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人生五度目。浅井茶々は遂に開き直った〜今度こそ、生き残らせてもらいます!〜  作者: 奈羅
第六章 豊臣家の試練、家康は胃薬片手に政務をこなす
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江戸へ帰還

文禄三年、五月。


旭、秀忠と賢子。そして、それに付き従う茶々たちは、江戸へ向けて出立した。


豊臣家では、鶴松の家督相続に向けた準備が着々と進められている。


一方で、唐入りの話はその騒動の中で、有耶無耶になっていた。


(……ひとまずは、安心してええんやろか。)


茶々は胸中で呟く。


京都を発って二週間。一行はようやく江戸城へと到着した。


秀忠は本丸へ、旭と賢子は新設された西の丸奥御殿へ。

茶々もまた、一旦はそこへ入る。


そして直政は子供たちと共に、江戸城下に新設された井伊家上屋敷へと入った。


(だいぶ、形になってきたなぁ……。

まだ田舎やけど……。ここが後の世では“大都会・東京”になるんやもんな……。)


かつて荒れ果てていた江戸城は、今や大坂城や聚楽第にも劣らぬ威容を誇り、城下町もまた、着実に整えられていた。


湿地ばかりの寒村だったこの地に、人が集まり、町が生まれつつある。


その変化の中心にいるのは、紛れもなく家康だった。


「御台様、お帰りなさいませ。」


奥御殿で出迎えたのは、阿茶局と、一足先に戻っていた大蔵こと於孝。


「若御台様も、箕輪様もお疲れでございます。

本日はゆるりとお過ごしくださいませ。」


「阿茶殿、長いこと留守を任せて悪かったわね〜。」


「いえ、それが私の役目にございます。」


旭は頷き、賢子へと向き直る。


「紹介するわね。この子が秀忠殿の正室、賢子よ。」


「お賢。この人が阿茶局。殿の側室で、えっとね……私の女房でもあるんやけど……。とにかく、私の信頼する人よ。

それから於孝は、知ってるわね?」


「はい。於孝殿は、茶々姉様の乳母ですよね。」


「はい。なれど、今は御台様の女房として、お仕えしております。」


「何か困ったことがあったら、この二人を頼りなさい。」


「はい、義母上様。」


——江戸へ帰還して、一月。


秀忠は政務と勉学、武芸に励みながら、時間を見つけては奥御殿を訪れた。

そして、夜は必ず賢子の元で過ごす。

その仲睦まじさを、家臣や奥女中たちは温かく見守っていた。


「来年には、若君か姫君が……。」


そんな声も上がり始めていたが——


(いやいや、まだ十四よ?)


茶々は呆れたように思う。


(中学生やで?現代なら。)


焦る大人たちとは裏腹に、二人はまだ幼さを残したままだった。


ある日。

茶々は旭と共に、本丸奥御殿を訪れていた。

賢子のために、小袖を仕立てるためである。


「お茶々、その柄はこっちと合わせて。」


「はい。」


針を動かしながら、旭が笑う。


「お賢も面白い子やねぇ。こんなツギハギの小袖が欲しいやなんて。」


「でも、綺麗ですよね。旭様の小袖。」


「尾張や長浜におった頃は、よう頼まれてたんよ。

安土の御方様や、織田の御母堂様にも献上したことあるし……。結構、自慢やで?」


「そうなのですか?」


「ええ。気に入って頂いて、何着か作ったこともあるわ。」


針が進み、布が形を成していく。


「あと一息ね……お茶々、今日中に仕上げるわよ。」


「はい、旭様。」


並んで針を動かす二人の姿はまるで、本当の母娘のようであった。

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