ひとり(B面)
毎日1時間に1度のペースで暴走族じみたバイクの音が聞こえてくる。
コール?っていうんだっけ。
いっきーとかの方じゃないよ。
時報とか鳩時計みたいで、すこしうるさいけど嫌いじゃない。(秋ヶ瀬もみじ)
時計と例えるには正確性が足りんだろ。(柳瀬四季)
普段はシャワーで済ましているけれどたまには風呂に浸かりたい。
昨日のことを考えながら湯船に沈み込んでゆく。ぶくぶくぶく。
今さら後悔している。すごく恥ずかしいことを伝えてしまった。
実際に言ったわけでなし、どこまで伝わってしまったのかは分からない。
それでも「あなたの夢を見ました。それも、えっちなモノを。」そう言ったも同然だ。
うーんうーん唸っているうち、のぼせてしまったらしい。
ふらふらベッドに倒れ込む。
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風邪をひいた。
のぼせたまま布団で寝ていたのが良くなかった。
寝汗がエアコンで冷やされてこのザマだ。
ああ、今日は大学無理そうだな。
彼女にメッセージを打ってスマホを放る。瞼が重い。
次に目覚めたのは通知音。彼女が心配してくれている。
その言葉に甘えれば、部屋までポカリでも持ってきてくれるのだろうか。
食事の面倒を見、額の汗をぬぐってくれるかもしれない。
それはきっと幸せなことだろう。
でも、昨日の今日でそれはなんだかダメな気がした。
そういう甘え方は違うし。それに、
熱に侵された私が何をしでかすか、わかったもんじゃない。
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寝るのに疲れてしまって天井を見上げた。
彼女と出会って学生生活が素敵なものに思えたし、一緒の時間が幸せだった。
今頃ひとりで講義を受けているのだろう。彼女の苦手な専門講義だけど大丈夫かな。ついていけてる?
でも、本当に今必要としているのは私の方なのかもしれない。
いつだったか彼女と土日会えなかったとき、寂しいとは思ったけれど、今ほどではなかった。
今は違う。彼女の顔が見たい、話したい、声を聴きたい。
朝のメッセージに甘えていればよかった。そうすれば、大学をサボって隣にいてくれたに違いない。
サボりは良くないことだけれど、でもそうして欲しいと願う気持ちを打ち消すには今の私は弱すぎる。
「ねえ、大学終わったらポカリ買ってきて欲しいな。」




