました。

 ただ、男子継承が出来ず、女伯継承をして婿養子を取る事が続いていて、アデライーデ女伯もまたそうした女伯継承だったのです。

 その婿養子だった当主のユーグ卿が亡くなった時は、リヨン大聖堂の大司教をしていたサヴォイア家のフィリップ卿を頼り、再婚をして、共同統治をすることでその領を保ったのです。

 大司教様が結婚なんて聞いたことあります? もちろんそのために聖職からは全て退いたんですって。

 サヴォイア家はベルンの南方の山岳地の大領主で、フィリップ卿の御兄様がその領主をしていたのですが、それから程なくして亡くなると、フィリップ卿はサヴォイア領主にも就任しました。そちらの領地とブルグント自由伯領を併せた大領地を夫妻は共同統治したのです。それはアデライーデ女伯が亡くなられるまで十年程続きました。

 サヴォイア家は元々はブルグント公国の出身貴族ですし、リヨン大聖堂は教皇様が公会議が行われたくらいブルグントでは今一番権威のある修道院ですから、その大司教だったフィリップ様はブルグントを代表する高位の人でもあります。その声望は周囲にも日に日に高くなりました。

 ブルグント自由伯領とサヴォイア伯領の間には幾つか国があって、ベルンやゾロトゥルン、ムルテン、大小の領邦があります。ベルンはサヴォイアの保護領でしたし、それらは元々がブルグント領でもあって、互いに同盟を持つようになって、連携を深めて行きました。

 ブルグント自由伯の諸侯達はドイツ側の人の扱いなのですが、元々ブルグントの民ですし、ブルグント王家とは婚姻関係で繋がっているのです。ブルグント公国の私達との交流も深く持つようになって行きました。

 自由伯領のシャロン=アルレー伯には私のマルグリッド姉様が嫁いだのです。伯爵はアンデクス家の方ですから、これは国を結ぶ大事な事だったそうです。

 こうして縁が深くなると、ブルグント公国、そして自由伯領、サヴォイア領、そして周辺都市という、昔のブルグント圏全体が一つになって行きました。それは帝国自由都市だったブルグント自由伯領が実質的にサヴォイア領、大きくはブルグント領へと変わって行く事でもあったんです。

 自由伯領の領主に就かれたオットー四世は、アデライーデ女伯と前夫のユーグ卿との子ですのでフィリップ卿からは血が繋がりません。アデライーデ女伯の遺言によって領主権を譲渡されたそうです。ですので依然オットー四世のアンデクス家自体は前王家由来のドイツの名家です。

 帝国は計略を巡らし、自由伯領を確保しようとしたようです。

 十年以上前の話ですが、そのサヴォイア伯とハプスブルク王家はキーブルク家の遺領の継承問題で抗争があって、ルードルフ老王様はサヴォイア保護下にあったムルテンへと兵を送って来たそうで、夫妻は同盟関係にある周辺の諸都市と連携して防戦をしました。そうしているうちにモラヴィアとの戦争が始まると、休戦協定を結んで、一時休戦中だったのです。

 それが再燃したのが先週の事です。ブルグント自由伯領の国境の町ポラントリュイにハプスブルク王軍が結集したのです。ポラントリュイの領民達は、大慌てで峠道を封鎖し、多くの人は城の中に籠城しました。そこから発した急使は隣のモンベルガルトへ行き、モンペルガルト伯のルノー卿に危急を告げました。ルノー卿は増援の兵をポラントリュイへ発し、そして兄のオットー四世、シャロン=アルレ—伯、義父のフィリップ一世へ急使を送りました。そして姉の旦那様のシャロン=アルレ—伯は周辺諸都市、そしてブルグント公国、そして我が母のベアトリスの住まう古城にも急使を飛ばしたのです。

 シャロン=アルレー伯からの書状によれば、ハプスブルク王家からはバーゼル司教のハインリヒ卿の解放とポラントリュイのバーゼルへの委譲を要求されたようです。ハインリヒ卿はハプスブルク家の腹心で、就任に不正があってルノー卿に審問されていたのです。

 加えて書状には、ブルグント自由伯領内に王軍が攻め入れば、ブルグント諸国同盟を含んだ大きな戦争になることも予想される、そして、ブルグント王家の娘である私がハプスブルク王家の城内に在る事は、今後いつ人質にされて脅迫されるかもしれない、とも書かれていたのです——


 ブルグントの居城で、イサベラの母ベアトリスは急使が渡した書状を読んで言った。


「そんな事って……これは本当の事ですか?」


「ベアトリス様、ドイツ王はブルグント自由伯領国境のポラントリュイを大軍で包囲を続けています。ドイツ王はこれを期にブルグント自由伯領へ攻める構えです。そうなるとブルグント諸都市の同盟国を巻き込んで大戦へと発展します。公女様がハプスブルク王の人質になっていてはあまりに危険。至急ご避難を願います!」


