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朝日さんの面倒ごと  作者: 日の太郎
第4章
31/42

朝日さんは依頼を受ける

生徒会長...

それはどの学校にもいる当たり前の存在だ。

しかし、ここ東星学院で生徒会長と言うと普通の学校とは意味合いが違って来る。

それもそのはず、なんせ能力学院の生徒たちはただでさえイレギュラーな能力を持っているのだ。

その能力者をまとめ上げるリーダーとして能力学院の生徒会長は絶大な権力を持っている。

少なくとも学院長に直接、直談判出来る程度には権力を持っている。

その生徒会長がミス研の部室に来てソファーに座っているのだ。

朝日に思いつくことは一つしかなかった。


「せ、生徒会長だと! クソッ! この部活もここまでかよ!」


朝日は頭を抱えながらうなだれる。


「どうせこの部活を潰しに来たんだろ。生徒会長がここに来る理由なんてそれくらいしか思いつかない!」


朝日はクワッと目を見開いて生徒会長に言った。


「最近じゃあ、嫌々ながらも人助けとかもしてたし、部員数だって一様クリアしてるんだぜ」


朝日は詰め寄るように生徒会長に言い訳する。

すると、


「まあまあ、落ち着いてください。朝日さんは何か変な勘違いをしていますよ」


生徒会長は鬼気迫る感じで話して来る朝日を落ち着かせる。


「勘違い?」


朝日はキョトンとした表情で生徒会長を見る。


「あなたは先ほど私がこの部活を潰しに来たとおっしゃいましたがそんなことしませんよ」

「へ?」

「さっきも言いましたが私は用事があるんです。あなたにね」


生徒会長は目を細めながら朝日を見る。


「もう、朝日さん! 騒がないでくださいよ。うるさいです!大体、顔も知らない生徒会長をなんでそんなに恐れているんですか?」


無元が朝日の予想外の反応に一喝しながら聞く。


「しょうがないだろ! 確かに顔を見るのは初めてだけどこの部活を潰そうとしてた張本人なんだから」

「え⁈ 生徒会長が!」


無元は生徒会長を驚きの表情で見た。


「お前がまだこの部活に入って来る前の話だよ。言伝で学院長から『お前のミス研を生徒会長が本気で潰しにかかってるから覚悟しといたほうがいいぞ』って言われたんだよ! 。あれ言われた時、マジでビビったもん」

「あら、懐かしい話をしていますね」


生徒会長は朝日の話を聞いてクスクスと笑う。


「えっ! 本当の話しですか⁈」


無元が驚きながら生徒会長に聞く。


「ええ、もちろん。当たり前でしょ、この部活は無元くんが入る前はまず部活として成り立っていなかったんですから。無駄な予算を減らすために潰すのは当然です」

「まさか、生徒会長と朝日さんにそんな因縁があったなんて......。知らなかった」


無元は顔を引きつらせながら生徒会長と朝日を交互に見た。


「ふふっ、学院長以外には話していませんからね。本当は強制部活退去状は出来ていたんですけど学院長に提出する1日前にあなたが入部してしまいましたから敢え無く中止になったんですよ」

「僕は本当にこの部活の危機を救っていたんですね」


無元はなるほどと理解したように頷きながら朝日に言う。


「まあな、でも強制部活退去状なんてものがあるのは俺も初めて聞いたぞ」


朝日はジト目で生徒会長を睨みながら言った。


「言ってませんもの。あれは生徒会長権限ですから」


生徒会長はコロコロと笑う。


「おい、無元。やっぱりこの生徒会長信用ならねー」

「ぼ、僕も生徒会長のイメージが変わりそうです」

「あらあら、ひどいですね。私はちゃんと条件をクリアしていれば何もしませんよ。ただ、あの時はこの部活が条件をクリアしてなかっただけです」


そんなこんなで生徒会長がミス研の部室にやって来たのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


いろいろ生徒会長と一悶着あった後、なんとか収集がつき本題へと入った。


「今回わたしが、ここに来たのは3つの用事があったからなんです」


生徒会長は指を3本立てながらニコリと微笑む。


「3つ?」


朝日は首を傾げながら聞く。


「ええ、3つです。それではまず一つ目」


生徒会長はそう言うとソファーからいきなり立ち上がり机を挟んで反対側のソファーに座る朝日に向き直ると綺麗に頭を下げて...


