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豊臣奉行衆、胃が痛い

茶々と阿茶局は兎に角落ち着かせようと、土下座する二人をどうにか引き摺り、部屋へ入れた。


「まだ時間はありますか?」


「あ、はい……まだ。』


「少輔の方様、菓子はまだございますか?」


「はい。」


「八重、茶を支度を。」


「かしこまりました。」


三成と且元は慌てて立ち上がろうとする。


「い、いえ!某たちは!」


「何もそこまで……!大事ございませぬ!」


「助佐、そない青い顔して、何が大事ないよ。

ここは遠慮せんでええ。」


茶々は且元の肩をポンと叩く。


「姫様……。」


「石田殿もやで、座りなさい。」


「「……はい。」」


二人が大人しく座ったので、茶々は菓子箱から幾つかお菓子を取り出す。


和紙に一つずつ乗せて、三成と且元へ差し出す。


「甘いもんでも食べたら、落ち着きますよ。」


「……頂戴いたします。」


「姫様……すんまへん。」


八重が盆を持って戻って来て、人数分のお茶を淹れて、其々の前に置く。


「……お二人がお越しになられたのは、阿波の乳母殿の件でしょうか?」


すると、三成がコクリと頷く。


「はい。支度中に騒ぎを起こしたと……。

徳川様の正室であらせられる、駿河御前様の前で無礼を働いたと報せを……。」


茶々と阿茶局はお茶を一口飲み、遠い目をする。


(アレは……想像以上だったわ。)


阿茶局は小さく息を吐き、そっと尋ねる。


「あの、阿波の乳母殿は何故、姫路の方様のお部屋へ?」


すると、三成と且元は一気に死んだ目をする。


(聞いたらまずかったんかな?)


阿茶局も『あ〜……やらかした』という顔をして目を閉じていた。


「此方の問いに、答えよらんのですわ……。あのおばはん。」


近江訛り全開で、三成がぼやいた。


「"何故、私が其方様らにそこまで話せばなりませぬ?無礼者め!"って言うて、部屋に引っ込んで行きましたわ……。

ああ〜………ほんま、あの場で斬り捨てたろうかと本気で思いましたわ。」


石田三成、意外と気が短い。


「実際に斬らんかっただけ優しいやん。」


「そんな、少輔の方様……。平八郎殿のような事を言わないで下さい。」


「ですが……事実では?」


「まぁ……そうですわね。」


阿茶局も阿波の乳母殿には、若干腹が立っているようだ。


茶々は三成へ視線を戻す。


「騒ぎを起こしたのは確か。しかし、原因は分からぬ……という事ですね?」


「……はい。」


三成と且元はガックリと肩を落とし、お菓子を一口頬張る。


「騒ぎになっとる、と女中から聞きまして直ぐに、私と三成が乳母殿に聴取に行ったんですが。……先ほど、三成が言うてた通りですわ。

話にすらなりまへん。」


茶々と阿茶局は黙る。


暫し沈黙後、茶々がゆっくりと口を開いた。


「つまり……。石田殿も助佐も、手ぇ焼いとるんですね。」


「「………はい。」」


茶々は溜め息を吐く。


(あのおばさん、ほんまに何様なんやろうね。石田殿も助佐も、"関白殿下"の家臣やで。)


三成は菓子を食べ終え、茶々と阿茶局へ改めて頭を下げた。


「理由は分かりかねますが。徳川様の前で無礼を働いたのは事実です。

豊臣家として、事前に防ぐべき事でしたのに……。」


続いて、且元を頭を下げた。


「朝から驚かせてしまい……誠に申し訳ございませぬ。」


茶々と阿茶局は顔を見合わせる。


暫し沈黙後、阿茶局が二人にそっと声を掛ける。


「謝罪は受け取りました。ですから、頭を上げてください。豊臣家の家臣の方が、斯様に頭を下げてはなりませぬ。」


そして、三成と且元はようやく頭を上げたその時、萩乃が外から声を掛けてきた。


「失礼致します。

石田様、片桐様。福島様がお見えになりました。」


「……あ、もう出迎えか。」


「せやな。」


三成と且元は立ち上がる。


「少輔の方様、阿茶局様。菓子と茶、馳走になりました。」


「我らはこれにて失礼いたします。」


「はい、お気を付けて。」


茶々と阿茶局は二人を見送り、部屋に戻った。


「お二人も、何がどうなってあの騒ぎになったのか、分からぬと……。」


「嫌ですね……。騒ぐだけ騒いで原因が分からないなんて……。」


溜め息を吐いたのは、ほぼ同時だった。


(行幸……乗り切れるか?)


そこが心配だった。









【作者のひとりごと】


実はここの話、前話の『寧々様に報告、仮眠から目覚めたら謎の土下座。感情処理が追い付かん』と同日同時刻公開予約してたんですが、『いや、それじゃおもろない。』と作者の性格の悪さが全面に出て来てしまいました(笑)


さて……。


答え合わせ出来た方、いらっしゃいますか?(ニヤリ)

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