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ダンジョンで死んだらインプに転生したので、とりあえず盗みから始めてみる  作者: 道雪ちゃん


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配信開始

ゆるゆると書いてます。

変なところがあれば都度ストーリーに関わらない程度に直しております。

池袋ダンジョン、15層。


本来、俺たちの現在の攻略階層は18層まで伸びていた。


けれど、今日の配信にゲストとして同行する綾香の安全、そして視覚的な演出効果を考慮した結果、俺はこの階層を舞台に選んだ。


かつてこの層のフロアボスとして君臨していたゴウキには少しばかり申し訳ないが、今の俺たちにとっては丁度いい難易度だ。


綾香自身、この15層に足を踏み入れるのは今日が初めてだった。


歩いて移動するには時間がかかりすぎるため、俺は自身のスキルである影移動に、彼女を巻き込むという、半ば力技の転移を強行した。


「しっかり捕まってろよ、綾香」


「うん、離さないから」


そんな、恋愛小説の場面のような甘いやり取りは、現実には起こらなかった。


「……あのさ、これ試したことがないから、マジで全力で捕まっててくれない?」


「なんでぶっつけ本番なのよ!?怖いんだけど!え、ちょっと……待って、ちょっとぉぉおおおおおお!!」


転移が完了した頃、15層に設置した仮の住処には、綾香の絶叫が木霊していた。


影の中を突き抜ける特異な浮遊感と、視界を奪われる闇。


まあ、これも協会への貴重な実証データとしてお持ち帰りいただければ幸いだ。


住処はエントランスに近いため、配信開始のためにエントランスまで歩く。


カメラマンはグリム、流れてくるコメントの読み上げは、野太い声で場を盛り上げるゴウキに任せてある。


さらにグリム隊の精鋭たちも、不測の事態に備えてカメラの死角となる後方に配置済みだ。


世界初、モンスターによる撮影だ。準備はバッチリ……なはず。


「綾香、セリフとかはないから、完全に任せるよ」


「え、あ、そうだよね。大丈夫、ちゃんとこちらで準備してあるから」


さすがは協会職員。


俺は彼女の瞳を見つめ、力強く頷いた。


「戦闘は任せて。俺が、俺の仲間がちゃんと綾香を守るから」


「ありがとう。回復と支援だけはさせてね」


俺と綾香の拳が、グータッチでカツンと合わさる。


そこに、グリムとゴウキも加わった。


「よし、世界を驚かせよう」


「オウ!!」





俺と綾香が、転移石の青白い光に照らされる。


グリムが骨の指で、3…2…1…とカウントダウンを始め、カメラに赤いランプが灯った。


「みなさん、お久しぶりだね!サナサクちゃんねるのサクです!ちゃんと映ってるかな?声は聞こえてるかな?」


:始まった!!!

:聞こえてるぞ!

:え、てか待って、誰このイケメン?

:ほんとそれ。だれ?

:人間?サクじゃないじゃん


開始からすぐに1000、2000と増えていく視聴者。


「大将、大将が誰だってコメントがいっぱい来てるぞ」


:いや、あんたも誰だよ

:草

:声でけーよ

:こっわ

:大将ってなんだよ


「あ、みなさんごめん!配信がなかったこの2か月くらいで、めっちゃ進化しました!証拠に、ほら!」


俺は幻体の漆黒の翼を可視化させる。


:うわ!!

:本物やん

:CGちゃうんか

:生配信だぞこれ

:て、ことは?

:サク!!


「大将、観てるやつらが大将ってわかったっぽいぞ」


:視聴者と言え

:だから声がでけえって

:草


「ちなみに今喋ったのは、仲間のゴウキだよ!後で姿を見せてもらうから楽しみにしててね!」


「いや、俺がそこに行ったほうが早いだろ」


そう言うとゴウキは俺の隣に来る。


:鬼人!?

:でっか

:間違いないわ。鬼人だ


「あぁ、俺の中のプランが……はい、ゴウキくん。戻ってください」


俺がそう言うと、ゴウキはあいよとカメラの後ろに戻っていく。


「仲間はもう1体いるのであとで紹介するね」


:なぁ、池袋スレのあの話マジなんじゃないの?

