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人生五度目。浅井茶々は遂に開き直った〜今度こそ、生き残らせてもらいます!〜  作者: 奈羅
第一章 タイムリープ五周目、開き直って何が悪い!
8/21

妹の婚活と、五度目の侍女

天正十一年 十月下旬頃。


茶々は於孝を引き連れて、寧々の部屋を訪れた。


(お初のことかな?)


十月に入ったばかりの頃、茶々は寧々にお初と京極高次の縁談を相談していた。


近江の名門の家系であり、竜子の実家。

そして、自分たち三姉妹の従兄である。


(伯母上も、誰か一人ぐらい京極で面倒見られへんかって言ってるって姉様から聞いた。)


竜子と高次の母・京極マリアは茶々たちの実の伯母だ。


マリアも三姉妹の行く末を案じており、時折訪ねて来る。


「御方様、浅井の一の姫様がお見えにございまする。」


「入りなさい。」


すっと障子戸が開かれ、中へ入ると、部屋には寧々の他に竜子とマリアも居た。


(お?これは……もしかする?)


茶々は済ました顔で三人の前に座り、頭を下げる。


「お茶々、急に呼び出して悪いわねぇ〜。」


「いいえ。……伯母上と姉様もお揃いで。」


マリアと竜子は穏やかに頷く。


「お茶々、お初の事やけども……。」


寧々が切り出し、茶々は内心ガッツポーズする。


「ウチの人にも言うてみたんよ。悪くない縁談やって喜んでたわ。」


(よしっ!)


すると、マリアがクスクスと笑う。


「高次みたいな子は、お初が尻に敷くぐらいがちょうどええわ。」


竜子も吹き出した。


「そうですわね。お初ぐらいですわ。高次を引っ張って行けるのは。」


(なんなら、蹴り飛ばすぐらいはやってた。)


茶々はニヤケそうになるのをグッと堪えて、寧々たちに頭を下げた。


「良きご縁を頂きました。誠に、ありがとうございます。」


「なんのなんの、当然よ〜!」


寧々はゆらりと扇子を揺らして、表情を変える。


「それとね、お茶々に新しい侍女をと思うてん。」


「侍女ですか?」


「ええ、於孝一人じゃ大変でしょ?」


茶々は思わず於孝を見ると、そっと視線を逸らした。


「於孝?」


「……。」


(返事せえや。)


「こらこら、於孝を困らすんやないの。」


「……して、その侍女は?」


「入りなさい。」


寧々に呼ばれて、一人の女が入って来た。


(……嘘でしょ。)


茶々は目を見開く。


「紹介するわ。萩乃(はぎの)よ。お茶々たちと同じ近江の出でね。歳はお茶々より二歳上の十八よ。」


「お初にお目に掛かります。萩乃と申します。

これから、一の姫様に誠心誠意お仕えいたしまする。

末長くよろしくお願いいたします。」


「……よ、よろしくね。此方は私の乳母の於孝よ。」


「孝にございまする。萩乃殿……気苦労が多くなるやもしれませぬが、何卒よろしゅう。」


「……於孝?」


茶々が呼ぶが、於孝は目を逸らせるだけ。


茶々は小さく息を吐いて、萩乃を見る。


()()私に仕えてくれるのか。)


これまでの人生で、萩乃は茶々の侍女として最期まで仕えてくれていた。


(近江の出って言うけど……。)


茶々は萩乃の正体を知っている。


萩乃は………甲賀の忍びだ。


萩乃の実家は、甲賀五十三家の一つ、美濃部(みのべ)家の分家だった。

しかし、乱世の波にのまれて没落したのだが、浅井家に救われた。


『浅井より受けた御恩を、浅井家長たる姫様にお返しいたしたく……。』


過去四度の人生で、萩乃は茶々にそう告げた。


(……まぁ、何はともあれ。……今度こそ、萩乃も守れるように強くならないと。)


茶々は改めて決意した。

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