表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンで死んだらインプに転生したので、とりあえず盗みから始めてみる  作者: 道雪ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/114

神の覚醒、そして白き虚無との対面

ゆるゆると書いてます。

変なところがあれば都度ストーリーに関わらない程度に直しております。

「……じ。………主。起きろ、主」


意識の混濁した闇の底に、低く、けれどこの上なく澄んだ声が届いた。


……ああ、グリムか。


俺は重い瞼をゆっくりと押し上げた。


神化に伴う爆発的なエネルギーの奔流がようやく収まり、意識が急速に現実へと繋ぎ止められていく。


最初に視界に飛び込んできたのは、透き通るような白磁の肌と、白と黒が美しく混ざり合った長い髪。


そこにいたのは、神々しさすら感じさせる、あまりにも美しい青年だった。


俺の配下となり、俺の因子の影響で進化……いや、神化したのか?


「……おはよう、グリム」


「ああ、主。皆、もう目が覚めているぞ。……目覚めを、待っていた」


俺は身体を起こし、周囲を見渡した。


そこには、見慣れた、けれど明らかに「質」の変わった仲間たちがいた。


ゴウキも、ノア子も、真っ直ぐにこちらを見つめ、「おはよう」と静かに微笑んでいる。


俺は一人一人の状態を確認するため、『アナライズ』を起動した。


まずは、俺の右腕であるグリム。


■名前:グリム 種族:冥王 レベル:100

HP:1449/1449

MP:714/714

筋力:A(303+30)

耐久:SS(376+37)

敏捷:A(298+29)

器用:SSS(425+42)

魔力:EX(502+50)

運 :A(308+30)

スキル:ダークボルト、死霊召喚、骨槍、マナドレイン、グレイブコール、死霊強化、ダークランス、ネクロフィールド、シャドウサモン、ソウルストック、アビスゲート、デスドミネーション、ソウルリーパー、シャドウオブデス、ソウルリライト、アビスノヴァ、冥府の門


冥王……文字通り、死者の王だ。


幾重にも重なった漆黒の絹で作られた、床まで届く長いローブ。


その襟元や袖口には、銀色に輝く『死の紋章』が緻密な刺繍となって刻まれている。


新たに取得したスキル『冥府の門』は、現実空間に冥界への門を召喚し、あらゆる攻撃や魔法を深淵の奥底へと吸い込んで無力化する絶対防御。


その門が壊されない限り、あらゆる干渉を飲み込み続けるという。


……今のグリムの門を壊せる存在など、この世界に果たしているのだろうか。


次に、最強の矛であるゴウキ。


■名前:ゴウキ 種族:阿修羅 レベル:100

HP:1500/1500

MP:506/506

筋力:EX(513+51)

耐久:EX(460+46)

敏捷:A(300+30)

器用:A(279+27)

魔力:S(323+32)

運 :B(228+22)

スキル:豪打、踏み込み、気合い、連撃、闘気纏い、見切り、鬼砕き、戦鬼解放、烈震脚、武の極み、鬼気解放、黒衝破、闇纏撃、黒雷連斬、鬼神覇気、修羅ノ型、天穿


背後には幻体となった腕が4本浮かび上がり、実質的な6腕となっている。


神々しさと禍々しさが同等に共存し、ただそこに立っているだけで周囲の空間が歪むほどの凄まじい存在感を放っていた。


鬼としての象徴だった角は消え、以前よりもニンゲンに近い端正な顔立ちになっている。


上半身は剥き出しのままだが、その隆起した筋肉には黒い稲妻のようなタトゥーが全身に刻まれ、下半身には重厚な黒い袴。


腰にはベルトの代わりに巨大な数珠を巻いている。


背中に浮遊する実体化した『黒雷の円輪』からは、絶え間なく破壊の火花が散っていた。


そして、ノア子。


■名前:ノア 種族:ブラッドアーク レベル:100

HP:1330/1330

MP:614/614

筋力:A(302+30)

耐久:A(288+28)

敏捷:SSS(417+41)

器用:S(320+32)

魔力:EX(468+46)

運 :S(319+31)