:なんだそれ

:他所の話しすんなよ

:マナーが悪いわ

:あ、魔王ってやつ?


「大将、魔王って言われてるぞ」


「あぁ、あの話か。トレインの件だね。助けた人が、俺が魔王に見えたって言ってたから、面白がって、なら優しい魔王を目指すよって言ったわ」


:優しい魔王www

:なんだそれww

:マジだったんだ

:疑ってたわ

:¥50000|坂口

あの時はありがとうございました。


「なんか赤いので、あの時はありがとうって言われてるぞ」


「おお!生きててよかったよ。命は大事に!」


「朔……」


綾香が小声で俺を呼ぶ。


あ、ヤバい。久々の配信で盛り上がりすぎてしまった。


「さてさて、今日はゲストに来てもらってるよ!」


:テイマーちゃんか?

:いやさっき出た鬼人だろ

:フライングしちゃったパターン?


「では、登場してもらいましょう。水瀬綾香さんです!」


:誰?

:え

:マジ!?


ここで綾香がカメラに映るように登場する。


「ご視聴の皆さん。はじめまして。冒険者協会、豊島区探索管理課の水瀬綾香です」


:協会の人!!

:協会とコラボ!?モンスターが!?

:まてまてまて

:この人最前線の聖女様じゃん!


「ありがとう!水瀬さんは、以前冒険者だったんですよね?」


「はい。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、『フロントライン』というパーティを組んで、冒険者をしていました」


「なるほど…。こんなにお綺麗なお姉さんが、活躍されてたなんて、絶対人気ありましたよね!?」


:あったぞ。俺ファンだったもん

:雑誌に紹介されたりな

:確かにめちゃくちゃ綺麗な人

:フロントラインって……


「い、いや。でもありがたいことに沢山応援していただきました」


:あんなことがなければな

:何の話?

:自分で調べて


「大将、観てるやつら、20万人を超えたらしいぞ」


始まってまだ移動してないのにこの人数か、すごいな。


あ、綾香が緊張しだした。


「ゴウキ、教えてくれてありがとな!水瀬さん沢山の人が見てくれてます!じゃあ出発前に一言お願いします!」


「じゅ、15層を、頑張って攻略したいと思いましゅ!!」


思いっきり噛んだ。


うーん、可愛い。


:あ、噛んだ

:聖女様も噛むんだ

:可愛い

:噛まれたい


顔を赤らめてる綾香には悪いけど、いつまでもここにいるわけにはいかないから移動だね。


「水瀬さんが、可愛く言ってくれたように、これから15層を攻略していくよ!じゃあ水瀬さんも一緒に、GO!」


「ご、GO!」


こうして俺らはエントランスからフロアに向かった。





歩き出してすぐのこと。


:¥1000|みこ

なんで配信しなかったんですか?

:ナイスパ

:聞きたかった質問助かる

:ありがてぇ


「大将、なんで配信しなかったんだって聞いてるぞ」


ゴウキがコメントを読む。


「ありがとう!うーん、これはちょっと問題があってね。あっ、待って」


その時前方からオーガ1体、そしてゴブリンジェネラル3体がこちらに向かってくるのが見えた。


「みなさん!こいつら倒したら説明するから待っててね。水瀬さんはここにいてね」


俺はそう言うと、背中の大鎌を手に持ち、一気に駆け出す。


:うお

:はっや!!

:てか武器変わった?


オーガの前にいた3体のゴブリンジェネラルに向かってスピードを殺さず、そのままの勢いで大鎌を振り抜く。


その一振りで2体のゴブリンジェネラルが引き裂かれ、もう1回転したところで最後のゴブリンジェネラルも真っ二つに分かれる。


:つっよ

:死神だ

:いや悪魔だろ


この時点でオーガはレベル差もあり、震えて戦意を失っているが、今は配信中だ。


俺は影移動でオーガの背後に移動し、スキル『バックスタブ』で一気に引き裂いた。


「お待たせ!水瀬さんもお待たせして申し訳ない!」


「いや、全然待ってないです……」


:待ってないんよ

:一瞬じゃん

:聖女さんドン引きしてるやん

:視聴者40万超えた


「さてさて、先程の質問に答えていくよ!」

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よろしくお願いいたします。

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