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人生五度目。浅井茶々は遂に開き直った〜今度こそ、生き残らせてもらいます!〜  作者: 奈羅
第四章 井伊家、毎日が戦場。そして、世の中も戦の予感
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豊臣の命、織田の血

※ここから3話は、豊臣家側の視点から描かれる話です。

聚楽第・本丸御殿の大広間。


尾張で人買いに捕らえられ、南蛮へ売られる寸前だった少女が、堺商人・雷蔵配下の化粧係によって保護された。


雷蔵より報を聞き終えた秀吉は、額に手を当てて深く……とても深く溜め息を吐いた。

それは、側に控える秀次も同じだった。


(よりよもよって……。)


空気は完全に凍り付いている。


長い沈黙の後、ようやく秀吉が顔を上げた。


「……誰ぞ。」


控えの間から、小姓が出てきた。

石田治部少輔三成と、大谷刑部大輔吉継を呼んでくるように命じた。


暫くして、やって来た三成と吉継に秀吉は事のあらましを説明。

そして、告げた。


「三成、三介呼んでこい。抵抗するようなら、引き摺り出せ。

それから取り調べを。尾張で起こっとるんや、知らぬ存ぜぬでは済まんぞ。」


「はっ。」


「吉継、すべて洗い出せ。関わった者一人残らずな……。人を使うても構わん。」


「御意。」


そして、秀次へと目線を向ける。


「秀信は……"保護"しろ。」


秀次は頭を下げる。


「急ぎます。」


秀吉はゆっくりと頷いた。


「織田の御屋形様の血……あのたわけのせいで、絶やす訳にはいかん。」


***


秀次は三成たちと共に、聚楽第城下の織田邸へと向かった。


「俺は秀信様を。」


「はい。」


「あの人、間違いなくお前たちを見下してくるやろ。やけど、気にすんな。自分の御用に専念しろ。」


「はい。」


「承知致しました。」


信雄の元へ向かう三成と吉継の背中を見送り、秀次はそのまま秀信の住居へと向かう。


女房や家臣らは慌てて秀次を止めた。


「関白殿下の命である。それでも邪魔立てすると申すのならば、容赦せぬぞ。」


秀次は冷たくそう言い放った。


「中将様。」


呼ばれて顔を上げると、織田長益が幼い男の子の手を引いて、こちらに向かって歩いてくる。


織田信長の嫡孫・織田秀信だ。


「……源五郎様。」


長益は秀次の前に立ち止まり、そっと秀信の背中を押す。


「この子を、頼みます。」


秀信は不安そうな顔をして、長益と秀次を交互に見る。


「大叔父上……。」


長益はふっと優しく笑い掛ける。


「事が落ち着くまで、秀次様の元に居れ。」


秀信は不安そうに顔を伏せる。

秀次は膝を折り、秀信と目線を合わせる。


「怖がらんでええ。お前は悪くない。」


ハッキリとそう告げた。

秀信はようやく顔を上げて、小さく頷いた。


***


秀信の手を引き、信雄の元へと向かうと、怒声が響いていた。


(やっぱりな……。)


秀次は肩をすくめる。

秀信はぎゅっと秀次の手を握ると、秀次は立ち止まり、秀信を安心させるように笑みを向ける。


「……気にするな。お前には関係ないことや。」


「……はい。」


気を取り直して、秀次は部屋へと向かう。


「貴様、誰に口を聞いておるか!?サルの子飼いの分際で!!」


信雄が三成を殴り、更に蹴り飛ばしている場面に遭遇した。


(……ほんまに、この人は……。)


秀信はビクッと肩を震わせ、秀次の後ろに隠れてしまった。

秀次は秀信を庇うようにして、静かに口を開いた。


「内府様。」


信雄が血走った眼で、秀次を睨みつけた。

しかし、その後ろに秀信が隠れているのを見て、顔の血の気が引く。


「秀信様はこちらでお預かりいたします。

……関白殿下のご意向にござりまする。」


静かに、しかし冷たく告げると、信雄が膝から崩れ落ちた。


三成は何事も無かったかのように起き上がる。


「内府様、参りましょう。関白殿下の命にございます。」


この声に、一切の感情は無かった。


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