朝日さんの小話
ちょっとした話も書いてみようかと思いました。
ちなみに今回話に出て来る藤木拓郎は競技祭の時トランプを一緒にしていた朝日の友達です。
朝日は春川の依頼が終わり、悠々自適に部室でくつろいでいた。
漫画片手に紅茶を飲む姿は最早この部活の名物風景である。
「朝日さん、また依頼受けましょうよ」
無元もコーヒー片手に本を読みながら朝日に言う。
「しばらくはいいだろ。最近忙しかったし」
「そんな事言って、どうせ面倒なだけでしょ」
「まあな。だけど、依頼なんてそのうちどっかの誰かが嫌でも持ってくるよ」
「そんな、待ってるだけなんて...」
「バカ、依頼なんてな、ないことに越した事はないんだよ」
そんな話をしているとガラガラと部室のドアが開いた。
ドアの方を見ると同じクラスの藤木拓郎が立っていた。
「ちょっといいか?」
藤木は何やら深刻そうにそう言う。
「藤木? 珍しいなお前がこんなところに来るなんて。いつも一緒の岡野はどうした?」
「岡野は先に帰ったよ。いや、帰らせた」
「なんだよ、深刻そうだな....」
朝日はいつもと違う藤木の様子を感じ取る。
いつも能天気そうにしている藤木がここまで考え込む問題でもあるのだろうか。
「ああ、ちょっとこれを見て欲しいんだ」
藤木は中央のテーブルに行くとポケットから綺麗に折りたたまれた紙を出し置く。
「.....なんだこれ?」
朝日は無元と顔を見合わせながら藤木に聞いた。
「開ければ分かる」
そう言われ、朝日は紙を開け中の内容を読む。
「藤木これ.....」
朝日は手紙に書いてある驚愕の内容を読みかおを歪める。
「朝日さん、僕にも見せてください!」
朝日は無元に手紙を渡すと無元も驚愕の顔をする。
「お前らがそんな顔をするって事はやっぱり本当なんだな.....」
藤木は上を向いて片手で顔を覆う。
「お前これ、ラブレターじゃねーか!」
朝日は手紙を藤木に投げつけながらそう叫んだ。
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藤木から聞いた話を整理すると今日の朝、下駄箱をのぞいたらこのラブレターが入っていて、藤木は焦った。
普通に考えて自分にラブレターを送るなんてよほどの女だ。
もしかしたら、入れる下駄箱を間違えたのかもしれない。
そんな考えが浮かんだり藤木は誰かに相談しようとするのだが、こんな事は先生にも言えないし、仲のいい岡野はこう言うのが苦手そうだし、他の人に話したら明日には噂になってそうでマズイ。
それじゃあどこに相談するかと考えていたら最近、朝日達が依頼を受けはじめたと聞き、そこなら、きっとしっかり対応してくれると思って今に至るらしい。
「いや、お前もっと自分に自信を持てよ」
「いや〜〜」
今の話を聞く限り、このラブレターは間違った前提だ。
「いや、だって俺だぜ。特に取り柄もないこんな俺がラブレターなんて、なんかの間違いだとしか思えないだろ」
自身の口から出た言葉とは思えない言葉だ。
「でも、藤木くん。このラブレター、『藤木さん』へって書いてあるけど」
無元は手紙を指差しながらそう言う。
「それは分かってるんだけど、なんかの間違いじゃないかって思って」
「もうそこは素直に捉えとけよ。お前のことが好きなもの好きな女もいたってことでさ」
朝日はなかなかひどいことを言いながら親指を立てて勇気付ける。
「そう言うもんか?」
「そう言うもんだ、ほら、行ってこいよ。もうすぐ呼びたし時間の四時だぜ」
朝日は時計を指さし藤木を諭す。
「そ、そうだよな。やっぱり素直に受け止めていいよな。やっぱりここにきてよかったぜ。じゃあ、行って来る」
藤木は服を整えながら部室を出て行った。
「朝日さん、実際どう思います?」
「なんかの間違いだろ」
きっぱりとそう言い、2人はまた漫画を読みだす。
その後、藤木がどうなったかは次の日の教室での沈み具合を見れば聞かずとも分かると言うものだ。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
こんな感じの短い話も書いていこうと考えています。
これで日常の風景を分かっていただけると幸いです。
大変早く書いたものなので誤字脱字が多かったり、言い回しがおかしいところがあるかもしれませんがその辺は温かい目で見守っていただけると幸いです。




