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人生五度目。浅井茶々は遂に開き直った〜今度こそ、生き残らせてもらいます!〜  作者: 奈羅
第四章 井伊家、毎日が戦場。そして、世の中も戦の予感
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茶々、懐妊

徳川一行は、駿河へ戻る前に大坂城へ立ち寄った。


現在、大坂城を任されているのは、秀吉の弟・豊臣秀長である。


秀長や仲たちへの挨拶を済ませた後、家康の次男である秀康と対面することになった。


家康はどこか気が進まぬ様子だったが、旭に首根っこを掴まれ、半ば引きずられるようにして向かう。


対面自体は、滞りなく終わったのだが……。


「……秀康殿に“徳川内府様”って呼ばれてな。

それで落ち込んでんのよ。」


旭が呆れたように言う。


(ああ……“父上”って呼ばれなかったのか。

家の為とは言え、自分から手放したくせに……男って勝手やなぁ。)


茶々は小さく鼻を鳴らす。


「秀康殿は、殿下の養子にございますから。豊臣の者として礼を尽くされたのでしょう。」


「そうね。でも、立派な子やったわぁ。義姉上様の教育の賜物やろうね。」


(この話、三郎様と五徳様に教えたら絶対笑うわ。)


※後日、茶々は手紙で伝えたところ、案の定二人は大笑いしたらしい。


***


三日ほど滞在した後、一行は駿河へ戻った。


それからしばらくして旭は、家康の嫡男・長丸と、その弟・福松丸の養母となった。


側室の子を正室が育てるのは、武家では珍しくない。だが旭は、元は足軽の娘。


「……私に務まるのやろうか。」


そんな不安を抱えていた。


しかし、長丸も福松丸も、すぐに旭に懐いた。


「この子たちが笑って過ごせるように。それが、今の私の役目や。」


阿茶局とともに、旭は慌ただしくも賑やかな日々を送ることになる。


***


そして、夏。暑さが本格的になってきた頃。


奥御殿で雑務をしていた茶々は、旭に呼び止められた。


「お茶々、ちょっとこっち来て。」


「……はい?」


旭が茶々の額に触れて、自分の額と比べる。


「……少し熱っぽいな。それに顔色が悪いわ。井伊の屋敷に戻りなさい。」


「ですが――」


「女房の務めより、自分の身体が先や。」


有無を言わせぬ口調だった。


旭に連行される形で、茶々は井伊屋敷へと戻った。

予定より早く帰って来た茶々に、於軽や萩乃、屋敷の侍女たちは心配そうに見守っている。


そして、旭により布団に放り込まれた茶々は、小さくなっている。


「……面目ないです。」


「それより。最近、菓子作ってへんやろ?」


「それが……台所に立つと、匂いでどうも……。」


「吐き気?」


「……はい。」


旭の目が、すっと細くなる。


「他には?」


「……眠気が、少し。」


「月のものは?」


言われて、茶々ははっとした。


(……そういえば、最近来てない……。)


「於軽!!」


旭の声が響く。


「はい!」


「僧医を呼んで!すぐや!」


その後、徳川家お抱えの僧医が呼ばれた。


「どうじゃ?お茶々の具合は。」


旭が問うと、僧医は穏やかな笑みを浮かべながら、一礼する。


「おめでとうございます。少輔の方様、ご懐妊にございます。」


(……懐妊?……え、私が……?)


一瞬思考が止まり、部屋に沈黙が流れる。

そして、沈黙を破ったのは旭だった。


「於軽!兵部殿を呼んで!」


「はっ!」


僧医は念を押すように続ける。


「初めてのご懐妊にございます。くれぐれも無理はなさらぬように。

もう、お一人の身体ではございませんぞ。」


「……はい。」


僧医が去った後、旭がポツリとこぼす。


「私も、とうとうババ様かぁ。」


「まさか……私の腹に子が……。」


「男だ女だは気にせんでええ。元気な子を産むことだけ考えなさい。」


「はい。」


***


ほどなくして、直政が駆け込んできた……いや、駆け込んだというより、転がり込んできた。

髷は乱れ、額も鼻もほんのり赤い。


「お茶々!懐妊とは誠か!?」


「はい。僧医殿に診て頂きました。」


茶々がそう告げた瞬間、ぎゅっと抱きしめられる。


「出来した!大義じゃ!男でも女でもよい、どちらでも構わん!無事に産め!」


「旦那様……皆様が。」


「あ。」


ようやく周囲に気づき、直政はそっと離れる。


その後ろには、本多忠勝、榊原康政、酒井忠次、徳川の重臣たちが揃っていた。


「よかったのう、万千代!」


「ついに父上か!」


「いつまでも万千代とは呼べんな。」


三人は口々に祝いながら、直政の頭や肩をわしゃわしゃと撫でる。

いつもなら怒るところだが、今日はされるがままだ。


「皆様、どうして……?」


「於軽殿が知らせに来た時な。コイツが廊下を転ぶわ、柱にぶつかるわで、放っておけんでな。」


「それに、祝いも言いたかったのでな。」


茶々は思わず笑みを漏らす。


「少輔の方様。この度は誠におめでとうございます。」


忠次が静かに頭を下げる。


「ありがとうございます。」


「これよりは、これまで通りとはいきませぬぞ。どうかご自愛を。」


「……肝に銘じます。」


(……っていうか。徳川四天王、揃ってるやん……!)


内心では、盛大にテンションが爆発していた

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