「ありがとうございました」


と一言言った。


「はい?」


朝日はなんで?と言った感じで生徒会長を見る。


「なんでお礼を言われているか分かっていない目をしていますね。思い出してください、あなたがわたしの妹を救ってくれたことを」

「生徒会長の妹? マジで覚えがないんだが。自分の妹なら覚えがあるけど」


朝日は首を傾げながら「う〜ん」と考え込む。


「ふふっ、そちらの事件ではありません。よく思い出してください。ほら、ここ1カ月くらいの間に小さい女の子助けてませんか?」

「小さい女の子?」


朝日は記憶の中を探る。

小さい女の子なんて助けた覚えがないのだが。

「うーん」と唸りながら考えていると一つだけ思い当たる節があった。


「まさか、変態風切事件の時にいたあの女の子か?」


そう、朝日が思い出したのは立花をあの変態ストーカー野郎から助け出した時、一緒に誘拐されていたあの女の子のことだ。


「そうです、大正解です。あの女の子は本郷久美香。年の離れたわたしの妹です」

「なるほどね。思いがけず生徒会長の妹を救っていたわけか」

「そう言うことです。あれから、久美香ったら『助けてくれたお兄さんにお礼を言いうんだ』と聞かなくて。ですが、あの子は体が弱く、病室から出るわけにはいかないのでこうして私が代わりにお礼を言いに来たわけです」


生徒会長はもう一度ペコリと頭を下げる。


「へーえ、まさかあの時、朝日さんが助け出した女の子が生徒会長の妹さんだったなんて。それにしても生徒会長、この話、誰から聞いたんですか?」


話を聞いていた無元が気になったのか生徒会長に聞く。

あの事件で朝日が風切を捉えたことはあまり表に出ていない。

なぜなら、学院長が風切を捉えたことになっているからだ。

本当は朝日が倒したことを知っている人は無元と学院長、寧々先生くらいのはずなのである。


「ああ、そのことですか。ふふっ、生徒会長には学院の全ての情報が集まるんですよ。知っているのは当然です」

「生徒会長って凄いんだな」

「凄いんですね」


朝日と無元は苦笑いしながら生徒会長に言った。


「これで、一つ目の用事は終わりましたね。では、二つ目の用事です。朝日さん、単刀直入に言わせてもらいます。星王祭に出る気はありませんか?」

「星王祭?」


朝日は意味がわからないと言った様子で聞き返す。

星王祭は能力者なら誰もが憧れる大舞台だ。

そして、選ばれるのも相当な実力者だけ。

故にみんな学院順位や競技祭で良い成績を残そうとするのである。

表立った成績のない朝日が選ばれるはずないのだが。


「俺には星王祭に出るだけの成績なんてないけど?」

「確かにあなたには表立った成績はありません。しかし、前回のテロ事件、あなた一人で大いに活躍したと聞いていますよ。それに、あなたの噂は元よりかねがね聞いていますので。それで、受けてくれますか?」

「待て、なんで俺なんだ他にもいるだろ強い奴。立花とか、最近なら機龍とかも」

「もちろん、彼らには星王祭に出場してもらおうと思いますよ。しかし、現在、東星学院では星王祭の成績が芳しくありません。なので、再び良い成績を納めるには圧倒的な強さが必要なのです」