スキル:ブラッドドレイン、ブラッドヒール、リジェネレートブラッド、ステータスリカバー、ブラッドリンク、ライフシェア、ブラッドランス、スレイブバイト、レッドフィールド、ブラッドセイヴ、スカーレットサークル、ライフストック、ブラッドサーヴァント、サングイス・ヒール、ブラッドバースト、ブラッドバインド、セイクリッドブラッド、ブラッドリカバリー、ヴァーミリオンレイジ、ブラッドレギオン、レッドリザレクション、ブラッド・アーク


……神化しても、やっぱり大きくはならなかったんだな。


だが、その愛らしさとは裏腹に、纏う魔力は底が知れない。


透き通るような深紅を基調に白地に金色の入った薄衣を幾重にも纏った姿は、衣装そのものが意思を持って揺らめいているかのようだ。


白地には金色の血管のような刺繍が走り、彼女の鼓動に合わせて淡く発光している。


背中からは、結晶化した血で作られた6枚の紅い翼が、眩い光の粒子を振り撒きながら優雅に広がっていた。


軍団の将たちも、等しく極点へと至っていた。


ノブナガは『冥府大天将』。


イエヤスは『冥府鎮守大将』。


ヒデヨシは『天下大骸将』。


アビスカースメイジたちは、『グレイブディザスター』。


そして三少女たちは、『ブラッドクイーン』へと昇華した。


彼女たちは大きさこそ変わらないが、クイーンの名に相応しく、ノア子の召喚体でありながら独立した神々しさを備えている。


瞳の赤みはより一層深まり、肌は抜けるように白い。


複雑に結い上げられた長い髪には、ノア子との魂の繋がりを示す『血の宝石』の髪飾りが怪しく光っていた。


最後に、俺自身のステータスを確認する。


■名前:サク 種族:幻惑神サク レベル:100

HP:1477/1477

MP:461/461(-197)

筋力:SS(331+111)

耐久:SS(328+114)

敏捷:ERR(537+97)

器用:EX(448+109)

魔力:ERR(533+133)

運 :SSS(385+79)

スキル:盗む、シャドウインベントリ、ファイヤーボール、強奪、アナライズ、バックスタブ、エクスプロードボール、影潜り、完全透明化、ダークブレード、影移動、幻惑、シャドウドミニオン、シャドウワイヤー、シャドウミラージュ、メテオストライク、シャドウカラミティ、ナイトメア、影葬、カオスフィールド、トリックスター、リアリティブレイク、神の悪戯ロキパラドックス