 頭を垂れる使者にベアトリスは言った。


「イサベラを王家の手の届かない、山奥のエンゲルべルク修道院に避難させる事としましょう」


◇   ◇   ◇



「そして私は修道院に入れられる事になったのです」


 イサベラから事件の顛末を聞いて、興味津々な目をしたユッテは、


「そう言う事だったの。ようやくわかったわー」と拍手をしている。


「勉強になりますね」


 クヌフウタも頷いて笑った。


「ユッテ、それにクヌフウタさんも。笑い事ではありません」


「ごめんなさい。あまりに大掛かりな話なので笑ってしまいました」


「まあ。他人事と思って。でも、こんな若くして私は修道女になるべきなのでしょうか?」


 クヌフウタはまた笑った。


「クヌフウタさん! 真面目に聞いているのですよ」


「フフ。ごめんなさい。貴女は修道女になりたいのですか?」


「私、クヌフウタさんがなるべきだと言うなら、なります」


「修道院は他人が無理に入らせるものではありません。生涯を神に捧げると自ら誓った人だけがなれるのです。生涯に関わるものですよ。貴女は誓えますか?」


「それは……」


「でしょう? それは貴女が決めるのです。こんな事情ならまだ決めなくてもいいの。それにすぐ取り越し苦労に終わるのでは無くて?」


 そんな長い話しをするうちに、馬車は切り立った谷を抜け、エンゲルベルクの領内に入った。小さな民家に門番役の老夫がいて、紹介状が有ると言えばすんなりと通してくれた。

 狭い谷を抜けると、こんな山奥と言うのに広い平原が広がり、まだ端々には残雪が見える。またその向こうには大きな屋根の修道院が見える。頭上には雪嶺が屋根のように聳えていた。


「キレイ。雪山が天使の羽根のようね」


「本当」


 白く霞んだその山の形は片翼の天使の翼のようにも見えた。

 エンゲルベルク修道院はこの辺りでは一番古い修道院で、建物は古かったがそのゴシックの様式美は工芸品のようだった。


「キレイ! 想像してたよりずっといい場所。この窓の細工もいいわ。山奥にこんな素敵な場所があったのね」


 修道院に着くや否や、ユッテははしゃぎ回って修道院前の彼方此方を走り回った。


「イサベラ見て! ステンドグラスもキレイ!」


「ユッテ! 窓から見てる。恥ずかしいから静かにして!」


「……ぅ。イサベラの第一印象悪くしちゃいけないし、帰るわ」


 窓から見る修道女達の目にユッテは行いを恥じたのか、すぐ馬車に戻り、大人しく帰途に着いた。


「元気でね」


「ユッテも」


 クヌフウタとイサベラはユッテを送って行く馬車を見送った。

 イサベラとクヌフウタは到着してすぐに女子修道院長のクレアと面会し、母から送られた書状と紹介状を示し、逗留の許可を得た。クヌフウタと連れの修道女も同じ紹介状で入って来たため一緒に逗留する事になった。クヌフウタはボヘミアへの帰途の途中だったが、馬車も無い長旅の途上の事、こうした逗留はよくある事で、良い勉強が出来るとむしろ喜んだものだった。

 エンゲルベルク修道院は自給自足を気風とするだけに、その暮らしは物資に乏しく、初日は毛布が足りず、一枚に二人が入って寒さに震えて寝たものだった。そして朝から日暮れまで野良仕事が山のようにあった。慣れない仕事に四苦八苦しながらも、イサベラにとって結婚の事や公爵家のしがらみも無いその場所は、過ごしやすい場所だった。実質は逃避行のような心細いものでもあったのに、心は和んだ。

 そこへ身を寄せ、落ち着いたイサベラは、アフラへの返事の手紙を書いた。


 親愛なる アフラ様


 季節の過ぎ行く足音は早く、アルプの野に咲く花は今やもうすっかり変わっている事でしょう。病が快癒され、羊と一緒に歩いたとのこと、とても元気そうで何より嬉しいお便りです。皆様もさぞお喜びの事でしょう。でも、病は治り際も大切です。お体ご自愛下さい。

 さて、私は今、訳あってエンゲルベルク修道院にいます。エンゲルベルクはウーリと山を一つを隔てた所です。この山の向こうに語りかけるようにこのお手紙を書いています。ここでは戒律に従った自給自足の生活をしなければなりません。早朝からやる事が細かく決められていて、とても厳しいですが、クヌフウタさん逹も一緒なので心はとても穏やかです。このまま修道女になろうとも思ったのですが、クヌフウタさんはもう少し考えてからでいいと言ってくれます。しばらくお手紙はこちらに下さいね。

 こんな状態なのでお城へご招待するお約束は当分保留になってしまいました。お約束をちゃんと守れない駄目な私で御免なさい。

 落ち着いたら一度そちらへお見舞いに伺いたいと思います。その時はきっと修道服姿ですので驚かないで下さいね。ではまたお便りします。

                        イサベラ・アニエス・ド・カペー


 その手紙はエンゲルベルクの買い出しの馬車に託され、ウーリの駅舎へと届き、肉の配達役のレギンがシュッペル家へと届けた。

 カリーナがその手紙を受け取り、カリーナから手紙を貰ったアフラはその場ですぐに手紙を開き、それを声に出して読んで聞かせた。カリーナはそれでイサベラの人柄を知って安心するのだった。



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