「なるほどね。だけど、圧倒的な強さが欲しいなら学院順位1位に頼めば良いだろ。あいつは相当強かったはずだけど」

「彼はダメですよ。まず、こう言ったことに興味がありませんから。話すら聞いてもらえません」

「あいつらしいな」


朝日は嫌味ったらしく言う。


「知り合いだったのですか?」

「いやいや、腐れ縁みたいなもんだよ」

「そうですか...。まあ、それは置いといて、話を戻しますが今の話受けてくれますか?」


生徒会長はいつになく力のこもった眼差しで朝日を見つめる。


「断るに決まってるだろ」


朝日は相当で生徒会長の頼みを一刀両断した。


「やはり、そうですか。一様、理由を聞いてもいいですか?」


生徒会長は朝日が受けてくれないことはなんとなく分かっていたらしい。

それでも、少しの望みにかけたのだろう。


「理由? 簡単だ! 面倒い!」


しかし、その望みは面倒いと言うしょうもない理由で打ち砕かれた。


「はあー、そうですか。あなたが出てくれれば優勝も夢ではないと思っていたのですが」

「嫌だよ、そんなの。だって、戦わないといけなくなるだろう!絶対嫌だ」


朝日はプイッとそっぽを向く、こうなったらもう聞いてはくれないだろう。


「分かりました。この件は諦めます。まあ、もともと期待はしていませんでしたから。それでは次の三つ目の用事に行きますね。どちらかと言えばこの話が本題です」


生徒会長は急に改まったように朝日達に言う。


「なんだよ」


朝日はその様子を見てそっぽを向くのをやめて生徒会長を見る。


「実は生徒会からミス研に依頼を頼みたいのです」

「依頼? ちょっと待て。依頼ってなんだ⁇」


朝日は困惑したように生徒会長に聞く。


「えっ? だって、このミス研は生徒から依頼を受けてそれを解決する部活なのでしょ」


「なんの事」と言うように生徒会長が言う。


「そ、それだれから聞いた⁈」

「えっ? 誰って寧々先生からですけど」


どうやら、ここ最近寧々先生が来ていなかったのはミス研の布教活動に必死だったからのようだ。

部活顧問の鏡のような先生である。


「あの尼ーーーーー!」


朝日は叫びながらガンッと机に頭を打ち付ける。


「どうしたんですか? 朝日さん」


生徒会長は不思議そうに朝日に聞いた。


「生徒会長! これには深いわけがありまして。その、なんと言うか、その情報は寧々先生の間違いと言うかなんと言うか...」


朝日は必死に言い訳をする。


「それではミス研は生徒からの依頼はうけてないのですか?」

「は、はい、受けてません」


朝日は冷や汗を浮かべながら生徒会長にそう答える。


「そうだったんですか。それは残念です。まさか、寧々先生が言っていたことが間違いだったなんて」

「そうですよね、もーー、本当にちゃんとして欲しいですよね〜」


朝日は引きつった笑みを浮かべる。


「それでは普段はこの部活、なにをしているんですか?」


生徒会長が唐突に聞いた質問に朝日は引きつった笑みのまま固まる。


「まさかとは思いますけど部活動にあるまじき事はしていませんよね...」


生徒会長はスッーと目を細めながら本棚にある漫画やテレビにセットされたゲーム機をみる。


「あ、いや、それは...」


朝日が言い訳をしようとしていると


「朝日さん、諦めて受けましょう」


ポンッと無元に肩を叩かれ朝日はガクリと崩れる。


「分かりました。ミス研は生徒会からの依頼を受けましょう」


ついに諦めた朝日は生徒会からの依頼をうけたのである。


「ええ、ありがとうございます」


生徒会長はいつもの可愛らしい笑顔に戻ってお礼を言った。


「で、生徒会長。依頼ってなんなんですか?」


無元は崩れる落ちた朝日をソファーに戻しながら生徒会長に聞いた。


「そのことについてですが、正直、依頼内容を聞く前に依頼をうけてくれて助かりましたよ」

「えっ? あの、どう言う内容で......」


無元は唾を飲み込みながら生徒会長に聞く。


「実はですね。最近、三号館の科学実験室で幽霊が現れると言った報告が生徒会に入ってきていまして、その件について調査してきてほしいのです。これが依頼です」

「幽霊⁈ 」

「はい」

「幽霊って、あの幽霊ですか?」

「そうです」

「で、でも幽霊は...」


無元は突拍子も無い依頼に困惑する。


「別に倒してほしいと言っているわけではありません。ただ、本物なのかそれとも悪質なイタズラなのか確かめてほしいのです」


生徒会長は出されたお茶を飲みながら言う。


「なんとも、面倒い依頼内容だな」


放心状態だった朝日は直ぐに元に戻り、イヤそうに生徒会長に言った。


「ふふっ、それは私も思いますよ。だから頼んだんです」

「なるほど、そりゃ、ありがたいね。幽霊に会えるかもって言う貴重な場を用意してくれた生徒会長には感謝しきれませんよ」


朝日は最高に嫌味ったらしく言った。


「ふふっ、面白い事を言いますね。しかし、私はタダでなんて一言も言っていないのですよ」

「へ?」


朝日は目を丸くさせながら生徒会長の方を見る。


「報酬を出すと言う事です」


生徒会長はニコリとすると


「報酬は『わ・た・し』です」


生徒会長は自分を指差しながら色っぽく朝日に言った。


「ほう、確かにそいつはデカイな」


朝日も納得したように言う。


「そうでしょう」


生徒会長は色っぽくそう言いながら唇を触り、着物から艶かしい太ももを出す。


「あ、あの朝日さん。意味わかってますか?」


顔を赤くした無元が朝日に慌てて聞く。


「あ? もちろん。要するにあれだろ生徒会長に貸し一つ作れるんだろ。これはデカイよな」


その一言を聞いた生徒会長が「へっ?」と呆けたような顔になる。


「それに、そんな古典的色仕掛けに俺がハマるわけないだろ」


朝日は鈍感ではない。

気づかなかったのでは無く、気づいていたが乗らなかったのだ。

すると、


「ふふっ、あははは、ふふふ、あはははっ」


生徒会長はいきなり笑い出した。


「おいおい、なんだよ。気持ち悪い」

「い、いえ。す、すいません。ふふっ、あ、あまりに面白くてつい、あはは、本当に学院長から聞いたとうりなんだなと」


生徒会長は笑うのを我慢しながらなんとか言う。


「朝日さんとはいい友達になれそうですわ」

「俺は勘弁願いたいね」


こうして、朝日は生徒会長からの依頼をうけたのである。



〜依頼内容〜

・第三号館科学実験室の幽霊調査

[報酬]

生徒会長への貸し一つ

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