……ふぅ。


ステータスを確認し、俺は小さく息を吐いた。


敏捷値までもが魔力と同じく『ERR』の表記に書き換わり、その他の項目もすべてSS以上。


「……強くなったんだな。本当に」


身体の内側から溢れ出す、理を超えた力。俺の身体は、今やゴウキと並んでも遜色ないほどに大きく成長していた。


細身ではあるけど、身長はおそらく190センチ程度だろうか。


俺はグリムにデバイスを持たせ、今の自分の姿を撮影してもらった。


画面の中に映る俺は、陶器のように白い肌に、銀紫色の長い髪を靡かせていた。


右目は死の女王ヘルと同じような、煌々と輝く紫。


そして左目は、強大すぎる魔力の影響か、瞳孔が万華鏡のような複雑な紋様を描いている。


服装も、ヘルのドレスの意匠を受け継いだような、白と黒の気品ある礼服風の軽鎧。


その上から、影そのものを織り上げた漆黒のロングコートを羽織っている。


足元には、深みのある漆黒の革で作られた重厚な革靴。


背中には、元々の愛鎌と、ヘルのドロップアイテムである『冥府の権鎌』。


2本の大鎌が、Xの字を描くように装備されていた。


……顔立ちだけは、相変わらず俺のままだ。


それが少しだけ、今の俺をニンゲンに繋ぎ止めてくれている気がした。





俺たちは互いの変貌を確認し、次なる目的地を目指そうとした。


だけど、33層のボスフロアを見渡しても、どこにも出口らしきものは見当たらない。


「……どういうことだ。次は、どこへ行けばいい?」


その時だった。


『――おめでとう、サクくん。素晴らしい、本当に素晴らしい攻略だった』


空気を震わせるように、あの聞き慣れた声が響き渡った。


管理者だ。


『ああ、ごめんごめん。僕の居所への入口を出していなかったね。お待たせ。さあ、こちらへおいで』


声が途切れると同時、フロアの最奥の空間が、まるで紙を切り抜いたかのように唐突に入口へと変わり、その先には下へと続く石造りの階段が現れた。


……あのクソ野郎。


会ったら、一発ぶん殴ってやる。


俺は大鎌の柄を強く握り締め、配下たちを引き連れて、冷たい石の階段を静かに降っていった。


階段を降りた先。


俺の目に飛び込んできたのは、およそダンジョンの最深部には似つかわしくない、人工的な……いや、極めて『ニンゲン』的な部屋だった。


モダンなソファに、整理された本棚。


まるで地上の高級マンションのラウンジか、あるいは応接室のような空間。


なぜ、こんな場所に、こんな部屋があるんだ。


そして、その部屋の全容が見えた頃、奴はそこにいた。


「……やあ」


そいつはソファに深く腰掛け、俺たちを待っていた。


だが、その姿には、何もなかった。


髪もなければ、目も、鼻も、口もない。


ただ真っ白で、滑らかな質感を持った、人の形をした『モノ』。


「……何を想像していたのかな? そんなに怖い顔をしないでくれよ」


奴の声が、直接脳内に響く。


「……やめろ。俺の考えを読むな。……殺すぞ」


「ははは。怖い、怖いよ。とりあえず座って落ち着いてよ。お茶でも淹れようか?」


「……落ち着けると思うか? どうせやり合うんだろ。さっさと始めようぜ、管理者」


俺は両手に2本の大鎌を展開し、鋭い切っ先を奴に向けた。


呼応するように、背後のグリムたちが殺気を放ち、一触即発の戦闘態勢に入る。


「待って待って、落ち着いてよ。僕は君たちとやり合う気なんて、これっぽっちもないんだから。そんなところで物騒な獲物を出さないでほしいな」


「……なんだと? 騙そうとしても無駄だぞ」


「いやだなあ。こんな部屋で暴れられたら困るんだよ。もし、僕に戦う気があったなら……」


管理者が指をパチリと鳴らした。


その瞬間、周囲の景色が激変した。


ニンゲンの部屋は一瞬にして消え去り、そこは広大な闘技場のような場所へと変わる。


そして、もう一度奴が指を鳴らすと、俺たちは再び元の、居心地の良さそうな部屋へと戻ってきていた。


「ね? わかったでしょ。僕には、このダンジョンの中なら色々と書き換える力がある。……でも、こんな狭いところで君たちと殺し合いをするつもりはないよ。そもそも、まともにやり合ったら僕は君たちには勝てないしね。勝てない喧嘩はしない主義なんだよ、僕は」


奴は両手を挙げ、おどけたように降伏のポーズをとってみせた。


その飄々とした態度が、余計に俺の苛立ちを煽る。


「……クソが。一発殴らせろ。……俺だけじゃない。ノア子もだ」


こいつが、ノア子を約20年もの間、拘束して閉じ込めていた元凶なのだ。


「……それは本当に悪かったと思っているよ。ごめんなさい。……でも、あれは本当に不運な事故のようなものだったんだ。……今の君に本気で一発殴られたら、僕という存在がどうなってしまうか分からないからね。勘弁してほしいな」


奴は座ったまま、平然と言ってのけた。


「……サク。もういい。怒るだけ時間の無駄」


不意に、ノア子が俺の腕をそっと引いた。


「……話を進めて。私たちは、話を聞きに来たの」


……ノア子がそう言うなら、今は拳を収めるしかない。


俺は忌々しげに舌打ちをし、大鎌を影へと収納した。


「……お前は、続きは自分のところで話すと言っていた。……早く話せ。この世界の仕組みを。ダンジョンの真実を」


「せっかちだなあ。……いいよ。じゃあ、改めて最初から、包み隠さずすべてを話そう。君たちがこれから直面する、世界の姿をね」


白い管理者はそう言って、静かに、けれど淡々と、世界のダンジョンの真理を語り始めた。


ブックマーク、リアクション、評価をしていただけると幸いです。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